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峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

聖子ちゃんカットと、松田聖子さんの楽曲たち

毎週連載

第127回

前回、女の子たちの今は「冬の時代」なんてエラソーなことを言ったけどさ、でもね、仮に今が「冬の時代」なんだとすれば、絶対に次はまた「春の時代」も来るはずだとも思ってるんだ。

だいたいモードとか流行っていうのは、繰り返されるものだし、今流行ってるものの反動で、次の世代ではまるっきり真逆のものが流行り始めたりするでしょう。だから、今が「ゆるふわ」なんだとしたら、次はまた茶髪がくるかもしれないし、前回の最後で喋った聖子ちゃんカットもリバイバルするかもしれない。

これさ、別にふざけて言ってるんじゃないんだよ。松田聖子さんが全盛期の頃って、僕はまだ幼稚園とかですごい小さかった。でも、その頃の10個くらい上の女の人たちは全員聖子ちゃんカットで、本当にかわいかったし、性的な芽生えはまだだったけど、なんか憧れがあってさ。毛量が多い感じのあの髪型、もう一度流行ってほしいし、その可能性はゼロではないと思う。

実はちょっと前からレコードをメチャクチャ買ってるんだけど、そのうちのひとつが松田聖子さんのアルバムなんだ。音楽好きな人なら当然知ってると思うけど、松田聖子さんの曲って松本隆さん、細野晴臣さん、ユーミンさん、あと言い出したらキリがないほど錚々たる人たちが書いてる。でも、あくまでもアイドルソングだから、言わば大衆音楽のど真ん中で、子供からお年寄りまでが楽しめるような聴きやすさにしているんだよね。

だから、5分以上の曲なんかなくて、3分くらいでまとまってるものが多いんだけど、その強力な作家陣はさ、もしかしたら本当はもっと長い曲にしたかったかもしれない。でも、大衆音楽のど真ん中だから、あえて「ここは取っちゃおう」って削ぎ落としているような気がする。だから、結晶の塊のような名曲が多いんだよね。

これはすごいことですよ。僕もこういう音楽の作り方を目指したいと思う。色んな料理……フランス料理、イタリア料理、スペイン料理、中華料理、和食の修行と研究を重さねていった上で、あえて大衆食の1杯700円のラーメンを出すような感じで。

また松田聖子さんの曲は「色」を連想させるものが多くて、そこも面白いよね。『赤いスイートピー』『小麦色のマーメイド』『ピンクのモーツァルト』とかね。単に「音」「メロディ」だけじゃなくて、歌詞で景色を浮かび上がらせるような表現もされていて、こういった試みも、松田聖子さん以前の邦楽にはなかったものじゃないかな。

松田聖子さんが全盛期を迎えた後、中森明菜さんが登場するんだけど、明菜さんは完全にモノトーンで表現していた。作家陣も宇崎竜童さんとかで、いわゆる松田聖子さんのはっぴいえんど人脈とは違う路線なんだよ。このことで聴く側、応援する側は「ビートルズ派」「ストーンズ派」みたいな感じで、「聖子派」「明菜派」みたいになってたんだよね。こういう対比も見ながら、この時代のアイドルソングを聴いていると本当に面白いよ。

確かに聖子ちゃんカットは好きなんだけど(笑)、それだけじゃなくて、松田聖子さんの作品を改めて聴いて学ぶために、レコードを買いまくってる最近でもあります。

僕と同じくレコード好きのディレクター・軽部くんと

構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。


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