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「TRUMP」10周年祝う「繭期大夜会」で2000人が大合唱、末満健一「皆様のおかげ」

ナタリー

19/11/25(月) 19:19

「繭期大夜会」より。「マリーゴールド序曲~愛しき者に祈りを~」を歌うキャストたち。

「TRUMP series 10th ANNIVERSARY FINAL『繭期大夜会』」が、去る11月18日に東京・Bunkamura オーチャードホールで開催された。

「TRUMP」シリーズは、永遠の命を持つ原初の吸血種“トランプ”の伝説に翻弄される者たちを描いた、末満健一のライフワーク的作品。同シリーズの10周年を記念したアニバーサリー企画のラストを締めくくる「繭期大夜会」は、原点となったピースピット「TRUMP」の初日からちょうど10年にあたる11月18日に実施された。

昨年、東京・なかのZERO 大ホールで行われた「繭期夜会」と同様、“繭期”(「TRUMP」シリーズの劇中用語で、「TRUMP」ファンの通称としてたびたび使われる)の観客の多くが、事前アナウンスされた“黒色・差し色は赤”のドレスコードに合わせた服装で来場し、約2000席を擁するオーチャードホールを黒で染めた。

16人編成のバンドによる「TRUMP」楽曲のメドレーで「大夜会」が開幕すると、D2版「TRUMP」「マリーゴールド」「COCOON星ひとつ」に出演した三津谷亮による儚げなナレーションが入り、オーディエンスを「TRUMP」の世界へと誘う。「絶望の記憶」と題された最初の章では、「グランギニョル」より、愛加あゆによる妖艶な「今宵は黒き夜」、同シリーズの劇伴で歌唱を担当してきた新良エツ子による「回旋するトラジェディ」が歌い上げられた。

次章は「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」の楽曲で構成された「純潔の記憶」。東啓介が優雅に歌う「共同幻想ユートピア」、新良による軽快な楽曲「プリンセス・マーガレット」が立て続けに届けられ、同作でマリーゴールド役を演じた田村芽実が「Forget-me-not ~私を忘れないで~」や「もう泣かないと決めた」を情感たっぷりに歌うと、感極まった観客のすすり泣く声が漏れる一幕も。

続く「孤独の記憶」の章は、「マリーゴールド」より「マリーゴールド序曲~愛しき者に祈りを~」に乗せて壮一帆、田村、東、愛加、大久保祥太郎、池村匡紀、新良が声を響かせ幕を開けた。ここでは、壮演じるアナベルが、娘マリーゴールドへの無償の愛を歌う「ひとつの愛」、壮と東の激しいデュエット曲「口外無用!」など、同作を代表するナンバーが披露される。また、にぎやかな楽曲「ケリトン出版社」では、西野誠が演じたクロッカス編集長役を大久保が担当し、コミカルな動きで観客を楽しませた。

中盤には、末満が書き下ろした「短篇朗読劇『純血倶楽部へようこそ』」が上演された。同作では「TRUMP」「COCOON 月の翳り星ひとつ」に登場する中級貴族の吸血種ジョルジュとモローの、幼少期から「TRUMP」の時系列に至るエピソードが紡がれる。劇中では池村演じるモローの巧妙なフリで、大久保演じるジョルジュがD2版「TRUMP」でもおなじみの“ギャグ100連発”を披露することに。大久保は体当たりのギャグを連続で繰り出し、客席を笑いで包んだ。

「COCOON 月の翳り星ひとつ」の楽曲で構成された「月と星の記憶」の章を経て、末満と楽曲担当の和田俊輔が、「TRUMP」よりダリ・デリコのテーマ曲「血盟議会の長」のBGMに合わせて登場。2人は無言でジャンケンを始め、負けた和田が“イス”に扮し、勝った末満がその上に座って劇中シーンを再現する。末満が「ようこそ『繭期大夜会』へ!」と挨拶すると、客席からは盛大な拍手が送られた。

「大夜会」終盤の目玉となったのは「合唱『1万人のライネス』 ※但し、会場のキャパは2000人」のコーナー。これはシリーズを象徴する楽曲「ライネス」を出演者と観客が全員で合唱する企画だ。新良による歌唱レクチャーが行われたのち、約2000人の観客が総立ちに。オーチャードホール全体に荘厳な「ライネス」の大合唱が響くと、一番の盛り上がりを見せるパートで“業火に焼かれる”効果音が鳴りわたり、会場は一体感に包まれた。

アンコール後、再び登壇した末満は「10年前のこの日がちょうど初演『TRUMP』の初日でした」と振り返り、「10周年のタイミングですが、今日発表できることはございません。ただ、いろいろと今後の準備をしております」と期待を煽る。そして「オーチャードホールという由緒正しき音楽ホールで劇中歌のコンサートをさせていただけるのはとんでもないこと。これも応援してくださる皆様のおかげです。ありがとうございます!」と感謝の気持ちを伝えた。

出演者全員によるラストナンバー「星の轍」が披露されると、キャストが1人ずつ挨拶する。池村は「僕は歌に関してパッションしか持っていなかったので、『大夜会』に誘っていただいたとき、うれしく思うにと同時に『末満さん、気は確かですか?』と思いました(笑)。次の20周年も呼んでいただけるようがんばります!」と笑いを交えてコメント。大久保は最後に歌った「星に轍」に触れ、「大切な“最高の仲間たち”と一緒に歌った曲なので、こういう形でまた歌えたことが幸せでした」とD2版「TRUMP」を懐しんだ。

新良は「いつかまた“『繭期大大夜会』”を開催するときも、和田さんと末満さんが(難易度の高い)“鬼畜な曲”を書いてくれると思うので、それまでにもっと鍛えておきます!」と笑顔を見せる。田村は「初めて『TRUMP』シリーズに関わらせていただいたのが5年前の『LILIUM』で、私はまだ15歳でした。少女だった私は大人になってしまいましたが、この作品に鍛えられ、この作品があったからここまで来られました。今日『TRUMP』シリーズにようやく恩返しができた気がします」と穏やかな表情で感慨を述べた。

会場全体を見渡した愛加は「こんなにたくさんのお客様がいらっしゃって、この作品がいかに愛されているのかとても伝わりました」、昨年の「繭期夜会」から連続での参加となった東は「『TRUMP』シリーズがもっともっと愛されるよう、僕も協力していけたらと思います」とそれぞれ真摯に語る。

さらに昨年の「繭期夜会」を客席で観ていたと言う壮は「『マリーゴールド』のときは『TRUMP』ファンの方々の独特な空気に気圧され気味でしたが、今日舞台に立って『この感じが懐かしい!』と思えました(笑)」と笑いを誘い、「今日の大切な思い出を胸に、これからもがんばっていきたいと思います」と結ぶ。最後は出演者一同が「ありがとうございました!」と謝辞を述べ、ファンからの温かい拍手と歓声のなか「繭期大夜会」は幕を閉じた。

なお本日11月25日には、末満が手がけた「デリコ・トリロジー〈TRUMPシリーズ戯曲集II グランギニョル/COCOON月の翳り/COCOON星ひとつ〉」と、「TRUMPシリーズ短篇集『Pendulum』」が、星海社から刊行された。詳細はセブンネットショッピング内のワタナベ商店で確認を。

※初出時、画像のキャプションに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

「TRUMP series 10th ANNIVERSARY FINAL『繭期大夜会』」

2019年11月18日(月)19:00~ ※公演終了
東京都 Bunkamura オーチャードホール

構成・演出:末満健一
音楽:和田俊輔
出演:壮一帆、田村芽実、東啓介、愛加あゆ、大久保祥太郎、池村匡紀 / 新良エツ子、和田俊輔、末満健一

「繭期大夜会」セットリスト

00. Overture -TRUMPより-

絶望の記憶 -グランギニョルより-

01. 今宵は黒き夜
02. 回旋するトラジェディ

純潔の記憶 -LILIUMより-

03. Forget-me-not ~私を忘れないで~
04. 共同幻想ユートピア
05. あなたを愛した記憶
06. プリンセス・マーガレット
07. 葬送終曲「聖痕《スティグマ》」
08. もう泣かないと決めた

孤独の記憶 -マリーゴールドより-

09. マリーゴールド序曲~愛しき者に祈りを~
10. ひとつの愛
11. 口外無用!
12. 花には言葉がある
13. ケリトン出版社
14. 時は戻らない
15. Die Blutwelt~血の世界~
16. 罪と罰
17. 我は守護者なり
18. TRUE OF VAMP~永遠の命~

「短篇朗読劇『純血倶楽部へようこそ』」

月と星の記憶 -COCOON 月の翳り星ひとつより-

19. 繭の月夜
20. 輪廻葬送
21. INSANE RUN-狂狂沸騰-

22. 合唱 1万人のライネス ※但し、会場のキャパは2000人

アンコール

23. Eternal Dance
24. 愛という名の呪い
25. 星の轍

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