Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

Dragon Ash現体制ラストライブ完遂、ATSUSHI&DRI-Vの門出を祝った一夜

ナタリー

20/9/6(日) 19:49

Dragon Ash「DRAGONASH LIVE "DEPARTURE"」の様子。(Photo by TAKAHIRO TAKINAMI)

Dragon Ashが現体制ラストとなるワンマンライブ「DRAGONASH LIVE "DEPARTURE"」を、9月4日に東京・TACHIKAWA STAGE GARDENで開催した。

2003年より正式メンバーとして活動を共にしてきたATSUSHI(Dancer)とDRI-V(Dancer)にとって、Dragon Ashのメンバーとして最後のステージとなったこの日。その模様はPIA LIVE STREAM、GYAO!、uP!!!、U-NEXTという4つのプラットフォームで生配信され、会場以外でも各地のファンが2人の勇姿を見届けた。

オープニングを飾ったのは、ライブタイトルと同じ「DEPARTURE」と名付けられたインストゥルメンタルナンバー。ATSUSHIとDRI-Vの2人は壮大なサウンドに合わせてエモーショナルに舞い、ドラマチックな幕開けを演出する。2人がゆっくりと客席に向かってお辞儀をしたところで、楽器隊のメンバーが合流。ステージの中央に立ったKj(Vo, G)は柔らかな微笑みを浮かべながら、メンバー1人ひとりの名前とパートを丁寧に紹介する。「7人では最後のライブです。どうぞ見てやってください」と呼びかけ、「A Hundred Emotions」を力強く歌い出した。7人がステージから放つエネルギーに呼応するように、観客はソーシャルディスタンスを保ちながらうれしそうに体を揺らした。

7人がこの日のために用意したのは、20年以上におよぶバンドの歴史を作ってきた楽曲の数々。HIROKI(G)が奏でる激しいギターリフとKjの吠えるような歌声、ATSUSHIとDRI-Vのアグレッシブなダンスが冴える「Mix it Up」や、2012年に亡くなった馬場育三(B)が参加した最後の1曲である「Walk with Dreams」など、さまざまなシーンで披露されてきた曲が渾身のプレイで届けられた。メンバーのライブに懸ける思いはさまざまな場面で現れ、「Ode to Joy」ではATSUSHIがファンの寄せ書き入りのフラッグを大切そうに掲げ、「Walk with Dreams」ではKjが愛おしそうな表情を浮かべながらその歌声を響かせた。

ライブ中盤のハイライトとなったのは「陽はまたのぼりくりかえす」。桜井誠(Dr)の包み込むようなビートに乗せて、Kjは何度も披露してきたバンドの代表曲を丁寧に歌い上げる。Kjの眼差しはときに観客に向かい、ときには横で踊るATSUSHIとDRI-Vに向けられ、温かなムードが作り出された。会場のオーディエンスは歓声の代わりに大きなクラップで7人のパフォーマンスを支え、配信を見守るファンは情熱的なコメントでチャットを盛り上げた。

穏やかな余韻が残る中でKjは、「ない知恵を絞ってこういう形で開催したけど、これが正解かいまいちわからないけど、俺たちはライブがないよりはあったほうが楽しいし、何もしないよりはマシだと思うんで」とライブの開催に踏み切った思いを吐露。続けて「いつの日かこの場所のイスを取っ払ってモッシュピットを作って、また“5密”くらいになってライブができる日がくるまでバンドを続けようと思います。皆さんもその日まで音楽を好きでいてください」と口にした。そんな言葉に続いたのは、ラテン調のアンサンブルに合わせてダンサー2人が情熱的に踊る「Beautiful」や「繋がりSUNSET」、BOTS(DJ)のキレのあるスクラッチが炸裂するミドルチューン「Life goes on」など。しかしゆったりしたムードは「Blow Your Mind」で一変する。2004年リリースの「Shade」をはじめ、「Aim High」や「Amploud」などミクスチャーロックバンドとしてのDragon Ashの真髄を感じさせるナンバーが続く。「Amploud」ではT$UYO$HI(B)が重厚なグルーヴを生み出し、オーディエンスと配信視聴者たちを興奮させた。

「静かな日々の階段を」で再び穏やかな空気を作り出したあと、7人はクライマックスに向けてギアをトップに入れるように「Jump」「百合の咲く場所で」を連続投下。いよいよ本編も終わりに近付いたとき、Kjは「ごめんねめっちゃ我慢させて。もともとみんなとのシンガロングでずっとやってきたバンドだから、俺、こんなに歌うところあったんだって」と笑う。さらに、「でも、ロックバンドのライブがなくなっちゃうより1000倍いいと思ってる。今日を忘れずに、いいライブがみんなで作れる日まで……次やる曲はその日まで二度とやらないから。今日は7人のスペシャルデーだからやらせてください」とキラーチューン「Fantasista」につなげた。この曲はKjが語るようにオーディエンスのシンガロングで成り立つナンバーの筆頭だが、今日ばかりは声を出せないオーディエンスに代わってBOTSと桜井が熱唱。さらに曲の後半ではKjもシンガロングパートを歌い、観客と視聴者たちを大いに盛り上げた。本編のラストを飾ったのは、ダンサー陣へのはなむけのようなメッセージが詰まった「TIME OF YOUR LIFE」。Kjと桜井がツインボーカルを取ったこの曲では、桜井が歌詞の一部を「親愛なるダンサーたち」と変えて歌い、チャット欄にはその気遣いを賞賛するコメントが殺到した。

アンコールはATSUSHIとDRI-Vの優美な踊りでスタート。1曲目の「Dance with Apps」を経て届けられたのは、2人が加入した2003年にリリースされたアルバム「HARVEST」に収録されている「Harvest」だ。スケール感のあるバンドのアンサンブルと、Kjの落ち着いた歌に合わせるように、ATSUSHIとDRI-Vはダイナミックかつ繊細な踊りで曲の世界を表現していく。ライブも終盤というとき、桜井の言葉からDRI-VとATSUSHIのMCに。DRI-Vは「マイクを持つと何を言うかわからないので手紙を書いてきました!」と、20年間におよぶ活動を振り返り何度も感謝の思いを口にする。そして「今の自分があるのもDragon Ashのおかげです」「今までありがとうございます!」と叫んだ。またATSUSHIは人生の半分を過ごしてきたDragon Ashのメンバーとの日々を回顧。亡き馬場や、サポートベースであったKenKen、共にステージに立っているT$UYO$HIを含む歴代ベーシストたちへの感謝の思いを語り、「これからはソロダンサーとして、表現者として舞踏家として、10年、20年かかると思うんですけど舞踏の次の踊りを生み出したいと思います」「踊る以上は世界最高峰の舞台に立つことを目指したいと思います」とその決意を明かす。

桜井の「最後は笑顔で皆さんと終われたらと思います」という言葉から届けられたのは「Viva la revolution」。ATSUSHIとDRI-Vは大輪のような笑顔を観客に向けつつ、ピースサインを高く掲げる。ほかのメンバーも2人の視線に送りながらそれぞれの楽器を奏でた。その後、楽器隊のメンバーが順番に去る中、残ったATSUSHIとDRI-Vは泣き笑いの表情のまま、再び観客に向かってお辞儀を繰り返す。そして、2人はSEの「Lily of the valley」を背に力強い足取りで去った。この日、2時間半におよぶライブ全編に満ちいていたのは感傷ではなく、共に歩いてきた道を尊重し、新しい門出を祝うような喜びに満ちたムード。それぞれ新しい道に進んでいく、という強い意思を感じさせる空気の中で「DRAGONASH LIVE “DEPARTURE”」の幕は下ろされた。

なおライブのアーカイブ映像は9月13日23:59まで視聴可能。プラットフォームごとにチケットの販売期間は異なるので詳細はサイトで確認を。

Dragon Ash「DRAGONASH LIVE "DEPARTURE"」2020年9月4日 TACHIKAWA STAGE GARDEN セットリスト

01. DEPARTURE
02. A Hundred Emotions
03. Fly Over feat. T$UYO$HI
04. Mix it Up
05. Ode to Joy
06. 光の街
07. Walk with Dreams
08. Neverland
09. 陽はまたのぼりくりかえす
10. ダイアログ
11. Beautiful
12. Life goes on
13. 繋がりSUNSET
14. Blow Your Mind
15. Shade
16. Aim High
17. Amploud
18. 静かな日々の階段を
19. Jump
20. 百合の咲く場所で
21. Fantasista
22. TIME OF YOUR LIFE
<アンコール>
23. DANCE WITH APPS
24. Harvest
25. Lily
26. Viva la revolution

※記事初出時、「Shade」リリース年に事実誤認がありました。お詫びして訂正いたします。

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む