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石原さとみと直接対決へ 『高嶺の花』血まみれの芳根京子が魅せるダークサイドへの覚醒

リアルサウンド

18/8/23(木) 6:00

 もも(石原さとみ)と直人(峯田和伸)の格差恋愛は結婚が破綻になった第6話で一旦終止符が打たれ、8月22日に放送された『高嶺の花』第7話は、これまでサイドストーリーとして描かれてきたキャラクターたちの物語が浮き彫りになった。

 その中でも、やはり衝撃的だったのは、ももの妹・なな役の芳根京子の覚醒だ。現在21歳となる彼女は、2017年の映画『心が叫びたがってるんだ。』『わさび』以来制服を脱ぎ去り、今年に入って演技の新たな境地を切り拓いている。

 1月期に放送されたドラマ『海月姫』(フジテレビ系)では、海月オタクを演じ、コメディエンヌとしての才能を開花。『ボス・ベイビー』では吹き替え声優に初挑戦。そして、9月に公開される『累-かさね-』では容姿に強いコンプレックスを抱きながら生きてきた少女・累に扮し、予告編では大絶叫する姿を見せている。今や、芳根はかつて抱えていた“清純派”のイメージを脱却し、実力派女優としての道を着実に歩んでいるのだ。

 そして今回の『高嶺の花』では、ももと次期家元の座を争う妹役。これまで姉の影に隠れて大人しい人生を歩んできたななは、龍一(千葉雄大)に心を奪われたことにより、徐々に自我を芽生えさせていく。

 特に、第3話で龍一がななに、月島の家元、すなわちももと結婚すると告げたシーン。「わたしが家元になったら……、それが運命になるのね」と龍一と結ばれるために家元を目指す決意を表明した際の眼力の強さは、今でも忘れられないほど印象的だった。感情を押し込む癖がある人は、胸の内を明かすと、想いが爆発してしまい、願ってもない涙が出てしまう経験をしたことはないだろうか。自分の核を伝える強さと、これまで伏せてきた感情を放った開放感からの涙。芳根はまさに、この言葉に言い表せない心情を、巧みに表現していたのだ。

 家元争いに巻き込まれたことにより、姉思いで、世間知らずのお嬢様だったななが、色恋にかき乱され狂っていく姿はもはや爽快。しかも今回ななは、龍一とななの実の母・ルリ子(戸田菜穂)が体を重ねているところに遭遇してしまうという波乱の展開が繰り広げられた。

 ななは、ショックで龍一のいるホテルを飛び出し、ヒールを脱ぎ捨てながらふらついた足取りで家に帰る。いや、忌々しいあの光景からなるべく“遠くに行く”の方が正しいだろう。照りつける太陽を背負い、下アングルから映し出されるその表情は、今まで大切に育てられてきた人間が、屈辱と絶望を含むありとあらゆる負の感情を初めて浴びせられたようだった。

 そこから続く、鏡の間で血まみれになった姿でももに発見されるシーン。まるで魂の抜けた人形のように変わり果てた彼女を見ると、市松の計画に巻き込まれずに幸せに暮らしてほしかったと、同情すら湧き上がってしまう。

 ただ、不思議なのは、ななにはももを嫌いになる要素がたくさんあるにも関わらず、今まで羨ましく思うことはあっても敵視することは一度もなかったということだ。第2話では、龍一にももの方がタイプだと言われ、第4話では、ももが優れた才能の持ち主であるがゆえに辛い思いを抱えてきたことを打ち明け、「みんなでわたしを見下さないで!」とももに対して感情を爆発させたことがある。

 常に劣等感を抱えてきた屈辱と嫉妬から姉を恨むのは全く不自然なことではない。しかし、そうしてこなかったのは、ななの心は根から完全に澄み切っているもので、龍一との一件で負の感情を覚えたものの、完全なる闇落ちには至っていないからだろう。さらに、第8話の予告では“もう1人の自分”が見えずに、発狂するももをななが支えるシーンが映っている。

 するとやはり、本作のラスボスとなるのは市松(小日向文世)なのだろうか。その一方で、直人は図書館で出会った千秋(香里奈)と良い雰囲気を醸し出している。しかし次回は、両者ともに精神的な限界を迎えている月島姉妹対決に見どころが詰まっていそうで、直人のことが少々置き去りになってしまいそうだ。家元を目指す理由であった龍一に裏切られた今、果たしてななにはその夢を見続けられるのだろうか。(阿部桜子)

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