Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ただひたすらに自由につくる、描く 『あるがままのアート』展、藝大美術館にて開催中

ぴあ

20/7/29(水) 17:29

会場入り口風景

独自の世界を創造し続けるアーティストたちの特別展『あるがままのアート —人知れず表現し続ける者たち—』が、東京藝術大学大学美術館にて9月6日(日)まで開催されている。

20世紀初頭、既存の美術教育を受けていない人たちが制作した独創的な作品が、「アウトサイダー・アート」「アール・ブリュット(生の芸術)」などと呼ばれ、新たな時代を創造するインスピレーションとして美術の世界に衝撃を与えた。

同展では、今も国内外で注目を集める「あるがままのアート」の世界を、知的障害や精神障害のある人も含め、独学のアーティストたち総勢25名による約200点の作品を通して紹介するもの。

会場内は、アーティストごとに作品を紹介。会場に足を踏みれてすぐ展示されているのは、さまざまな糸が絡み合い、不思議な生物のような、臓器のような集合体が生み出される小森谷章の作品や、丸木を顔型に掘りカラフルな彩色を施した記富久の彫刻だ。

小森谷章《untitled》
記富久《顔》《無題》《上妻さん》《無題》《自画像》《無題》《コアラ》《青山さん》《フクロウ》《パンダ》2011年

山際正己は自分の名を冠した「正己地蔵」を粘土で日々制作。ユーモラスな表情をした大小の「地蔵」が床一面を埋め尽くす一角や、無数の棘に覆われた不思議な生き物たちを制作する澤田真一による陶芸オブジェなど、想像力をかきたてられる作品も。

山際正己《正己地蔵》2020年
澤田真一《無題》2003年頃〜

大胆な筆使いで人や動物などをエネルギッシュに描く川上健次の油絵や、乳房や性器など女性性のモチーフが繰り返し描かれる魲万里絵のイラストからは、強烈な個性が滲み出る。

川上健次《いじめられっ子キーピー》2013年ほか
魲万里絵《幻滅とか限界とか》2010年ほか

枯葉を折って動物たちの姿を作る渡邊義紘の「折り葉」の繊細さ、赤やピンクの布地の上に、同系色のボタンが密集して縫い付けられた井村ももかによるオブジェの大胆さにも目を奪われる。

渡邊義紘《折り葉の動物たち》2003年
井村ももか《ボール》2013〜2017年

作品の表現は実に多種多様で独創的。そしてどの作品も、見るものを独自の世界にぐいぐいと引き込む、圧倒的な迫力に満ちている。

会場では、作品と同時にNHKワールド・Eテレで放送中のドキュメンタリー番組『no art, no life』 や、2017年から放送を続けている『人知れず表現し続ける者たち』の映像も併せて紹介。アーティストたちの創作の様子や日々の生活を知ることができる。

さらに同展では、展覧会会場で走行するロボットを遠隔操作してオンラインで鑑賞できる「ロボ鑑賞会」を実施。スペシャルコンテンツサイト(https://art-as-it-is.jp/)から予約することができるので、会場に足を運べない人にはおすすめだ。

なにものにも縛られない、どこまでも自身の芸術的な衝動に忠実な表現の数々。見る機会が限られているだけに、同展での鑑賞を逃さないようにしてほしい。

【開催情報】
特別展『あるがままのアート —人知れず表現し続ける者たち—』
9月6日(日)まで東京藝術大学大学美術館にて開催

【関連リンク】
あるがままのアート —人知れず表現し続ける者たち—

福井誠《私の宇宙…人を見失い、自分を失う。ゾゾ、それでもあなたは人を愛せますか?》2014年
喜舎場盛也《ドットシリーズ》2014〜2020年
高田幸恵《無題》2006年
《鳥と流木》2006年
澤井玲衣子《あすかとピアノ》2006年

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む