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「新感染」ヨン・サンホが「さがす」絶賛、韓国の観客が“片山慎三”を発見した

ナタリー

片山慎三とヨン・サンホによるオンライン対談の様子。

「さがす」の監督・片山慎三と「新感染」シリーズの監督ヨン・サンホの公開オンライン対談が本日10月11日に行われた。

「岬の兄妹」で知られる片山の商業デビュー作「さがす」は、「指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」という不穏な言葉を残して姿を消した父の行方を娘が探す物語。片山が助監督時代から親交のあった佐藤二朗に当て書きで脚本を執筆したオリジナル作品だ。佐藤が父・原田智を演じたほか、智を懸命に探す娘・楓に「空白」の伊東蒼、連続殺人犯・山内照巳に「東京リベンジャーズ」の清水尋也、山内と関わりを持つ女性ムクドリに「全裸監督」の森田望智が扮している。

日本の映画プロデューサーから「片山慎三の映画を見逃してはいけない」と勧められ、その存在を知ったというヨン・サンホ。初めて観たのは片山がWOWOWで手がけた「連続ドラマW 東野圭吾 さまよう刃」だったそうで「もう大ファンになりました。そこから監督の作品をあれこれ探して『岬の兄妹』も拝見しました」と述懐した。そこからFacebookで片山とつながり、釜山国際映画祭での「さがす」の上映も期待しているという内容のメッセージを交わしたことも明かす。

そしてひと足早く「さがす」を鑑賞したヨン・サンホは「始まってすぐ最初のシーン、最初のカットを観ただけで引き込まれていく。俳優の素晴らしい演技、カメラのビジョン、監督の演出を観ているだけで幸せな気持ちになります。伝説的なスリラーは数多くあるが、この作品はその1本になり得る」と絶賛。周囲の監督仲間にも宣伝しており、今回の対談もヨン・サンホたっての希望で実現した。韓国のSNSでの反応も調べたそうで「これは反則。ニューカレンツは新人監督の部門のはずなのに、すでに完成形」といった意見も見られたそう。「韓国内の反応はとても熱い。多くの観客にとって『片山慎三』を発見するきっかけにもなっている。驚くべき長編2作目。間違いなく面白い」と続けた。

MCを務めた映画評論家・松崎健夫は「過酷な状況に追い込まれた登場人物たちがどう生きるか?」という点で、片山とヨン・サンホの作品が似ていることを指摘。ヨン・サンホは「どんな状況であれ、観客が共感できることが重要。自然と自分ごとのように感じられる映画を目指しています。それは細やかなディテールから生まれる」と反応しつつ、「例えば『岬の兄妹』の冒頭で主人公が見せた緊張感のある気まずい空気や『さまよう刃』での父と娘の他愛もない会話の表現。それは『さがす』にも共通していて、決して人工的なものではなく、実際にそこに存在しているかのような自然な印象を私たちに与えてくれる」と称賛の言葉を送る。

またヨン・サンホは「さがす」におけるいくつかの物語の転換点に言及し「新しい展開を見せるたびに、キャラクターへ感情移入できる状況になっている。だから、すんなりと次の展開を受け入れることができる。驚異的なストーリーテリング」と説明。片山は「観客の共感」の重要性に触れながら、脚本のこだわりを「決して1つの感情に偏らないこと。ずっと『かわいそう』と思わせないこと。かわいそうだと思われている人間に急に嫌な行動をさせる。それはシーンの展開もそうで、例えば笑いの次は恐怖、恐怖の次は不可解なことを見せる。次々と違うアプローチをして1つの方向、感情に偏らせないようにしています」と明かした。

最後にヨン・サンホは「片山監督のような人に果敢に投資をして支援すれば、日本の映画界はより活気のある状況に発展していきます。必ず素晴らしい作品が生まれます」と期待。また韓国発のNetflixドラマ「イカゲーム」などが世界中で話題を呼んでいることに触れ「OTT(オーバー・ザ・トップ)サービスの誕生によって国内で製作された作品が世界中に広まっている。韓国語であれ日本語であれアジアの作品がワールドワイドに向けて作られる状況。そういう環境の中で片山監督は可能性を秘めています。お互いに切磋琢磨しながら、映画が全世界に何かを訴えかける状況を一緒に作っていけると思っています」と力を込めた。

「さがす」は2022年に東京・テアトル新宿ほか全国ロードショー

(c)2022『さがす』製作委員会

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