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怒涛の40曲!NICO Touches the Walls、ロックバンドとしての底力を見せた幕張の夜

ナタリー

18/11/6(火) 18:18

NICO Touches the Walls「NICO Touches the Walls "N X A" TOUR -Funny Side-」幕張イベントホール公演の様子。(Photo by Atsushi Kimura)

NICO Touches the Wallsの全国ツアー「NICO Touches the Walls "N X A" TOUR」が、11月4日の千葉・幕張イベントホール公演をもって終幕した。

昨年11月にデビュー10周年を迎え、企画ライブイベント「1125/2017 -ニコフェスト!-」に始まり、「OYSTER -EP-」「TWISTER -EP-」という企画盤2作をリリースするなど年間を通してこれまでにない試みに挑んできた彼ら。6月にスタートした「"N X A" TOUR」も激しいロックチューンで構成された「Electric Side」、アコースティック編成による「Acoustic Side」、山梨・河口湖ステラシアターで行われた野外公演「Lake Side」、東名阪のホールを舞台にした「Funny Side」と計4パターンのライブを行い、ツアーでも10年間の活動の中で培ってきたロックバンドとしての力量をあますことなく発揮してみせた。

半年におよんだツアーの最終日となったこの日。開演時刻の17:00ぴったりに場内が暗転すると、メンバーがサポートの浅野尚志と軽やかな足取りで登場する。光村龍哉(Vo, G)と対馬祥太郎(Dr)はSEに合わせてツイストを踊り、坂倉心悟(B)と古村大介(G)も楽しげにスタンバイする。そしてギターを抱えた坂倉の横にはベースを持った浅野が立ち、トリプルギターという編成で1曲目の「N極とN極」が爆音で奏でられた。アッパーチューンで会場の空気が程よく温まったあと、坂倉はベースを持ち、浅野も定位置へ。続いて今度は骨太なアンサンブルを聴かせる「Broken Youth」がスタート。光村はシャウト混じりの声で歌い上げつつ、「幕張、楽しんでいこうぜ!」と呼びかける。その声に応じるようにオーディエンスは拳を突き上げた。対馬の叩くトライバルなリズムと、古村の奏でる異国情緒あふれるギターの音色の絡み、光村の挑発的な歌が渾然一体となる「FRITTER」、ライブの起爆剤であるキラーチューン「THE BUNGY」を叩き込んだあと、メンバーは序盤のブロックのラストとして「まっすぐなうた」をプレイ。息もつかせぬ勢いで曲を畳みかけ、観客を自分たちのペースに巻き込んでいった。

しかしまだ序の口とばかりに、光村は「『Funny Side』ですから。今日は一筋縄ではいかないと思ってください。今年一番面白い、おかしなライブにしたいと思います」「ジェットコースター級に振り回しますから。ツアーファイナルということもあり、このあとの“ミステリーゾーン”は40分を超えそうです」と予告。瞬時にうれしそうな大歓声が上がった。

和やかなMCから突入したミステリーゾーン第1弾は、マイナー調の曲を中心に、メンバー4人のみで進行していった。あらかじめ同ゾーンは多数の曲で構成されることが告知されていたが、曲をつなげた単純なメドレーではなく、それぞれの曲の特徴的なイントロやフレーズを切り出し、新たなアレンジを施してノンストップで披露し続けるという演者も観客も集中力を要する内容に。仄暗いステージからまず聞こえてきたのは、「夜の果て」のひりつくようなギターの音色。哀切をたたえたサウンドに観客が浸り始めたタイミングで、今度は「武家諸法度」になだれ込み光村が気だるげな声で熱唱する。目まぐるしい展開に観客は翻弄されつつ、4人の気迫のこもったパフォーマンスに見入った。「BAD ROBOT」と「バニーガールとダニーボーイ」を生演奏でマッシュアップする力技でオーディエンスを驚かせつつ、メンバーは手を休めることなく、BPMを落とし、艶やかさを強く打ち出した「ストロベリーガール」をプレイ。さらに「GUERNICA」を皮切りに、光村と古村がギターを弾き倒す「B.C.G」「サドンデスゲーム」を投下したのち、「そのTAXI,160km/h」に。サイレンのようなギターの旋律から、豪快なバンドサウンドが会場にこだまする。懐かしい1曲を骨太さを増した音で届けたあとは、古村と坂倉共作による「チェインリアクション」がひさしぶりに披露された。この曲では古村と坂倉の2人はステージの前方に一歩踏み出し、ギミックに富んだフレーズを奏で観客を惹き付けた。

攻撃的なミステリーゾーン第1弾は「パンドーラ」でクライマックスを迎えるも、光村は「まだ半分ですから」とひと言。4人はミステリーゾーン第2弾の布石を打つように、幽玄な巨大なミラーボールの下で「プレイヤ」を抑制を効かせた演奏で届けた。そのままシームレスにミステリーゾーン第2弾が始まり、今度は「梨の花」を皮切りに“歌”や“メロディ”にフォーカスした楽曲が続いた。各曲のハイライトとも言えるフレーズを奏でつつ、4人は「フィロローグ」のコーラスパートと「image training」をマッシュアップするパフォーマンスや、メンバー全員での厚みのあるコーラスを聴かせる「エーキューライセンス」を披露した。光村が伸びやかな歌声の余韻を残した「TOKYO Dreamer」を経て、浅野が再び合流してミステリーゾーン第2弾は佳境に。「マシ・マシ」のリズムに乗せて「手をたたけ」が奏でられ、朗らかな空気と一体感が広いホールを包み込んだ。そして、40分におよぶ怒涛のミステリーゾーンを完遂したメンバーは充実した表情で楽器を弾く手を止めた。

MCで「メジャーデビュー10年なんですが、10年前は頭が硬くてこんなことやろうとは思わなかったと思いますけど。こういうふうに40分以上演奏できるくらいは成長できたんじゃないかと思います」と胸を張った光村。「これからも人力の限界に挑戦していきたいと思います」と言いながらも、「僕ら的には(ミステリーゾーン)はもう十分……」と今後行うことについては明言せず、本人曰く“灼熱の後半戦”へと入っていった。

懐かしいナンバーや最近のライブでは披露されていなかった楽曲が多数織り込まれたミステリーゾーンから一転して、ライブの後半戦は「SHOW」や「VIBRIO VULNIFICUS」など近年発表された楽曲で構成された。いずれの楽曲もフルサイズで披露されたが、曲間を空けることなく対馬が刻むリズムでつないでいき“最新のNICO Touches the Walls”のモードをオーディエンスにアピールしていく。そして、本編のラストを飾ったのはオープニングナンバーの「N極とN極」の続きとも言える歌詞がつづられた「来世で逢いましょう」。GS調のダンサブルなサウンドに乗せて会場も軽やかに揺れ、朗らかな空気の中でメンバーたちはステージをあとにした。

鳴り止まない拍手に応えて観客の前に戻ってきたメンバーは、光村の「40曲やると言っていたのに、どうやら足りてません。38曲しかやってないってことなので、もうちょっとやりたいと思います」という言葉からスケール感のあるミディアムチューン「Ginger lily」を丁寧に紡ぎ、穏やかな時間を作り出していく。その後、メンバーはツアータイトルの「N X A」の由来について解説。「N極とN極」に始まり、ミステリーゾーンを示す「X」を挟み、「来世(After Life)で逢いましょう」で終わるセットリストの略だという説明をしたかと思えば、「NICO Touches the Walls 10(X)th Anniversary」「NICO×ACO」「NICO×浅野(ASANO)」の略だと述べ、観客を混乱させるも光村は最後に「なんでもアリ、だったと。みんななりに音楽に思いを馳せてくれればということでした」と締めた。今年最後のワンマンライブということもあり、彼は「音楽的な欲求を爆発させた1年でした。来年はもっとご期待ください!」と宣言。2019年の飛躍を誓うようにステージ上のメンバーは「天地ガエシ」を奏で出し、息を合わせながら最後の1音に力を込めた。

約半年におよぶツアーを終えたNICO Touches the Wallsは、年末にかけて各地のライブイベントに出演。“1125の日”に11月25日(日)にはbayfmで放送される特別番組「One For Walls,Walls For One~おひとりさまバンザイ~」に出演する。

NICO Touches the Walls「NICO Touches the Walls "N X A" TOUR -Funny Side-」2018年11月4日 幕張イベントホール セットリスト

01. N極とN極
02. Broken Youth
03. FRITTER
04. THE BUNGY
05. まっすぐなうた
06. 夜の果て
07. 武家諸法度
08. 妄想隊員A
09. 衝突
10. BAD ROBOT
11. バニーガールとダニーボーイ
12. ストロベリーガール
13. GUERNICA
14. B.C.G
15. サドンデスゲーム
16. そのTAXI,160km/h
17. チェインリアクション
18. 泥んこドビー
19. マトリョーシカ
20. パンドーラ
21. プレイヤ
22. 梨の花
23. image training
24. フィロローグ
25. 芽
26. (My Sweet)Eden
27. エーキューライセンス
28. ビッグフット
29. 風人
30. TOKYO Dreamer
31. 手をたたけ
32. マシ・マシ~手をたたけ
33. SHOW
34. VIBRIO VULNIFICUS
35. mujina
36. 渦と渦
37. Funny Side Up!
38. 来世で逢いましょう
<アンコール>
39. Ginger lily
40. 天地ガエシ

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