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最強兄貴と自粛中でも異国の地でサバイバル! 『You vs. Wild』にワクワクする

リアルサウンド

21/3/11(木) 10:00

 あの兄貴が帰ってきた! ベアこと、ベア・グリルスだ。この名前にピンとくる方は、サバイバル好き。誰だっけ?と思った方は、2019年4月に配信されたNetflixオリジナル『You vs. Wild -究極のサバイバル術-』で我々視聴者の選択した無理難題を苦笑いしながらも引き受けてくれた、あの男と言えばわかるかもしれない。

Netflixならではのインタラクティブコンテンツ

『You vs. Wild -究極のサバイバル術-』インタラクティブシリーズ 予告編 – Netflix [HD]

 『You vs. Wild -究極のサバイバル術-』は、話題の“インタラクティブコンテンツ”シリーズ。鑑賞者が物語を文字通り“選択”していくという面白さが体験できる作品である。現在、Netflixにはこのインタラクティブコンテンツが計12作存在する。しかしその大半は、『長ぐつをはいたネコ:おとぎ話から脱出せよ!』や『スピリット 自由に駆け抜けて:ライド・アンド・アドベンジャー』にはじまるキッズ向けアニメ作品だ。大人も楽しめそうなのは、世界中の老若男女に愛される人気ゲームから派生した『マインクラフト:ストーリーモード』や、『長ぐつはいたネコ』と同じドリームワークス作品でありながらも、少しターゲット層が広まった『ボス・ベイビー:ベイビー株式会社を救え!』。

 そして、完全に大人向けなのが『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』と『アンブレイカブル・キミー・シュミット:キミーVS教祖』、そして『You vs. Wild』シリーズなのだが、前2作品はドラマの派生作品ということもあり、少しとっつきにくい。『バンダースナッチ』は正直『ブラックミラー』シリーズを観ていなくても楽しめるが、その作品のダークな雰囲気は誰にでも勧められるものかというと、少し違う気もする。

 しかし、『You vs. Wild』は違う。これこそ、お子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで、お茶の間で家族に友人、誰でも誰とでも楽しめるNetflix最強インタラクティブコンテンツだ!

壮大な自然を冒険できる気持ちよさ×サバイバルのゲーム性

 『You vs. Wild -究極のサバイバル術-』の内容は至ってシンプル。ベア・グリルスという一人の探検家が、地球のいろんなところでミッションに挑むのだ。例えばそこはジャングルであったり、スイスはアルプスの雪山だったり、砂漠や鉱山だったり。バラエティーに富んだ場面と映像は、ずっと長い間コロナウィルスのせいで自宅に閉じこもっている私たちを飽きさせない。

 彼は毎話ごとに、ある目的を持って行動する。それを無事達成するために、我々は彼が選択肢に迫られる場面で彼を導いていく。……と言っても、絶対こっちを選択した方が正解だとわかっていても、もう一方の「なんだか大変なことになりそう」という選択肢をあえて選んでしまうこともある。どうなるか見てみたい、そんな意地悪心にも笑顔で応えてくれるのがベア。副題にある通り「こんな状況になったら、こうすべき」というサバイバル術を毎度紹介してくれているのに、「こうしなかったら、こうなる」という危険なバッドパターンも体を張って実践してくれるのが凄い。良い子は絶対真似しないように。

ベアニキこと、ベア・グリルスって誰?

 さて、この頼りがいのあるイケメン、ベア・グリルスは只者ではない。正直かなりぶっ飛んでいる人として知られている。イギリス人の彼は、ディスカバリーチャンネルのアイドルとしても知られ、同局でもともと『You vs. Wild』の前身である『MAN vs. WILD』という番組のホストを務めていた。著名な冒険家として、様々なサバイバル術を紹介してきたわけだが、その大半が度肝を抜かれるようなものばかり。『You vs. Wild』シリーズでは道すがら見つけた虫を貴重なタンパク質として食べるか、食べないかという選択肢があるが、そんなことはもはや大した問題ではない。

 砂漠で猛毒ヘビを捕らえると、そのまま生で食べたり、ラクダの死骸を見つけるとコブの部分にある水分を飲んだり、そのまま内臓を全て引き摺り出して空っぽになった体内を寝床にするなど、『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』を地でいくスタイル。生き残るためならどんなことも厭わない姿勢が凄まじく、自分の尿を飲むことはもちろん、水源の少ないサバンナではゾウの糞に含まれる水分を飲んできた。改めて、人間にとってどれだけ水分が大切であるか実感させられる。一体どんな風に生きてきたらそんな修羅場に遭うのか、と思うかもしれないが、ベアはもともとイギリス軍特殊部隊SASにいた経歴を持つ。

 子供の頃に父親から登山とヨットの技術を習い、8歳からボーイスカウトに所属していた彼。SAS時代にも高度4,900メートルからのパラシュート降下の際に事故に遭い、背骨を骨折したことで二度と歩けないと言われていたにも関わらず、リハビリに励み、18カ月後には何故か8歳からの夢だったエベレスト登頂を果たしていた(!)。その功績はギネスブックにも認定され(1998年におけるイギリス最年少登頂者)ており、2004年にはイギリス海軍予備員の名誉階級である少佐、2013年には中佐の階級を与えられている。めちゃくちゃ偉くて凄いお兄さんなのだ。めちゃくちゃ凄いから、北極圏の凍った川を素っ裸で泳いで渡ったり、口に入れられそうなものは何でも入れたりする。やばい奴、と言ってしまえばそれで終わりだが、ベア・グリルスとは人類が少し進化した存在なのだと理解してほしい。

映画版ならではのメッセージ性も

 そんな我らがベアの新作がNetflixに帰ってきた! 『You vs. Wild』の映画版、『猛獣を追え:You vs. Wild -究極のサバイバル術-』だ。もちろん、本作もシリーズと同じインタラクティブ作品となっている。映画版ということで、ストーリー性が強まっているのが特徴的だ。本作では野生動物保護区のフェンスの電流が何者かによって切られてしまい、逃げ出した動物をベアが見つけて保護しに行く。ライオンに追いかけられ、大蛇に締め付けられ、ヒヒを誘き出そうとする、これまたベアにとって死亡フラグ満載のアドベンチャーが用意されている。『ドラえもん』の劇場版でジャイアンが少しいい奴になるのと同じ法則で、映画版は普段のシリーズより少し張り切っているものだ。本作『猛獣を追え』も、単純にいつものベアのサバイバル術が堪能できるだけではなく、海岸に打ち上げられたゴミをカメラに映すことで環境問題に訴えかけたり、象牙などを狙った密猟の問題についても取り上げたり、少し社会派の顔を持ち合わせている。

 自粛期間が延長する中、「いい加減外に出て思い切り体を動かしたい!」と思っている方。日常が落ち着くまではまず、ベア・グリルスという男が命をかけて広大な地を駆け巡る旅路に同行してみてはいかがだろうか。もちろん、決してマネはしないでください。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。1体の大きな幼虫か、大量の細かい蟻なら、幼虫を食べるタイプ。InstagramTwitter

■配信情報
『You vs. Wild -究極のサバイバル術-』
Netflixにて独占配信中
『猛獣を追え:You vs. Wild -究極のサバイバル術-』
Netflixにて独占配信中

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