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宮沢氷魚と大鶴佐助による二人芝居『ボクの穴、彼の穴。』上演中! 本日配信公演も

ぴあ

『ボクの穴、彼の穴。The Enemy 』 舞台稽古より 撮影:阿部章仁

宮沢氷魚と大鶴佐助による二人芝居『ボクの穴、彼の穴。』が東京芸術劇場プレイハウスで上演中だ。劇場公演のほか、本日9月21日(月・祝)18時開演の公演は、有料動画配信サービス「PIA LIVE STREAM」でも配信される。

本作は、戦場の塹壕に取り残され、お互いを「モンスター」だと思い込み、見えない敵への恐怖と疑心暗鬼にさいなまれる孤独な兵士の物語。デビッド・カリ(原作)、セルジュ・ブロック(イラスト)、松尾スズキ(翻訳)による同題絵本をノゾエ征爾が翻案・脚本・演出を手掛けて舞台化した作品で、2016年に旧PARCO劇場のファイナルを飾った「クライマックス・ステージ」の一作として初演された。

『ボクの穴、彼の穴。The Enemy 』 舞台稽古より 撮影:阿部章仁

4年ぶりの再演となる今回もノゾエが演出を担当。初演は塚田僚一(A.B.C-Z)と渡部秀が出演したが、今回は宮沢氷魚と大鶴佐助という若手俳優として活躍めざましい2人が登場。『豊饒の海』、『ピサロ』に続いて3作目の共演となる。

ノゾエは「4年前にもやった演目だけど、今こそでしょって。読み返すと、今の状況だからこそ考えさせられるところ山ほどアリ。涙拭いながら頑張った初演のキャストさんが作り上げてくれた部分も山ほどアリ。それがあっての今、この生活下だからこそにじみ出るものを全て作品に乗せて、真正面から戦いましょうぞ、この素晴らしきお二人と」とコメント。

『ボクの穴、彼の穴。The Enemy 』 舞台稽古より 撮影:阿部章仁

宮沢は「今回の作品は、見えない敵との戦争。お互いを『モンスター』だと思い込み、相手を憎み、疑い、軽蔑する。自分を正当化し、相手に全ての不幸をなすりつける。まさに今の世の中と重なります。僕は今だからこそこの作品をやる意味があると思います」と語った上で、「初めての二人芝居を親友の大鶴佐助と演じられる幸せ、そして、初舞台の劇場であるプレイハウスで再び芝居ができることを本当に嬉しく思っています」。

『ボクの穴、彼の穴。The Enemy 』 舞台稽古より 撮影:阿部章仁

一方の大鶴も「今この状況下で『ボクの穴、彼の穴』を上演することに、僕はとても意味があると思いました。物語の登場人物が目に見えない不確かなモノに怯え、疑心暗鬼になってく様が今の日常ととても通じており、虚構と現実が地続きになっている印象を受けました」。そして、「相手の宮沢氷魚くんとは気心の知れた仲なので、稽古場でノゾエさんの演出を一緒に浴び、もがきながら作品の旅をしていきたいです」と話していた。

『ボクの穴、彼の穴。The Enemy 』 舞台稽古より 撮影:阿部章仁

上演時間は約1時間20分予定。公演は9月23日(水)まで。有料動画配信サービス「PIA LIVE STREAM」による配信は、24日(木)23:59まで見逃し配信あり。チケット発売中。

【キャスト・演出家コメント】
●宮沢氷魚コメント
今年の春に、『ピサロ』という作品に出演していたのですが、残念ながら10公演で中止となってしまい、それ以来の作品ということですごく楽しみにしていました。このようなご時勢なので、本当に幕が開くのか不安もありましたが、今日こうして無事に初日を迎えられることを嬉しく思っています。最近は一人になることが簡単になってしまって、一人でいても生活はできるし、人とコミュニケーションをとることや、他人の人生に関わるということがおろそかになる可能性が高い状況だと思うんです。個と個で、相手の存在というか、相手が生きていることを確かめて安心する。当たり前だからこそ忘れてしまうことに面と向かったこの作品に出演できて、光栄です。舞台は5作目ですが、こんなに肉体的にも精神的にも追い込まれたのは初めてです。二人芝居で、セリフの量も想像以上でしたが、稽古はしんどいけど楽しく、稽古や演劇が好きなんだなと再確認しました。
僕、佐助、そしてノゾエさんで作品を作り、人前で披露する。その当たり前のことがやっと始動できるようになり、嬉しいです。でもまだ、観客の皆さんも感染予防に気を付けて来てくださると思いますし、僕たちも体調管理に努めて万全の状態で、毎回新しく楽しい公演をお送りしたいと思います。

●大鶴佐助コメント
今、やっと長い稽古の末にゲネプロが終わって、どれだけ稽古場で稽古をしていても、観てくれる人がいるって全然違うなって、感慨深いものがあります。今日の夜が初日ですので、実際にはここから(スタート)ですが、「ゲネプロ終わったな!」とほっとしています。
戦争を体験していない僕たちが演じて、観に来てくださるお客さんも戦争を体験していない方が多いと思います。目に見えないモンスターは、そんな僕たちがこの作品の中で共有できるもののひとつだと思っていて。共有できるからこそ、目には見えないものを僕たちが実体をもって演じていないと、お客さんは納得してくれないんだろうなと、ノゾエさんと氷魚くんとディスカッションして稽古してきました。普段は舞台を観て、お芝居を観に行ったという感覚になるかもしれませんが、この作品はかなり現実と地続きになっていると思うので、お客さんに「そんなもん?」と思われたら僕たちの負けだなと思いますね。
舞台は毎回同じものがないというか、毎公演ふたりで役を生きて、その日のお客さんとその日の僕たちで作り上げる作品だと思うので、その1回限りの作品を毎回大事にしたいと思います。

●ノゾエ征爾(演出)コメント
ずっと公演が中止となっており、この公演が今年初めての本番ということでとても感慨深いです。劇場は、こうやって人が集まることで息遣いが生まれてくるのだなと改めて感じました。いったい何が起きていて、何を信じればいいのか、そして人と関われないという生活にみんなが追い込まれて行く時に、今作の穴の中にひとりでいる状況がリンクして、4年前の初演時は普遍的なテーマでみなさんに共感していただけるかなと思っていたのですが、この時期になった時に多くの方がどこかで似たような感覚を持ち、登場人物を見られるんじゃないかなと思いました。
このような状況下で、ひとつの公演を立ち上げていくといった時に、演劇はこれだけ多くの大人たちが、色々なことに気を使いながら、本気になって、模索して作り上げているのだと改めて肌で感じた稽古でしたし、キャストのおふたりがその大人たちの期待を一身に背負って、舞台上で生きる生き様を毎回稽古の時から楽しみにしていました。(規制緩和を受けて)これから段々と客席が埋まっていくことで、彼らがどう息衝いていくのか千秋楽まで見届けたいと思います。

(以上、9月17日(木)取材会より)

『ボクの穴、彼の穴。The Enemy 』 舞台稽古より 撮影:阿部章仁

文:五月女菜穂

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