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川本三郎の『映画のメリーゴーラウンド』

オリエント急行を舞台にした『007/危機一発』の話から、ダニエラ・ビアンキ、アニタ・エクバーグ…、最後は『甘い生活』につながりました。

隔週連載

第33回

19/9/17(火)

 オリエント急行が活躍する映画といえば、誰もがまず思い浮かべるのは、テレンス・ヤング監督の『007/危機一発』(現『007/ロシアより愛をこめて』)(1963年)だろう。ヒッチコックの『バルカン超特急』(1938年)も、東欧と西欧を結ぶヨーロッパ大陸横断列車が舞台になっているが、映画のなかでは「オリエント急行」とは明示されていない。架空の国名が出てくることもあって、明示しにくかったのだろう。
 『007/危機一発』では、ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)とソ連情報部のタチアナ(ダニエラ・ビアンキ)がイスタンブールからパリ方向へ向かうオリエント急行に乗り込む。車内でボンドがスペクターの殺し屋(ロバート・ショー)と死闘を演じる。
 1962年当時は、オリエント急行もかなり老朽化していて、正直、豪華列車の面影はない。むしろ、1930年代のオリエント急行を再現した『オリエント急行殺人事件』のほうが、贅沢に作られている。
 イスタンブールとパリを結ぶオリエント急行は1977年に廃線になったが、その後、一部の区間が「ベニス・シンプロン・エクスプレス」として再運行された。
 1988年、バブル経済期のさなか、フジテレビが開局三十周年を記念して、このオリエント急行を日本で走らせ、大きな話題になった。西村京太郎の鉄道ミステリ『オリエント急行を追え』は、このイベントに材を得ている。

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