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新しい地図への楽曲提供で話題 中学生トラックメイカーSASUKEが持つ、SNS時代ならではの才能

リアルサウンド

19/1/1(火) 10:00

 新しい地図として活動してきた稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾の3人が、新しい地図 join ミュージック名義の新曲「#SINGING」をリリースした。

新しい地図 join ミュージック 全楽曲Amazon Musicで配信中
 彼らはこれまで小西康陽や菅野よう子といったベテランからbanvox、ぼくのりりっくのぼうよみといった若手までを楽曲制作に起用してきたが、この「#SINGING」の作詞・作曲・編曲を任されたのはまだ15歳の現役中学生ビートメイカー、SASUKE。Native Instrumentsの制作機材MASCHINEを使ったフィンガードラムのパフォーマンスを中心に、歌やダンスもこなす全方位型のパフォーマーだ。10歳のときには、ニューヨークのアポロシアターで開かれるショービズ界の登竜門、「アマチュアナイト」のダンス部門で優勝をもぎとった。12歳のときに出場したフィンガードラムの日本一を決める大会では、初出場ながら準優勝を果たしている。

SASUKE / MASCHINE PERUFORMANCE / at NEW YORK CITY / 2016SUMMER
 また、ビートメイカーとしてはSoundCloudやInstagramでトラックやパフォーマンス動画を発表しているほか、12月26日には「インフルエンザー」を配信リリースしたばかり。実力も話題性も抜群の若手を大抜擢、というかたちだ。

 SoundCloudなどでうかがい知るかぎり、四つ打ちやトラップを中心としたEDMからアップリフティングなブレイクビーツまで、SASUKEのつくるビートはさまざまだ。先述のシングルのほかはまだミックステープやアルバムレベルのまとまったリリースはないため、スキルはともかくビートメイカーとしての個性が発揮されるのはまだこれからといったところだろう。しかし、音楽への感度と反応速度は確かだ。つい先日は、Brainfeederからのリリースが話題となったミュージシャン、ルイス・コールへオマージュを捧げるパフォーマンス動画でSNS上を騒がせている。

 こうしたフットワークの軽さは今後、彼の独自のセンスを磨き上げていくはず。なにより、歌やダンス、フィンガードラミングから伺えるパフォーマー志向はまさにYouTube、Instagramを筆頭とする動画SNSが主流となった時代ならではで、これまでのスピード感をあてはめて考えるのも尚早といったところか。

新しい地図 join ミュージック「#SINGING」
 さて、「#SINGING」では平成の芸能界を代表するといって過言ではない3人へ楽曲を提供したSASUKE。歌詞は永遠に続くかのようなパーティの“今”のよろこびを歌い上げるポジティブな内容で、ステージの上でパフォーマンスを通じて人びとを魅了する3人を描いているようにも、ダンスフロアでオーディエンスと合唱し踊る様子を描いているようにも読める。個人的には、パーティソングには“夜”につかのま現れるユートピアという刹那性がつきもの、というイメージがある(近年でいえばtofubeats「朝が来るまで終わる事のないダンスを」を挙げればわかりやすいか)のだが、陽光の差す明るい情景として終わらない歌、終わらないパーティを描いているのが面白い。昼間の生活に疲れた大人のための逃避の場ではなく、老若男女が集う場所として、「#SINGING」というハッシュタグが掲げられている、というところだろうか。

 アレンジはウェルメイドな四つ打ちのダンスチューンで、歌詞の伝えるメッセージと同様にポップスとして広く受け入れられそうな親しみやすさがある。アップテンポですこし性急な印象の譜割りも、3人のパフォーマンスが受け止めている。間奏ではビートがハーフになってトラップ風のグルーヴとメロディアスなリードシンセが差し挟まれ、現代的なフレイバーをさりげなく加えている。ビッグネームへの初の提供曲で若くしてこれだけ安定したクオリティを見せつけられるのは見事だ。

 ステージパフォーマンスでも注目を集めるSASUKEだけに、新しい地図の3人とのステージでのコラボも期待できる。今後、どのような場で彼らの活躍を見ることができるかが楽しみだ。(imdkm)

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