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桐谷健太「今、自分の中で新たに脱皮している」 40歳を目前にして迎えた転機を語る

リアルサウンド

19/11/15(金) 6:00

 禁断のラブストーリーを描くドラマ『4分間のマリーゴールド』(TBS系)は、人の“死の運命”を視えてしまう特殊な能力を持つ主人公・みこと(福士蒼汰)が、想いを寄せる命の期限が1年後に迫った義姉・沙羅(菜々緒)の運命を変えようと奮闘する物語。

 今回、リアルサウンド映画部では、主人公の義理の兄・廉役の桐谷健太にインタビューを行い、30代の俳優人生に迫りつつ、兄妹役を演じる3人の愛すべき魅力についても語ってもらった。(編集部)

【写真】福士蒼汰に摑みかかる、桐谷健太

■「愛する人に思いを伝えて生きていくのは大切なこと」

――原作や台本を読んだ、率直な感想を聞かせてください。

桐谷健太(以下、桐谷):“死の運命が視える”というようなファンタジーな作品って、数多くあるじゃないですか。でも、この話はそこがひとつのエッセンスでありつつ、特殊能力のあるなしに関係なく“生きている間に、愛する人にどれだけ思いを伝えるか”ということを描いている点に、すごく共感しました。ひとつだった家族が、きょうだい同士の恋愛によって崩れそうになる。けれども、壁を超えて、それ以上の強い絆で繋がっていく……深い人間ドラマだなと思います。

――“きょうだい同士の恋愛”がひとつのテーマとなっていますが、桐谷さんがみことの立場だったら?

桐谷:みことは、これまでどうやって過ごしてきたんだろうとは思いますよね。小学生で出会ってから、ずっと沙羅のことが好きで25歳まで……ねぇ(笑)。きょうだいを好きで居続けるってすごく大変だろうなとは思いますけど、実際その立場になってみないとわからないなぁ。みことは沙羅が1年後に死ぬという“運命”が視えちゃったので、そこは大きいですよね。でも、最初に話したようにそういう能力がなくても、愛する人に思いを伝えて生きていくのは大切なことだって、このドラマに出会う前から思っていますけどね。

――廉は、元気で明るいといった桐谷さんのパブリックイメージ通りの役どころのように思います。実際に演じられていかがですか?

桐谷:長男で家長として頑張っているけど、心は一番少年というおもしろい役。でも、沙羅とみことの恋愛が発覚していく中で、廉も変わっていく。イメージにピッタリという部分もあるのでしょうが、今まで演じたことのない役になっているなという感じはありますね。

――桐谷さんはインタビューなどで“演じるのではなく、血の通った人としてそこにいたい”といったお話をされていますが、そのために大切にしていることは?

桐谷:役へのアプローチは、役柄によって違うんですよね。台本を読んでイメージがパッと出てくる役もあれば、なかなか理解できなくて、自分で探究していった先で一気にわかる時もある。たとえば今回のように漫画原作がある場合、どうしてもビジュアルやキャラクターにとらわれてしまいがちだけれど、ドラマ版『4分間のマリーゴールド』で、心でちゃんと生きてないと、表面だけの人物になってしまう。みんなとの呼吸が大事だし、それによって自分の知らなかった廉とも会える。そうやって人格ができていくことがおもしろいし、ドラマが終わっても「アイツ、今もどこかにいるんじゃないか」と思えるような役にしたいなと思っています。

■「セットで僕ら4人だけで喋りながら食べています」

――撮影現場の雰囲気も、とても良さそうですね。

桐谷:もちろん本番になったらギュッと集中するけど、待ち時間には温かい空気で和気藹々と喋っています。でも、そこから家族の役に入っていくような空気感って、仲が悪かったらなかなか出せないですからね……いや、仲悪くてもできるのがお芝居なんですけど(笑)。でも、こういう題材の物語では、その空気感がすごく大切だなと俺は思います。撮影が終わっても、藍(横浜流星)のご飯を「お昼ごはんにしよう」って、スタッフも全員出て行ったセットで僕ら4人だけで喋りながら食べています。「これ、うまいなぁ」って(笑)。

――そんなきょうだい役の3人について、桐谷さんが思う愛すべきところを教えてください。

桐谷:蒼汰は好青年で、バリ几帳面で、かわいいです。スタッフさんが食べ物にかけたラップを、毎回ピタッと張り直して“ポンポンッ”と叩いてたり(笑)。蒼汰が取材のテーブルに置かれてるカラーのサインペンを綺麗に揃えているのを見て、ちょっとズラしたりして遊んでいました(笑)。

 菜々緒ちゃんにはCMで散々怒られていますから、今回は長男として締めるところは締めようと思っています(笑)。でも、お互い撮影時にはCMのことを思い出さないですし、逆に言えばCMの時はこの現場のことは思い出さない。役者っておもしろい職業だなって思いますよね。

 流星は、初めて会った時に「よろしく」と握手して、そこで通じ合えた気がします。もっと(上から握手を求めて)「うぃっす~」みたいな感じだと思ったんですよ。

――横浜さんに、そんなイメージありました?(笑)。

桐谷:俺はもともと会う前にその人のイメージを持つことはないけれど、流星は今すごく人気があるし、年齢もまだ若いし、調子乗っててもおかしくないと(笑)。でも、武道をやっていたから礼儀正しいし、それでいてナチュラルで気を遣わずにいられる。好感が持てるというか、いいヤツやなって思います。

■「考え方が、徐々に変わり始めた」

――桐谷さんはあと3カ月程で40歳を迎えられます。30代はどんな年でしたか?

桐谷:いや~、楽しかったですね。でも、基本的には20代、30代とかで、あんまり分けていないというか、むしろ、ひと月レベルで変わっていたい。ホンマは、一分一秒レベルでどんどん生まれ変われたらいいなって思うくらいなんですよ。とはいえ30代を振り返ってみると、考え方や取り組み方、人との向き合い方とかは、めちゃくちゃ変わってきているかもしれません。40手前にして、まさに今、自分の中で新たに脱皮している感じがありますね。

――何かきっかけになるようなことが?

桐谷:今年の1月に夕暮れの公園を散歩してたら、小学校低学年と、幼稚園くらいの2組の男女きょうだいが遊んでいたんです。冒険ごっこが始まったので「危ないから、俺も行くわ」って、4人の後ろをついて行ったんですよ。工事現場の横だったり、植木鉢が並んでいたり、木が生い茂っていたりする場所を探検していて、俺も四つん這いにならないと通れないようなところを必死に進んだわけです。

 そしたら、前からオレンジ色の西日がピカーッと差してきて。その瞬間、自分が友達と時間を気にせずに遊んでいた少年の頃がフラッシュバックしたというか、一気にその頃の自分に戻った感覚になったんです。子どもたちの背中が友達の背中に見えて、感動で泣いてもうたんですよ。「これや! この感覚!」って。

 俺は今まで、もっと欲しいとか、もっとこう思われたいとか“もっともっと”と思っていたけれど、「あ、このパーフェクトな感覚、子どもの頃からあるやん! 俺、心にも体に色々くっ付けすぎたな」と。それを今から「削いでいくんや、いらないものをどんどん取っていこう」と思ったんです。子ども達は「おっさん泣いてるで」という顔で見ていたけれど、「俺のことはいいんだ。続けてくれ」みたいな(笑)。

――素敵な体験ですね。

桐谷:めっちゃ嬉しかったし、その出来事が俺の中ですごく大きかった。そこから、いろんなものに対する考え方が、徐々に変わり始めた気がしますね。

(nakamura omame)

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