池上彰の 映画で世界がわかる!
『ハスラーズ』 ─リーマン・ショックで人生を狂わされたストリッパーたち
毎月連載
第20回
舞台はニューヨークのストリップ劇場。女たちは、客の男たちから少しでも金を巻き上げようと日々努力の最中。バブルによる狂乱のアメリカ・ニューヨークでした。
こんな中で、幼少の頃に母に捨てられ、祖母に育てられたデスティニー(コンスタンス・ウー)は、祖母を養うためにストリップクラブで働き始めます。が、新人ゆえうまくいきません。そこで出会うのが、ジェニファー・ロペス演じるラモーナ。姉妹のように気の合うふたりは、しっかり稼げるようになったのですが、そこに発生したのがリーマン・ショックでした。
リーマン・ショックによる影響は彼女たちにも。そこで考えついた悪徳商法…
それまでのアメリカでは、十分な資金のない人にも高い金利で住宅ローンを貸す仕組みが開発されました。それが「サブプライム・ローン」。これにより住宅ブームが起こり、住宅ローンの返済資金を担保にした金融商品が次々に開発されました。
これによりニューヨークの金融街であるウォール街で働く男たちは莫大な金を手に入れ、札ビラを切る遊びに熱中したのです。
しかし、これはバブルでした。バブルはいつかは弾けるもの。突然、住宅ブームは去り、住宅ローンの返済が次々に焦げ付き、返済資金を担保に高利の金融商品を販売していた大手投資会社のリーマン・ブラザーズが破綻しました。