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五輪に選ばれなかった競技を描く、ゴジゲンの新作『ポポリンピック』

ぴあ

19/12/24(火) 13:00

ゴジゲン『ポポリンピック』

ゴジゲン第16回公演『ポポリンピック』が、福岡、東京、札幌、京都の4都市ツアーを行っている。

何とも不思議な語感の『ポポリンピック』。そのタイトルから連想される通り、今作はオリンピック/パラリンピックが主題に組み込まれている。これまでどうしようもない男たちのどうにもならない日常を描いてきたゴジゲンからすると、オリンピックなんて世界一の祭典は最も対極の位置にあるようだけれど、そこをきちんと自分たちの視点で切り取り、自分たちの体温にちょうどフィットする温度で育んでいるところが、いかにもゴジゲンらしい。

彼らが着目したのは、東京オリンピックの追加種目にエントリーされながら、最終的に候補から漏れた競技の選手たち。その中でも誰もが一度は親しんだことのあるボウリングにフィーチャーし、オリンピックの舞台に立つことを夢見ながら、やがて迷走し、暴走していく天才ボウリングプレイヤーの姿を、松居大悟らしいコミカルなタッチで描いていく。

そう考えると、題材こそ変化球だが、根底に流れているものは今までと何も変わらない。ゴジゲンはこれまで一貫して日の当たらない場所で生きている人々の不器用な生き様を、松居の優しく温かな眼差しですくいとってきた。この『ポポリンピック』も東京オリンピックという鮮烈な光を取り上げることで、そこに“選ばれなかった人々”の影が克明に浮かび上がってくる。

この世界を生きる大半が“選ばれなかった人々”だ。誰からも選ばれず、認められず、理不尽と不公平と劣等感に翻弄されながら、みんな自分の人生を生きている。ただまっすぐに自分の信じた道を進んでいるだけなのに、変人のような目で見られたり、まるで社会にとって無価値のように扱われたり。日陰の者たちに、世間はとかく厳しい。

でも、華やかな表舞台だけが、ドラマじゃない。そこからこぼれ落ちた無数の人生にこそ、ドラマがつまっている。そんな無名の人生への慈しみが溢れているから、こんなにもゴジゲンは多くの人の心を元気づけるのだろう。オリンピックの狂騒に湧く2020年。その始まりに観ておきたい1本がまもなく幕を上げる。

12月21日・22日に福岡・イムズホールで開始した4都市ツアーは、1月3日(金)から21日(火)まで東京・こまばアゴラ劇場、1月25日(土)から27日(月)まで札幌・扇谷記念スタジオ シアターZOO、2月8日(土)・9日(日)に京都・THEATRE E9 KYOTOで上演される。

文:横川良明

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