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瀬戸康史、初めての育休に翻弄される新米パパ役に。「33歳になり父親役も似合うようになりました」

ぴあ

瀬戸康史 撮影:源賀津己

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現役コピーライターの魚返洋平が自身の育児休業体験を綴ったエッセイを原作に、育休を取った男のリアルな日常を描くWOWOWオリジナルドラマ『男コピーライター、育休をとる。』。日本における男性の育児休業取得がまだまだ一般的ではない中、一念発起して育休取得に踏み出す新米パパ・魚返役で瀬戸康史がWOWOWの連続ドラマに初主演。俳優として30代を軽やかに歩み、出演作ごとに新境地を見せている瀬戸が、育休生活のあれこれに悩みもがきながらも、かけがえのない幸せを見つけていく主人公について語る。

──まずは、台本を読んだときの率直な感想を聞かせてください。

瀬戸 この作品で描かれる育休生活って、8割がつらいんです。台本を読んでいても、「こんなにもつらいんだ……」と思ってしまいました。けれど、夫婦で口喧嘩をしていた次の瞬間、自分たちの赤ちゃんが可愛い笑い声を出す姿を見て、つらさが一気に吹き飛ぶ。それもまた育休なのかもしれないと思いました。そういった光景にほっこりさせられるし、日常にたくさん転がっているであろう小さな幸せに気づかせてくれる作品だと思いました。

──撮影が育児レッスンの場にもなったのでしょうか?

瀬戸 そうですね。沐浴やおむつ替え、授乳など、いろいろな育児体験をすることができました。すごく驚いたのは、赤ちゃんにミルクをあげるとき、思った以上に哺乳瓶を口に突っ込まなくてはいけないということ。ソフトにくわえさせていたら、赤ちゃん役の子の親御さんから「もっとグイッと入れてください!」と言われて。「そんなに!?」と思うくらい入れた方がいいらしく、勉強になりました。何気ない発見を撮影中にたくさん経験することができましたし、33歳になって父親役も似合うようになったんじゃないかと思います。

『男コピーライター、育休をとる。』

──劇中の魚返には、“保活”やパパ友作りなどの難題ものしかかりますね。

瀬戸 保活に関しては、今もよく分かっていないかもしれません。僕自身は福岡の田舎で育ったので、近所の保育園や幼稚園に行くのが当たり前の状況で。こんなにも選んだり、競争したりしなきゃいけない現実にちょっとショックを受けました。親にとっての試練なんだな、と感じましたね。

──映画好きの魚返夫妻が、各保育園をアカデミー賞女優の名前で呼ぶくだりがユニークでした。

瀬戸 誰も思いつかない発想ですよね! ただ、台本を読んでいるときは面白かったんですが、撮影のときはすごくこんがらがって……。ナタリー(・ポートマン)の園長は良かった~とか、メリル(・ストリープ)の保育方針に感動した……とか。台詞に苦労した箇所ではあります(笑)。

──瀬戸さん自身の理想の育休ライフは?

瀬戸 妊娠する女性の方が自由に動けない時間がどうしても多いので、男性ができることは動いてやるべき。率先してやれることは全部やりたい気持ちではいます。あくまでも理想なので、現実はどうなるか分かりませんけど……。

ただ、僕の親父もそうだったみたいで。福岡の人間ですが、ザ・九州男児みたいな親父ではなく、家事を積極的にやる人なんです。母親が外出しているときは食事を作ってくれたりもしました。なので、僕の中ではそれが普通です。

──育休に大切な心構えは何だと思いますか?

瀬戸 思いやりは言わずもがなで、あとは自分を見失わないこと。どんどん余裕がなくなるから、悪循環に陥らないよう無理なことはしない。誰かに助けを求めることも大事だと思います。

自分の思いどおりに事が進まなかったり、当たり前のようにやっていたルーティーンができなくなったりするのって結構なストレスだとは思うんですよね。いずれにせよ、ひとりではとても抱えきれないと思いますから。パートナーや家族、友達など、支えてくれる人の存在というのが大事になってくるんだろうなと思いました。

この役を演じることにより、そういった心構えを知ることができたことも、僕にとってはとてもいい経験になりました。

思うようにいかないときは、立ち止まるのではなく別の方法を探る

──育児シーン以外に、撮影で大変だったことはありますか?

瀬戸 台詞量も多いですし、カメラ目線で視聴者に話しかける特殊なシーンもあって。登場人物たちと普通に話していると思った次の瞬間、ふっとカメラの方を見て話し出す。その切り替えが難しかったんですが、楽しくもありました。

そういったシーンの演出では、僕が10年ほど出演している『グレーテルのかまど』を山口(淳太)監督が参考にしてくださったそうなんです。ただ、視聴者に投げかけるのは一緒でも、『グレーテルのかまど』はヘンゼル役ではありますが、ほぼ素ですから(笑)。役を演じながら視聴者に話しかけることに、最初はちょっとだけ手こずりました。

──物語の中では、仕事を一時停止する際の不安も語られています。何かが起き、周りが変わらず進む中で自分だけ立ち止まるときの不安は誰にでもあるものかと。

瀬戸 僕の場合は部下も同僚もいないので中々想像しにくいんですが、魚返みたいな会社員の方々は特にそうですよね。気にせずに……とは言っても気になるとは思いますが、あまり周りを気にしすぎたり、比べたりしなくても良いのではないかなと思います。

──部下や同僚はいないとはいえ、瀬戸さんの場合は同世代や年下の同業者がいますよね。

瀬戸 そうですね。ただ、僕は人と自分をあまり比べたりはしないので。売れる売れない、仕事のあるなしも、各人の人生であり、各人のタイミング。どうしようもないことなので、気にしても仕方がないと思うんです。

若い頃は同時期にデビューした人と自分を比べることもありましたが、それで焦って負のループに陥るのも意味がないので、わりとすぐにやめました。諦めとはまた違うんですけど、そんなことを考える時間があるなら別のことを考えた方がいいと思うようになって。思うようにいかないときは、そこで立ち止まっていても仕方がない。別の方法を探ることに頭を働かせた方が有意義だと思います。

──働く人間としての魚返も周りではなく自分自身に目を向け、人生の優先順位と向き合うようになります。今の瀬戸さんにとっての最優先事項は?

瀬戸 今に限らず、それはずっと家族です。誰のためにやっているか、何があるからやっているかと言ったら、家族。でないと頑張れないと思っていて。自分ひとりしかいなかったらどこか甘えるし、「まあいっか」となってしまいますから。親父やお母さん、家族のことを思うと、やらなきゃという気になってきます。

──最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

瀬戸 コロナ禍の不安でどんよりと過ごしている人も多いと思いますが、そんな方々にもプラスのエネルギーを与えられる作品になっています。育休について知りたい人はもちろん、いろいろな方に見ていただきたいですね。

──ちなみに、本作はWOWOWオンデマンドでの一挙配信もあります。瀬戸さんはドラマを一気に見る派ですか? 1話ずつ観る派ですか?

瀬戸 最終話まで揃っているなら、一気に観たい派かもしれません。ドラマに限らず漫画やアニメも、他の作品を挟むと忘れちゃうので(笑)。ただ、このドラマの場合は一気じゃなくてもいいかも。ある日の日常を切り取ったエピソードが続いていくので、ふとしたときに1話ずつ観ていくのも面白いと思います。

取材・文:渡邉ひかる 撮影:源賀津己

WOWOWオリジナルドラマ『男コピーライター、育休をとる。』
7月9日(金)配信・放送スタート
【配信】全12話一挙配信
【放送】毎週金曜 夜11時(全6回)
WOWOWオンデマンド/WOWOWプライム
WOWOWオンデマンドでは第1・2話をいち早く配信中

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