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トム・ハンクスの最新主演作 トロント映画祭にて世界プレミア

ぴあ

19/9/10(火) 13:00

『A Beautiful Day in the Neighborhood』 (c)Courtesy of TIFF

トム・ハンクスの最新主演作『A Beautiful Day in the Neighborhood』が、トロント映画祭で世界プレミアされた。ハンクスが演じるのは、60年代末から長年にわたって子供向け番組の司会者を務めたフレッド・ロジャース。歌ったり、踊ったり、ぬいぐるみを使って話しかけたりしながら、ミスター・ロジャースは、子供たちにポジティブなメッセージを送り続けた。

彼の人生全体については、昨年アメリカで公開され、スマッシュヒットとなったドキュメンタリー『Won’t You Be My Neighbor?』があるが、今作は、彼を取材した『Esquire』誌のライターの記事をもとに、彼の視点から語るものだ。映画ではロイドという名前になったそのライターは、他人に対して批判的になりがちで、それが記事にも表れる。それだけに、彼にインタビューされることを拒否する人物は多いのだが、ミスター・ロジャースは、喜んで引き受けてくれた。彼とのインタビューは奇妙なことだらけだったが、そうやって接触していくうちに、ロイドの生き方は大きく変わっていくのである。

監督は、昨年トロントで上映されて好評を得た『Can You Ever Forgive Me?』のマリエル・ヘラー。プレミアの翌朝の記者会見でヘラーは、プレミアが終わった深夜1時半頃にミスター・ロジャースの妻であるジョアンから「あなたが彼に直接会えることがあったらよかったのにと思います。あなたたちはとても良い会話をしたでしょう。そして彼はこの映画をとても誇りに思うことでしょう」とのメールが届いたと、感激しながら報告をした(ロジャースは2003年に74歳で亡くなっている)。

1956年生まれのハンクスは、ミスター・ロジャースの番組が人気になる頃にはすでにティーンエイジャーだったため、個人的な思い入れはそれほどなかったという。しかし、ミスター・ロジャースと車椅子の子供が対話する映像を近年見た時には、心から感動させられたと語った。とは言え、ミスター・ロジャースのおなじみの歌、振り付けをそのとおりに再現するのは「生き地獄だった」とまで言っては記者たちを笑わせている。

意外にも苦労させられたのは、カーディガンのファスナーを引き上げるタイミングだったそうだ。ミスター・ロジャースが実際に着ていたのは妻の手編みで、そのニュアンスを出すためにハンクスの衣装も手編みで作られたため、ファスナーがすんなりと上がりにくかったのだそうである。

あのオープニングシークエンスは「何度テイクをしたかわからないが、たくさんだった」とハンクスが言うと、横からヘラーが「22回テイクをやったわよ」とフォローした。また、言ってみれば有名な歌のお兄さんを演じる上では、「自意識過剰にならないようにすること、キャラっぽくならず、人間らしさを出すこと」に注意したとも振り返っている。

今作のアメリカ公開は11月22日。日本公開も決まっている。

取材・文=猿渡由紀

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