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『警視庁・捜査一課長2020』プロデューサーが明かす、ユニークなドラマを成立させる秘訣

リアルサウンド

20/5/21(木) 8:00

 ヒラ刑事から這い上がった“叩き上げ”の捜査一課長・大岩純一(内藤剛志)と捜査員たちの熱き奮闘を描く、木曜ミステリー『警視庁・捜査一課長2020』(テレビ朝日系)。第3話では「3割引シール殺人!? 絶対怒らないクレーム処理女の謎」、第4話では「餃子好きによる餃子好きの殺人」と独創的な題材が繰り広げられており、視聴者を引きつけている。

 リアルサウンド映画部では、本作のゼネラルプロデューサー関拓也氏にインタビューを行った。ユニークなドラマを豪華出演者で成立させる秘訣はどこにあるのか。制作の背景や、本作のここまでの反響を受けての心境、5月21日から放送されるリモートドラマの見どころを聞いた。(編集部)

参考:『警視庁・捜査一課長』『キラメイジャー』『M 愛すべき人がいて』にみる、テレビ朝日の狙いと戦略

■「コンセプトは『科捜研の女』とまったく一緒」
――内藤剛志さん主演の『警視庁・捜査一課長2020』はシーズン4に入り、ますます話題ですね。例えば、第3話の「遺体の3割引シール」や第4話の「餃子の皮」などでは、Twitterのトレンドにいくつもの関連ワードがランクインするほどの盛り上がりでした。これまでよりも若い視聴者がたくさん参入している印象もあります。

関拓也(以下、関):今年は特にコロナ自粛によって在宅率が上がったことから、たくさんの方にご覧いただいている印象は確かにあります。ただ、変えているつもりは特になく、シリーズを通して常に意識していることは、夜8時という時間帯なので、わかりやすく、明るく楽しい内容をお送りするということ。根本のコンセプトは『科捜研の女』とまったく一緒なんです。もちろん謎解きモノなので、多少の血は流れますが、ドロドロした内容を夜8時にご覧になりたい方はあまりいらっしゃらないと思いますので、殺人事件に重きを置いているわけではなくて。基本的に嫌な人がいなくて、みんな一生懸命に生きていて、全員で頑張って事件を解決するということを大事にしています。

――確かに、殺人についても、恨みや憎しみがベースにあるわけではなく、おっちょこちょいや不運による事件が多いですよね。

関:時間帯のせいはありますね。テロなどはないし、極悪人もほとんど出ない。作る側としては、被害者も加害者も含めて、一生懸命生きている人たちを描きたいということ。今年は特に、観ていただく方が最終的に前向きであたたかい気持ちになっていただけるものをお届けしたいと思っています。

――3割引シールや餃子の皮、キャミソールなど、遺体が奇妙なモノをつけていたり握ったりしているパターンが多いですが、「今回は餃子の皮にしよう」などとモノから先に決めているのでしょうか?

関:回によって異なりますが、基本的にはテーマを最初に決める場合が多いですね。例えば第3話は、クレーム対応を突き詰めようというテーマで、クレーマーの話なので、遺体に割引シール貼ってみたらどうだろうと。ゲスト主役の方のキャラクター性や経歴などを考え、そこから遠くない事件にしていることもあります。

――サブタイトルの強烈さも、大きな特徴ですが。

関:サブタイトルは、新聞のラテ欄に載るものですね。もともと2012年から単発で放送されてきた『土曜ワイド劇場』の作品なので、その流れで、文字だけで様々な想像をしていただきたいという狙いがあります。逆にサブタイトルを先に思いついて、そこからストーリーを作ることもあるんですよ。

――「3割引シール」「餃子」ときた直後に、「ありえないものを握って落ちた」と。ありえないものが何なのか気になりすぎて、観ざるを得ない展開でした。

関:予告のPRを順番に作っていく中で、「3割引シール」「餃子」ときて、次は「キャミソール」と言っていたんですよ。でも、「もっと視聴者の皆さんの期待に応える形はないかな」と考えて、直接モノを出さずにいこうと(笑)。

■「メインのほうでない役にも、命を与えたい」
――女性刑事は「大福」「もなか」「チョコ」「おはぎ」「ようかん」など、甘味シリーズで、役名の遊びも多いですよね。

関:斉藤由貴さんのあだ名「大福」は、当時の警察監修の方に「隠語ないですか」と聞いたら、犯人逮捕のゲン担ぎで大福を食べることから大福は縁起がいいと言われそれをヒントにしました。また、安達祐実さんの役には、最初は普通の名前をつけたんですが、「大福がいるから、次は最中かな」と、あだ名でなく本名を「萌奈佳(もなか)」に。そこから迷走してきて、宮崎美子さんの「智代子」を「チョコ」と言い出すなど、どんどん止まらなくなってしまったんです(笑)。

――最近では、「餃子」の回で殺されたのが「堤太蔵(つつみたいぞう)」で、妻は「堤益代(つつみますよ)」で、三倉佳奈さん演じる“餃子の匂いを漂わせる謎の女”は「韮崎(にらさき)」だったり、第6話の殺人キャンプの話には「森野重人」が出てきたり。ダジャレも多いです(笑)。

関:初期はここまでじゃなかったと思うんですが、これも『土曜ワイド劇場』がエンターテインメント性の高い番組だったことがありますね。ただ、1話あたり10人くらい出てくる中で、名前まで呼ぶキャラは多くないので、テロップが最後に出たときに気づいていただくことが多いようです。メインのほうでない役にも、命を与えたいという思いはあって、それがダジャレになるのかもしれないですね。

――視聴者の中には「コント」のように楽しんでいらっしゃる方もいます。

関:いろいろな楽しみ方をしていただけるのはありがたいですが、スタッフ・キャストはいつでもみんな真剣に作っています。私自身、この作品のもととなった『土曜ワイド劇場』を手掛けていたんですが、『土曜ワイド劇場』は40年くらいの歴史があるので、最初は番組を作られた諸先輩方が何を喋っているのか、全然わからなかったんです。でも、出来上がった作品を観ると、深刻な内容の中にも強いインパクトを与えるような、とっかかりが必ずあって。「これはすごく勉強になるな」と感じたことから、夜8時の枠でもとっかかりになるものは大切にしています。

――関さんと内藤さんは、『科捜研の女』のタッグでもありますね。ただ、科捜研ではマリコという強烈なキャラクターが人気であるのに対し、一課長の大岩さんはごく普通の人ですよね。強烈なのは、周りの人たちのほうで。しかも、毎回、一課長の決めゼリフ「必ずホシをあげる!」の後に、全員が足を使ってしらみつぶしに広範囲を探して犯人を導き出す、地道で泥臭い展開があります。

関:視聴率がおかげさまで上がっているのも、そうした総力戦を評価していただいているところはあるかと思います。『捜査一課長』は刑事モノですが、作り手としては、ある種、学園モノの気持ちなんです。変わり者がいっぱいいるクラスの担任が、内藤さん演じる大岩で。大岩はスーパーマンではなく、普通の交番勤務のヒラから始まって、人望であそこまで来た人。表のコンセプトは「理想の上司」で、裏のコンセプトは「変わり者が揃ったクラスの先生」なんです。何が理想かというと、変わったヤツもみんな「お前のその変わったところが良い」と一人ひとりを評価し、認めてくれるところ。上の人って、めっちゃ否定してくることが多いじゃないですか。でも、こんな風に認めてくれ、受け入れてくれる上司がいたら、もっと頑張れるんじゃないかと。そして、全員で一緒に頑張って、全員で勝つんです。

――ほかの刑事ドラマとの一番の違いはやはりスーパーマンがいないこと、総力戦であることでしょうか?

関:そうですね。だからこそ、ネット上には「ノーヒントでこの犯人かい!?」という声もあるんですが、実は全部ヒントは出しているんですよ。2時間ドラマから始まったので、2時間分の要素を1時間でやっているんですが、たくさんの要素をわかりやすく進行していくためにとっているのが、バラバラに散った部下たちが、仕入れた情報を一課長室に持っていくという方法です。皆さんには一課長の目線にいていただければ、一緒に犯人捜しを解いて楽しめるものとなっているんですよ。

■「突き詰めていけば新しいかたちが見つかる」
――絶好調のシーズン4は、残念ながら新型コロナウイルス感染症による撮影スケジュールへの影響によって中断となりますね。

関:本作はかなり時間をかけて制作しているため、12月にクランクインしており、他の作品と比べてストックが十分にあったので、この段階まで放送が続けられました。撮影は残念ながら4月にはストップしてしまいましたが、5月21日放送分からは、2年前の連ドラをお送りしつつ、1本1本の中にある謎を、テレワークによって大岩(内藤剛志)と小山田管理官(金田明夫)、運転担当刑事・奥野(塙宣之)の3人が解決するかたちになります。

――実際にテレワークで撮影されてみて、想像と異なる点などはいかがでしたか?

関:3人の方々にはそれぞれ簡単な台本をお送りして、Zoomのようなツールで「テレワーク捜査会議」を撮影しました。ただ、画がどうしても固定になるんですよね。だから、3人一緒に出したり、1ショットにしてじわじわ寄っていくようにしたり、工夫していますが、制限はかなりあるなと。内藤さんをはじめ、キャストの皆さんには「観ていただく方に明るい気持ちになっていただくためには、こういうかたちもアリだよね」と言っていただけているので、今は手探りで必死にやっています。でも、こうした状況でも、突き詰めていけば新しいかたちが見つかるんじゃないかと思いますので、皆さんにも放送をご覧いただき、ご意見・ご感想をいただけたら嬉しいです。

(取材・文=田幸和歌子)

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