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『HARE NOVA FINAL !!!!!』ライブレポート「原石としてどれだけ面白いものを持っているのか」

リアルサウンド

14/9/28(日) 13:00

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 会社設立40周年を迎えるソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)が、4月から7月にかけてマンスリーステージとして渋谷clubasiaで展開してきたライブオーディションシリーズ『HARE NOVA』(ハレノヴァ)。そのファイナルステージ『HARE NOVA FINAL !!!!!』が8月28日、渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された。この『HARE NOVA FINAL !!!!!』には、合計4回の各回から選ばれたフィッシュライフ(Vol.01)、絶景クジラ(Vol.02)、BOYS END SWING GIRL(Vol.03)、もしもしくじら(Vol.04)と、初登場となったShout it Out、橋鼠が出演した。
HARE NOVA オフィシャルHP  https://sma40th.com/harenova/

 リアルサウンドではマンスリーステージに続き、イベントにゲストウォッチャーとしても参加した音楽ジャーナリストの宇野維正氏によるライブレポートを掲載する。「HARE NOVA」の趣旨についてはこちら。(編集部)

・出演アーティスト
Shout it Out
もしもしくじら
橋鼠 [w/鈴木浩之(U&DESIGN)ゲストシンガー:石野理子(アイドルネッサンス)]
絶景クジラ
BOYS END SWING GIRL [ゲストシンガー:古野恵理]
フィッシュライフ
nicoten(オープニングゲスト)
UNISON SQUARE GARDEN(ゲストアクト)

・MC
土岐麻子(シンガー)
冨永周平(ソニー・ミュージックアーティスツ[HARE NOVA])

・ゲストウォッチャー
原田公一(ソニー・ミュージックアーティスツ)
中山道彦(ソニー・ミュージックアーティスツ)
タカハシヒョウリ(オワリカラ/科楽特奏隊)
青山美郷(劇団ハーベスト)
道下善之(ソニー・ミュージックアーティスツ)
宇野維正(音楽ジャーナリスト)

Shout it Out

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 大阪在住、メンバー4人のうち3人が現役高校生のShout it Out。平日開催だったためにこれまでの『HARE NOVA』マンスリーステージには出演が叶わなかったが、今回の『HARE NOVA FINAL!!!!!』は夏休み中の開催ということで晴れて東京に初見参。ちなみに東京在住の友人に今度O-EASTのステージに立つと話したら「お前、バカじゃないの? それ、とんでもないことだぞ!」と言われたとのこと。メンバー全員、少年期特有のまだ華奢な身体つきながら、そこから発せられる野太い歌声と端正なギターバンドとしてのサウンドは既に完成形に近いもの。ボーカル山内彰馬のスター性も十分で、今後の活躍に否が応でも期待が高まる。

■ゲストウォッチャーコメント
原田公一「勢いはすごく感じましたけど、このバンド特有のグルーブまでは感じることができませんでした。今日は緊張がこちらにもぐいぐい伝わってきましたけど、もっともっと場数を踏んで、いいライブバンドになってくれることを期待しています」
青山美郷(劇団ハーベスト)「私よりも年下ということで注目していたんですけど、ステージで演奏している時は全然高校生に見えなくて、とても堂々としていてビックリしました」

もしもしくじら

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 7月に開催された『HARE NOVA Vol.04』で混戦の末に投票結果1位を獲得した女子3人+男子ドラマーの4人組バンド、もしもしくじら。今年3月から本格的に活動を始めたというだけあって、前回から短い期間にもかかわらずバンドとしての大きな成長が感じられた。この日はできたての新曲も披露。楽曲のアレンジやコーラス面においてまだ未熟さはあるものの、ボーカルさかきばら あゆみのステージ上での存在感も飛躍的にアップしていて大器としての片鱗を見せつけてくれた。

■ゲストウォッチャーコメント
道下善之「バンドの衣装や雰囲気、それに曲順も良くて、よく考えてるなぁと。20分があっという間でとても良かったです。僕はマネージャーなので、4人のバンドの中に男子1人という、この構成をどう活かしたらいいかという目線でも見てたんですけど、そこをチャームポイントにできるようになったらよりバンドとしての幅が広がると思います」
タカハシヒョウリ(オワリカラ)「演奏のキメのところがとてもかっこよくて。僕の持論では、どんな下手なバンドでもキメのかっこいいバンドはいいバンドになると思うんですよ。とても未来が楽しみなバンドでした」

橋鼠

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 今回の『HARE NOVA FINAL!!!!!』最大のサプライズと言い切ってしまっていいだろう。これが人生初のライブだったという橋鼠、16歳。初のライブにしてドラマーに鈴木浩之(U&DESIGN, ex.ART-SCHOOL)、ゲストボーカルにアイドルネッサンス石野理子というサポート陣も破格だったが、何よりも破格だったのはその楽曲のクオリティとパフォーマンス。いわゆるボカロ系エレクトロニカなサウンドなのだが、もうこの時点でそのまま音楽シーンの最前線で通用する多彩な楽曲群と、それを敢えて自身で歌い踊るという勇気。会場全体に大きなざわめきが広がっていった。

■ゲストウォッチャーコメント
原田公一「こういう音楽性でありながら、生ドラムでパフォーマンスをしようと思ったことがまず素晴らしいと思いました。歌詞も曲も年齢をまったく感じさせなくて、本当にこれからが楽しみな才能ですね」
タカハシヒョウリ(オワリカラ)「規格外ですね。できれば、その才能を純粋培養していって欲しいなと。これから歳をとっていくと無駄なことを考えるようになるかもしれないけど、君は才能があるからその必要がないと思います。無駄なことを考えずに、これからも楽しく音楽を作っていってください」

絶景クジラ

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 晴れて、この日の『HARE NOVA FINAL!!!!!』に出演した6組の中から9月20日に日比谷野外大音楽堂で開催された『顧問豊作』 YO-KING dayのオープニングアクトに選出された絶景クジラ。彼女たちが初めて『HARE NOVA』のステージに立ったのは今年5月に開催されたVol.02のこと。その時はフロア狭しと暴れまくってそのパフォーマンスのインパクトでオーディエンスを掴んでいったが、この日のステージは真っ正面から演奏力で勝負。バラエティ豊かな楽曲同様、バンドの見せ方においてもいくつもの引き出しを持っていることを証明してみせた。

■ゲストウォッチャーコメント
中山道彦「3ヶ月前とはまったく別のバンドを見ているような気持ちになりました。単純に成長や進化をしたというよりも、やりたいことが変わってきたのかなと。また半年後に見たらまったく違うバンドになっているような気がして、それがとても楽しみですね」
タカハシヒョウリ(オワリカラ)「とてもいいバンドだと思うんですけど、だからこそ言っておきたいことがあって。小説で言うと、綺麗な表紙があって、いいストーリーがあって、文章も上手いんだけど、文体がまだないと思いました。そのバンドだけの文体があって、初めてプロと言えるんじゃないかなと。すいません、難しいことを言って」

BOYS END SWING GIRL

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 6月に開催された『HARE NOVA Vol.03』で投票結果1位に輝いた千葉県成田出身の4人組、BOYS END SWING GIRL。前回同様に、真っ直ぐなソングライティングとタメの効いた巧みな演奏力からくる安定感あるパフォーマンスを存分に発揮してくれた。今回は新しい試みとして、ゲストボーカリストに高校生女性シンガー古野恵理が参加した曲も披露。オーソドックスなギターロックバンドにとどまらない新たな可能性も示していた。

■ゲストウォッチャーコメント
原田公一「ワン・アンド・オンリーなことをやっていかないと、プロとしてバンドを続けることはできないと思うんです。今はとてもキラキラしていて、そこはとてもいいんですけど、さらに深みのようなものがバンドの魅力に加わってくるのを期待しています」
中山道彦「正直言って、もうデビューしていても全然おかしくない存在感を持ったバンドです。このレベルでデビューしているバンドはたくさんいます。ただ、気になるのはちょっとやり過ぎというか、サービス精神が旺盛すぎるところ。もうちょっとお客さんを信頼するというか、お客さんの想像力にまかせる部分があった方がいいと思います」

フィッシュライフ

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 4月に開催された『HARE NOVA Vol.01』で大きなインパクトを残した3ピースバンド、フィッシュライフ。ナンバーガール直系の激しいギターサウンドに、日本のバンドならではのメロディや歌声や歌詞のメッセージの泥臭さも加わって、既にこのバンドだけのオリジナリティを確立している。6組のファイナリストのトリを飾るに相応しい、とことん熱い鮮烈なステージを繰り広げてくれた。

■ゲストウォッチャーコメント
宇野維正「歌詞に耳を傾けていて思ったのは、きっと言いたいことがすごくたくさんあるバンドなんだろうなということで。そういう意味では、バンドのアレンジ的には今のような押しっぱなしではなくて、もうちょっと言葉がダイレクトに入ってくるような引きの部分とか音の隙間があってもいいと思いました」
青山美郷(劇団ハーベスト)「すっかり引き込まれてしまいました。エネルギーがとても伝わってくる演奏で、ただ熱いだけじゃなくて、曲ごとに、シーンごとに空気が変わっていくのがすごかったです」

00_nicoten_r.JPGnicoten

 以上、充実のファイナリスト6組のほか、オープニングゲストとしてサブステージに3ピースバンドnicotenが登場して開演前のフロアを七色のポップワールドに染め上げ、イベントの最後にはニューアルバム『Catcher In The Spy』リリース翌日という絶好のタイミングでゲストアクトのUNISON SQUARE GARDENが登場、満員のオーディエンスの前で新曲にレア曲を織り交ぜた貴重なセットでフロアを大いに湧かせてくれた。

07_usg_r.JPGUNISON SQUARE GARDEN

「今日出演したバンドの中には、今すぐフェスに出ても通用するような即戦力的なバンドもいくつかありましたけど、僕らはもっと長い目でバンドを見てるんですよね。完成度よりも、そのバンドが原石としてどれだけ面白いものを持っているのか。みんな『売れるためにはどうしたらいいのか』とか、いろんなことを考えてバンドをやってると思うんですけど、僕らが見ているのはそこじゃないんです」(道下善之)
「さすがファイナルだけあって6組とも実力は申し分ないんだけど、みんな最後の鍵が見つかってない状態だと思うんです。その鍵を見つけられるかどうかが重要だということを、今日はとてもリアルに感じました」(中山道彦)
「やっぱり僕が求めているのはどこにもいないオリジナリティと個性で、それを常に探しているんですね。今日それを一番感じたのは橋鼠くん。他のバンドもそれぞれ良かったけど、ライバルが多そうだなぁと(笑)。でも、毎回たくさんマネージャーが来てくれたけど、きっと彼らにとってはいろんな発見があったイベントだったと思います」(原田公一)

 第1回目が開催された4月から今回のファイナルまで計5回。『HARE NOVA』という対バン・イベントやフェスとは一味も二味も違う、発見と驚きと刺激に満ちたまったく新しいタイプの音楽イベントの試みは、こうして熱狂とともに幕を閉じた。

(取材・文=宇野維正/撮影・Ohagi)

■原田公一:1977年より南佳孝のマネジメントを担当。その後、UNICORN、PUFFYほか多くのアーティストに携わる。現・ソニー・ミュージックアーティスツ取締役。
UNICORN オフィシャルHP:http://www.unicorn.jp/
PUFFY オフィシャルHP:http://www.puffy.jp/

■中山道彦:株式会社ソニー・ミュージックアーティスツ代表取締役社長

■タカハシヒョウリ:「終わり」と「始まり」二つの言葉が示すとおり、ポップとアヴァンギャルド、未来と過去の架け橋となる「最重要」ロックバンド・オワリカラのボーカル、ギター。アルバム『サイハテ・ソングス』絶賛発売中
オフィシャルHP:http://owarikara.com/

■青山美郷:ソニー・ミュージックアーティスツ所属女優による演劇集団・劇団ハーベストのリーダー。
オフィシャルHP:http://her-best.net/

■道下善之:電気グルーヴ、ねごと等、多くのアーティストのマネージメントを手がける。
電気グルーヴ オフィシャルHP:http://www.denkigroove.com/
ねごと オフィシャルHP:http://www.negoto.com/

■宇野維正:音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

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