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平手友梨奈、メンバーとの関係性から見えるあどけなさ パブリックイメージとは異なる素顔とは

リアルサウンド

20/1/29(水) 7:00

 先日欅坂46からの脱退を発表した平手友梨奈。彼女のイメージと言えば、ミュージックビデオやテレビパフォーマンスなどで見せる力強い姿だろう。アイドル誌のみならずカルチャー誌やファッション誌の表紙に登場することも多いため、他のメンバーとは一線を画した”孤高の存在”として世間に認知されていたかもしれない。メッセージ性の強い楽曲を表現する”カリスマ”的なイメージだ。しかし、彼女を知れば知るほど見えてくるのが、そうしたパブリックイメージとは真逆の、ごく一般的な少女の顔である。今回はそんな彼女の”素顔”に迫ってみたい。

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 脱退を発表した後、メンバーから「平手の頭の中にあったやりたいことを全て叶えたかった」とのコメントがブログで公開されるなど(参照:齋藤 冬優花 公式ブログhttps://www.keyakizaka46.com/s/k46o/diary/detail/32411)、メンバーにとって彼女はクリエイティブ面で信頼の厚い存在だった。しかし、2018年公開の映画『響-HIBIKI-』で共演した女優の北川景子は、彼女の印象について次のように語っている。

 「話すと等身大の10代の女の子で、金銭感覚なんかも普通。ところが、いざクリエイティブな話をするとプロフェッショナルとしてきちんと意見を交換出来る。なんか、そのギャップがすごく萌えというか(笑)。大人な部分を持ちつつ、一緒に写真撮ろーって来るところなんかはすごく年相応でかわいい。」(『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20190807』より)

 このように彼女には二つの顔がある。一つは、ステージ上で見せる欅坂46のセンターとしての顔。笑顔を見せず気丈に振る舞う、クリエイティブ面に真剣な、多くの人びとがイメージする”アーティスト平手友梨奈”の顔である。もう一つが、年相応の10代の少女としての顔。世の若い女性たちと同じようにタピオカミルクティーが好きで、年上メンバーに可愛がられるような、ステージ外の限られた場所だけで見せる素の顔である。

 また、今でも印象深いのが、散歩中にマネージャーから「生まれ変わるなら何になりたい?」と聞かれた時に「たんぽぽかなあ」と答えたというエピソードだ(『クイック・ジャパン135』より)。動物を答えるのはよく聞くが、植物を答える例はあまり聞かない。そして、道端にひっそりと咲くイメージのあるたんぽぽを選ぶ”素朴さ”に、なんとなく彼女の本質が潜んでいるような気がした。主役ではなはく、それを引き立たせる脇役や風景の方に彼女は意識が向いているのに、与えられるポジションは常にセンター。鋭い目つきで「僕は嫌だ!」と叫ぶ彼女に対して、静かに風に揺れるたんぽぽのような彼女。その乖離は徐々に強まっていったように思う。

 当時、「必死だった時間を走り抜いてきた原動力は何だったか」という質問に対して「学校という存在は大きかったかもしれないです」と答えている(『ロッキング・オン・ジャパン2017年12月号』)。続けて、「欅坂とは違う自分――リンクはしてると思うんですけど、高校時代は一番気持ちがコロコロ変わるだろうし、『大事な時期』っていろんな人から聞くから、大切にしなきゃなと思ってます」と、学生として生活する自分が活動の支えになっていると発言していた。ステージ外での普段の彼女の存在が、ステージ上でファンを魅了する”アーティスト平手友梨奈”の原動力になっているというのだ。

 2017年の4月から現在まで毎月レギュラーで出演しているラジオ『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)の放送後に番組HPにアップされる写真は常に自然体で、アーティストというよりはむしろ、ごく普通の女の子。リスナーからのメールを読んだり電話で親身に相談に乗る様子は、まさに飾らない素の彼女といった様子だ。「ライブなどとはまた感覚の違ったお仕事」(『別冊カドカワ 総力特集 欅坂46 20190807』より)との本人の証言もあるように、”ステージ上の平手友梨奈”と”ラジオの平手友梨奈”もまた別人のようだった。同世代のリスナーと交流できるラジオという場が、数少ない素の自分を出せる場所だったのだろう。脱退の発表の場をラジオに選んだのも、そうした安心感から来たものなのではないだろうか。

 そんな彼女にとって、メンバーの存在は大きかったようだ。とりわけ同期の渡邉理佐との姉妹のような関係性には、仕事もプライベートも両方で信頼し合う強固な絆を感じ取れた(参照:https://realsound.jp/2019/10/post-434237.html)。また、ラジオで2期生の田村保乃に電話をかけた際、二人の会話のあまりの仲の良さに驚く声も多く、”孤高”のイメージを覆すそんな彼女たちの関係性は、時にファンをも驚かせていた。

 メンバーやスタッフからは”てち”、”ひーちゃん”、”バブ”、”カワウソ”などの愛称で呼ばれ、グループ内では妹というより”赤ちゃん”的存在。1期生の中では最年少だったため周りのメンバーに可愛がられることが多かったようだ。

 多くのメディアで取り沙汰される彼女の”孤高”のイメージ。しかし、そうした力強い姿をステージ上で発揮できるのは、周りのメンバーとの信頼関係があってこそだろう。脱退を機に思い起こされる彼女の”素顔”。それは、ステージの真ん中で観客を魅了する裏で、メンバーに支えられながら普通に学生として生活する、たんぽぽのような素朴さを持ったあどけない少女の顔だ。(荻原梓)

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