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藤岡弘、と『仮面ライダー』の50年 若いヒーローたちへ「ドラマチックな歴史を知ってほしい」

リアルサウンド

21/3/25(木) 8:00

 かつて川崎市に存在していた東映生田スタジオ。このスタジオに若きスタッフ、キャストが集まって制作されたテレビドラマが、今もなお熱い人気を誇る特撮ヒーロー作品『仮面ライダー』だ。

 漫画家・石ノ森章太郎がデザインした、バッタをモチーフとした変身ヒーローは全国の子どもたちを魅了した。しかし制作現場の裏側では、撮影開始間もなく、主人公・本郷猛を演じる藤岡弘、のオートバイ転倒事故から放映存続に関わる危機が訪れていた。そこで番組プロデューサー平山亨の機転で仮面ライダー2号誕生の案が生まれる。本郷は敵組織ショッカーの別計画を追って海外へ飛び、代わりに日本を守るのが一文字隼人、仮面ライダー2号という筋書きだ。まさに怪我の功名で、この2号ライダーをきっかけに後続の仮面ライダーが次々と生まれ、昭和から平成、そして令和に続く壮大なヒーローサーガを形成した。

 そんな『仮面ライダー』が、1971年の放送開始から今年で50周年を迎えるのを記念して、東映チャンネルでは、昭和仮面ライダーの劇場版全13作を4Kリマスター版で2カ月連続特集放送する。その放送を前に、原点である仮面ライダー1号、本郷猛役の藤岡弘、に『仮面ライダー』の過去、未来、そして自身が考えるヒーロー像について語ってもらった。(のざわよしのり)

共に歩んだ大先輩を思い出し、胸が熱くなる

――今年はいよいよ『仮面ライダー』の放送開始から50周年となります。50周年を迎えた藤岡さんの率直なご感想を教えて下さい

藤岡弘、(以下、藤岡):いやぁ~……50年も経ってしまったのかと、びっくりしています。今でもまだ、撮影当時を鮮明に思い出すことがありましてね。自分の中では、現在も戦いの日々は続いています。だから50年経ったといっても、気持ちの上では何ら変わりはないというか、今でも日々チャレンジ精神を大事にしながら生きています。あっという間の50年。早いですね。

――4月に東映チャンネルで劇場用作品『仮面ライダー対ショッカー』(1972年)と、『仮面ライダー対じごく大使』(1972年)の4Kリマスター版が放送されるそうですね。とても映像が綺麗になっているということですが。

藤岡:はい、先に映像を観せていただきました。血が騒ぐというか、非常に楽しませてもらいました。ただひとつ、懐かしい先輩の方々が今はもういらっしゃらない。それがとても残念でした。死神博士の天本英世さん、地獄大使の潮健児さん、それから立花のおやじさんこと小林昭二さん、そういった共に歩んだ大先輩を思い出し、映画を観ながら胸が熱くなりました。アクションを担当した大野剣友会の皆さんをはじめ、多くの人に支えられて当時の私があったわけです。生田スタジオに多くの人の力が集まって『仮面ライダー』は出来上がった。私はただ、その象徴的な存在であり、そういう人たちとの出会いによって一緒に活動させていただき、そのチャンスを頂いたことには感謝しています。

――『仮面ライダー対ショッカー』は、藤岡さんが大怪我から復帰されて間もない頃に撮影した映画ですが、監督はテレビシリーズも撮られている山田稔さんですね。

藤岡:山田監督には大変なご心配をおかけしました。私が自分の未熟さもあり(オートバイ事故で)生死の境をさまよっていた頃、山田監督が一番心配してくださったんじゃないでしょうか。私が怪我から復帰したときも喜んでくださいました。初めての主演作というチャンスの中、最高の状態から(事故で)最悪の状態に落とされて、そこから這い上がるために必死の戦いがあった。肉体的にも内面的にも凄く葛藤があった。その時の体験が、今の私を作っていると思いますね。本当に私自身の転換となった時期です。

――藤岡さんが怪我で休まれている期間、佐々木剛さんが2号ライダーとして活躍し、その変身ポーズも人気の的となりましたが、本郷の変身ポーズも映画で初披露ですよね。

藤岡:佐々木君が凄いなと思うのは、あの変身ポーズね。何のてらいもなく堂々とやってのける。あの変身の時に見せる切り返しの良さ。彼が変身ポーズの先駆者となって、私に見本を示してくれた。その時のことは今でも忘れません。

若いヒーローたちへ

――40周年記念映画『レッツゴー仮面ライダー』(2011年)にも、仮面ライダー1号、2号の声として藤岡さん、佐々木さんが揃って出演されましたが、平成ライダー映画から出演オファーがあった時の心境はいかがでしたか?

藤岡:いやぁ、びっくりしましたねぇ。仮面ライダーがまだ続いていて、再び私が登場するという……。とても嬉しくて、どういう作品になるんだろう? という興味もありましたし。佐々木君と一緒に出られるというのも嬉しかったし。ファンの皆さんにまた思い出していただけるなと、色んなことを考えながら出演させてもらいました。今は亡き監督たち、そして恩師である平山先生(注釈:平山亨プロデューサー。2013年没)に観てほしかった。平山先生が私に言った、「藤岡君、もう一度、仮面ライダーを演じるんだよ。仮面ライダーをやりなさい」という言葉。(仮面ライダーへのカムバックは)平山先生が一番喜んでくれたんじゃないかと思うんですよね……。

――昭和ライダー対平成ライダーという企画でファンが大いに沸いた『仮面ライダー大戦』(2014年)では、平成ライダーに厳しくあたる本郷猛として、ご自身がスクリーンに登場されましたね。とても奇抜な映画で驚きました。

藤岡:あの時は、時代が変わってきたなと思ったんです。日本経済がこれからどんどん発展しようという、そんな高度経済成長の激動の時代に昭和の仮面ライダーは生まれました。そういう時代を見てきた私としては、平成になって流れが変わってきたなと思いました。平和ボケ……といって良いのか分かりませんが、安心感に浸かってしまった若者たちに、強い芯が一本欲しいなと思った。そういうことを考えていた時期に、この映画のオファーがあったので、これは良いチャンスだ! ここでひとつ喝を入れるのは良いことだし、やりがいがあるなという気持ちで出演しました。新しく仮面ライダーを演じる若者たちには、過去の出発点から仮面ライダーの歴史をたどってもらいたい。先輩たちがどのように戦ってきたか、今も戦い続けているのか、その歴史的なつながりが見えないまま演じていると、ただの人形になってしまう。先輩たちや関係者が、どう作品に取り組んで、何を訴え、希望や夢を子どもたちに伝えてきたか、そういうドラマチックな歴史を知ってほしい。それが、これからも新しく続いていくであろう若いヒーローたちへの願いなんです。

――45周年記念作『仮面ライダー1号』(2016年)では、堂々の主演ということで、再びスクリーンに本郷猛として戻ってこられましたが、この映画は企画の段階から関わっているのですよね?

藤岡:そうです。あの映画は、“何が一番大事なのか”ということを皆さんにもう一度、原点に立ち戻って思い起こしてほしい、そんな思いがありました。命より尊いものは愛なんだと。それを奪い、人類を破滅させようとするショッカーに戦いを挑むヒーロー。そういう原点のポイントを子供たちに観てもらいたいというのが、もう一度ヒーローをやらせていただくにあたっての気持ちだったんです。立花のおやじさんの写真に語りかけるシーンは、ヒーローは繋がっているんだ、先人たちの「想い」からずーっと繋がっているんだ、そういう先人の「想い」を背負って戦いに挑んでいることを忘れては駄目だと、若いライダーにも見せたかったんですよ。それがどういう風に伝わったかは私には分かりませんが、そういう気持ちを込めました。

――もしも、仮面ライダー50周年記念でライダー作品のオファーがあったらいかがですか?

藤岡:ええ、まだまだやれますので! 今ならまだやれます。また新たなメッセージを届けられたらな、と。今はコロナ騒動もありますしね。今だからこそ原点にかえって世界に響くストーリーもできるんじゃないかと思うんですよ。仮面ライダーというのは、その生きざまが子供たちに影響を与えるわけですよね。映像として作られた画面の中だけでなく、演じた者がどんな生き方をしているのかを見つめられている、と思わなければいけない。そこそこ頑張ったんだから後はどうでもいいやっていう、そんな安易なことは許されない。永遠に見届けられる、見続けられるんです。ヒーローを演じるというのは、とてつもなく大きな責任が伴うんです。ファンの人たちを裏切らない、失望させない、そんな生き方が大変だけど大事になってくる。それがファンの皆さんへのお返しであり、ヒーローを演じた者の責任でしょうね。心臓が止まるまでが私の戦いです。

■放送情報
「昭和仮面ライダー劇場版全13作4Kリマスター版 一挙放送」
東映チャンネルにて放送
『ゴーゴー仮面ライダー』4Kリマスター版
4月3日(土)19:30〜ほか
『仮面ライダー対ショッカー』4Kリマスター版
4月3日(土)20:00〜ほか
『仮面ライダー対じごく大使』4Kリマスター版
4月3日(土)21:00〜ほか
『仮面ライダーV3』4Kリマスター版
4月3日(土)22:00〜ほか
『仮面ライダーV3対デストロン怪人』4Kリマスター版
4月3日(土)22:30〜ほか
『仮面ライダーX』4Kリマスター版
4月3日(土)23:30〜ほか
『五人ライダー対キングダーク』4Kリマスター版
4月3日(土)24:00〜ほか
『仮面ライダーアマゾン(劇場版)』4Kリマスター版
5月2日(日)10:00〜ほか
『仮面ライダーストロンガー(劇場版)』4Kリマスター版
5月2日(日)10:30〜ほか
『仮面ライダー 8人ライダーVS銀河王』4Kリマスター版
5月2日(日)11:00〜ほか
『仮面ライダースーパー1(劇場版)』4Kリマスター版
5月2日(日)12:00〜ほか
『仮面ライダーBLACK 鬼ヶ島へ急行せよ』4Kリマスター版
5月2日(日)13:00〜ほか
『仮面ライダーBLACK 恐怖!悪魔峠の怪人館』4Kリマスター版
5月2日(日)13:30〜ほか
『仮面ライダー』第1話〜第98話
6月
『仮面ライダーV3』第1話〜第52話
6月
『仮面ライダーX』第1話〜第35話
6月
『仮面ライダーアマゾン』第1話〜第24話
6月
『仮面ライダーストロンガー』第1話〜第39話
6月
『仮面ライダー(新)』第1話〜第54話
6月
『仮面ライダースーパー1』第1話〜第48話
6月
『仮面ライダーBLACK』第1話〜第51話
6月
『仮面ライダーBLACK RX』第1話〜第47話
6月
『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』
6月
『仮面ライダー世界に駆ける』
6月
公式サイト:https://www.toeich.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/toei_channel
※放送日時は変更になる場合あり。

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