Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

現代能「陰陽師 安倍晴明」追加公演、野村萬斎「能や狂言の入り口になれば」

ナタリー

18/12/17(月) 19:01

現代能「『陰陽師 安倍晴明』~晴明 隠された謎…~」取材会より。左から野村萬斎、梅若実玄祥。

1月に東京で上演される現代能「『陰陽師 安倍晴明』~晴明 隠された謎…~」の取材会が、本日12月17日に東京都内で実施された。

2001年に初演された「陰陽師 安倍晴明」は、能や狂言の技法に加え、現代劇や映画に用いられる手法、イリュージョンなどを取り入れた現代能。今年18年9月には藤間勘十郎の脚本補綴、野村萬斎の演出により、新たな「陰陽師 安倍晴明」が上演された。

その追加公演となる1月公演の取材会には、葦屋道満役を務める梅若実玄祥、演出と安倍晴明役を務める萬斎が参加した。本作について萬斎は「能、狂言、宝塚、日本舞踊、イリュージョンに、プロジェクションマッピングといったハイテク技術を取り入れた、能や狂言をもとにしたエンタテインメントの在り方の指針になるような作品です」と解説。また「『能や狂言って、こうやって観ればいいんだな』という入り口になれば」とアピールし、「(梅若)実先生、大空ゆうひさん、私の3人が“演技合戦”で激突し、さらに能のお囃子、歌舞伎の鳴物も含めた“演奏合戦”もあります。見応えのある作品です」と続けた。

10月末に十二指腸潰瘍で入院していた梅若実玄祥は「つい1カ月前に退院して、12月9日の襲名披露もなんとか無事に務めさせていただきました。今回も萬斎さんの力を借りて、一生懸命やらせていただきます」と挨拶。また「陰陽師 安倍晴明」9月公演の観客の反応に触れ、「『面白かった』というご意見をたくさんいただきました。飽きることのない作品だと思っています」と手応えを述べた。

記者より、9月公演からブラッシュアップさせる点について尋ねられた萬斎は「能も狂言も宝塚も、ジェンダーを超えたところで演技をしている。性別の違いを演じようというより、1つの大きな世界観の中で、我々はつながれるんだなという気がいたします。そういった部分をブラッシュアップしたい。また前回は語り部役として桂南光さんが参加されていたのですが、今回はご都合がつかなかったので、お笑いな部分は減るかもしれません。その分、安倍晴明の世界観がより濃くなる気はします。でも、ちょっとホッとできる笑いの場面をこれから入れたいなと思っております」と演出プランを明かした。

最後に梅若実玄祥は「これまでは、能は能、歌舞伎は歌舞伎、宝塚は宝塚と分かれておりましたが、今は、それぞれ1人ずつの役者、エンタテイナーが集まって、何かものを作る時代になっていると思います。『陰陽師 安倍晴明』も、さらに広がりを持った作品になっていければ」と展望を語った。

そして萬斎は「2020年のオリンピックも含め、我々のような芸能者がある一つの世界観を作り出すためにクリエイティビティを発揮することが、これから世界に向かっていく日本の文化発信の方法の1つなのではないかなと思います。今や日本国内でも能や狂言や歌舞伎は特殊だと区別化されてしまっているところがありますが、『陰陽師 安倍晴明』は、その垣根を超え、イマジネーションに訴える方法で時代に向かっていく象徴的な作品なのかもしれません」と取材を締めくくった。公演は1月9・10日に東京・中野サンプラザ ホールにて。

現代能「『陰陽師 安倍晴明』~晴明 隠された謎…~」

2019年1月9日(水)・10日(木)
東京都 中野サンプラザホール

原作:吉田喜重
脚本補綴・振付:藤間勘十郎
演出:野村萬斎
監修:梅若実玄祥

出演

葦屋道満:梅若実玄祥
安倍晴明:野村萬斎
葛葉姫 / 榊の前:大空ゆうひ
舎人:高野和憲、月崎晴夫
晴明の武神:初姫さあや、琴音和葉、花柳まり草、花陽みく、西尾萌 ほか

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む