学園ドラマおよび青春映画は、スクールカーストを代表例に多かれ少なかれ対立構造の中で語られることが多い。そして、ほとんどのケースで、そこには優劣がつけられる。 典型的な例でいえば、いじめる側＝悪、いじめられる側＝善で片づけてしまう。仲良し4人組の話であれば、それがすべてで他はどうでもいい。こうした枠組みが存在する。 でも、本作はその枠組みを軽々と飛び越える。主人公の成績優秀なヒロインは、はじめ自分と価値を共有しないクラスメイトを徹底的にこき下ろし、見下している。だが、一夜のパーティーを経た彼女は、クラスの人気者から目立たない子、性的マイノリティまで、みんな自分と大差のないことに気づく。その彼女の気づきは物語の重要なテーマで、誰ひとり悪者にすることなく、すべての生徒の存在を肯定する。 作品のルックスは悪ノリにも似たコメディなのだが、実は深いメッセージの入った新時代の学園ドラマであり青春ドラマの誕生かもしれない。