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EMPiRE、最新シングルが3位に WACKらしいブランドイメージの形成が功を奏す

リアルサウンド

19/10/26(土) 8:00

参考:2019年10月28日付週間シングルランキング(2019年10月14日~10月20日/https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2019-10-28/)

(関連:EMPiRE「RiGHT NOW」MV視聴はこちら

 2019年10月28日付のオリコン週間シングルランキングで3位を獲得したEMPiREの『RiGHT NOW』は、CDに収録されている楽曲は2曲のみ。「普通そんなもんだろ」という声も聞こえてきそうですが、いや、アイドルの場合はそうはいきません。同じCDでも何種類も盤種があり、盤種ごとに異なるカップリング曲が収録されている……ということも多々あるのです。それゆえに、CDは1種類のみ、他はカセットテープという潔さの同作が、25,000枚以上売れていることに感心しました。

 EMPiREはWACKのアイドルグループ。WACKには、他にBiSH、BiS、GANG PARADE、WAgg、CARRY LOOSEが所属しています。EMPiREは、2017年にWACKとエイベックス・エンタテインメントの共同プロジェクトとして誕生したグループ。事務所はWACK、レコード会社はエイベックスという座組は、2015年に生まれたBiSHと同じで、EMPiREは当初からかなりの勢いを持っていました。

 しかし、EMPiREは覆面姿ながら2017年8月に登場したものの、単独で正式にCDをリリースしたのは2019年7月のこと。つまりこの夏、この間のことなのです。

 それまではどうしていたのか? 2017年のオムニバス『WACK & SCRAMBLES WORKS』に楽曲が収録されたほかは、音源のフリーダウンロード、SoundCloudでの配信、YouTubeでのMV公開などが行われてきました。そして、EMPiREの活動の最大の特徴は、カセットテープの存在です。

 2018年4月の1stアルバム『THE EMPiRE STRiKES START!!』は、CDが存在していませんでした。発売されたのは、カセットテープ、そしてカセットテープとDVDのセット。スマプラミュージックという、楽曲をスマートフォンで聴けるサービスに対応しているとはいえ、かなり特殊な形態です。こうしたカセットテープをベースにした形態は、2018年9月にリリースされたミニアルバム『EMPiRE originals』、2019年2月の1stシングル『ピアス』にも継承されました。

 カセットテープは、現在アメリカでもイギリスでも販売数が増えています。私の行動範囲でも、HMV record shop渋谷のようなレコードショップ(文字通りアナログレコードの販売店です)では、多くのカセットテープが売られています。こうしたフィジカルアイテムへのフェティシズムは、WACKらしいとも感じます。

 さて、結果としてオリコンのデータベースで何が起きたのか? 実は、やっとCDがリリースされた2019年7月の2ndシングル『SUCCESS STORY』まで、フィジカルのデータがないのです。そして、『SUCCESS STORY』はいきなり33,000枚以上のセールスを記録します。

 そうしたデータを見たときに私が振り返ったのは、WACKの社長である渡辺淳之介がマネージャーを務め、WACKアーティストの楽曲を手がける松隈ケンタがサウンドプロデューサーを務めていたBiSのことでした。ここでは、2010年から2014年まで活動していた第1期BiSのことを指します。BiSは、2011年3月に最初のCDをリリースしましたが、オリコンのデータ上で1万枚を超えるのは、2013年6月の『DiE』まで待つことになります。約2年。第1期BiSと比べるとEMPiREは、アーティストのブランドイメージをうまく形成しながら、CDリリースにあわせて鮮やかな数字を出しているわけです。

 「RiGHT NOW」は、JxSxK作詞、松隈ケンタ作曲、SCRAMBLES編曲。JxSxKは渡辺淳之介の変名、SCRAMBLESは松隈ケンタ率いる音楽クリエイターチームです。「RiGHT NOW」は、クラブミュージックも連想させるエレクトロを響かせつつも、あくまでサウンドはロック。そして、松隈ケンタならではの「泣きのメロディー」、つまり歌謡性を入れることで、メンバーのボーカルのウエットな側面を引きだしています。さすが手練れの技だと感じました。

 カップリングの「NEVER ENDiNG」は、oni/MiDORiKO EMPiRE作詞、oni作曲、SCRAMBLES編曲。oniもSCRAMBLES所属のクリエイターです。こちらはメロディの開放感、疾走感が特徴的。「RiGHT NOW」同様にこちらもエレクトロなサウンドなのですが、2曲ともEDMのようなドロップやビルドアップを決して入れないところに、強固な「SCRAMBLESらしさ」を感じました。2019年現在も、アイドルシーンにはEDMの残滓がまだまだあるので、なおさらそう感じるのです。(宗像明将)

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