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loundraw×HIDEYA KOJIMA、CHRONICLEの成り立ちと“アートの力”を信じた表現方法を語る

リアルサウンド

19/7/22(月) 16:00

 イラストレーターのloundrawと、サウンドクリエーターのHIDEYA KOJIMA、そして現時点では詳細が明かされていない謎のシンガーT.B.Aがタッグを組み、『CHRONICLE』と名付けられた物語をアニメ映像や楽曲などを通して表現していく音楽アート集団、CHRONICLE。彼らのはじまりを告げる「宇宙」予告編アニメ映像と、デビュー曲となる「宇宙」(9月4日CDリリース)がそれぞれ公開された。物語と音楽、映像が手を取り合って進められていくこのユニークなプロジェクトは、果たしてどんな経緯で生まれたものなのか。loundrawとHIDEYA KOJIMAの2人に、ユニットの成り立ちを聞いた。なお、リアルサウンドではこの記事とは別に、楽曲「宇宙」の制作過程を聞いた2人へのインタビューも後日公開予定。こちらも楽しみにしていていただきたい。(杉山仁)

CHRONICLEの出会い〜物語/音楽/映像を合わせる制作手順

――まずはプロジェクトの成り立ちについて教えてください。CHRONICLEは物語/映像/音楽が組み合わさったプロジェクトですが、loundrawさんが基盤となる物語を着想したのと、メンバーのみなさんが知り合ったのとでは、どちらが先だったのですか?

loundraw:メンバーが知り合った方が先だったと思います。最初に僕とKOJIMAくんが会う機会があって、そこで話しているうちに「自分の得意なことだけがすべてではないよね。それだけではなく、色んなことをしたい」という部分でお互いに共感したんですよ。

KOJIMA:そうですね。そのときにお互いの普段の制作にまつわる話をしていて、自然と「一緒に何かしたいね」という話になっていきました。ローくん(loundraw)は好奇心旺盛で、僕の音楽制作にまつわる話も積極的に聞いてきてくれたんですよ。

loundraw:私生活の話は、ほとんどしなかったよね? お互いがどういうふうに、どんな考え方で制作しているかという話をして、そこですごく息が合うのを感じました。僕にとっては、音楽はもともと「好きなものだけど、自分は上手くできない」と思っていたことですし、イラストや映像作品は最終的には「見てもらえれば分かる」という部分があるので、(音楽制作に対して)「視覚的な情報がない、形のないものを意図して作れるのすごいな」と思いました。

KOJIMA:でも、僕からすると逆で、普段音楽を作っているときは「ライブではこんなふうにしよう」と、目に見えるものを想像しながら作っている部分もあるんです。でも、音楽は目に見える形で表現することはできないですよね。なので、僕は僕でローくんが目に見えるもので人を感動させられるような形で具現化できることに対して「すごいな」と感じました。

――お互いに、自分にはない魅力を持っている人同士だからこそ興味を惹かれたんですね。

loundraw:そうですね。そのうえで、KOJIMAくんは「しっかりと話せる人」でもあるんです。ものを作る人には「感覚で作るタイプの人」と「理由を説明できるタイプの人」がいると思いますが、KOJIMAくんの場合は後者なので、「どんなことを考えて音楽を作っているか」ということが僕にも伝わってきて。それも話しやすかった理由だったと思います。

KOJIMA:そういう意味では、やっていることは違っても、お互いに似ている部分があったのかもしれません。ローくんは絵についてこと細かに説明できる人なので。

――そこに、まだどんな人なのか詳細は明かされていませんが、シンガーのT.B.Aさんが加わって、3人でCHRONICLEが始動した、と。

loundraw:はい。3人で集まったときに、メンバーそれぞれのできることや話しやすさを考えたら、この3人なら何か面白いことができるのではないか、と素直に感じました。このメンバーが揃ってから『CHRONICLE』の物語を着想していったので、「個々の才能がどう最大化されると面白いものになるのか」ということを逆算しながら、物語を考えていった部分もあります。KOJIMAくんの音楽のきらびやかな雰囲気や、T.B.Aのどこか昔の空気をまといながらも今を感じさせられる生っぽい歌声の雰囲気が映えるような物語にしていきたいと思っていました。

――だからこそ、物語と音楽と映像が密接に影響を与え合うようなものが生まれるプロジェクトになっていったのですね。CHRONICLEはその基本部分をユニット内だけで完結できるということもあって、みなさん普段の制作とはまた違う経験になっていそうです。

loundraw:はい、全然違います(笑)。僕の仕事の中ですと、「物語からビジュアルを着想する」という意味では、たとえば本の装丁でイラストを描くことに近い部分はあるかもしれませんが、CHRONICLEの場合は物語も自分たちで考えていくので、それと比べてもまったく違う体験になっています。ただ、完全にパーソナルな作品かというと、それも少し違うんです。CHRONICLEには3人のメンバーがいて、尊敬する相手であると同時に、時にはライバルでもある人たちと一緒に作業を進めているので、ある意味では寄り添いつつ、同時に我を出すことも意識しています。CHRONICLEというユニット名については、メンバーやかかわってくれるスタッフの方々も含めて、みんなで決めていきました。音楽は人に紐づくものですし、それは人生のように、「人と人とのかかわり」にも繋がるものだろうな、と思っていて。そう考えたときに、「編年史/年代史」を意味する「CHRONICLE」という言葉なら、「時を超えた人と人とのかかわり」を表現できるんじゃないかと思いました。 

――KOJIMAさんの場合、CHRONICLEでの制作は、どのような感覚ですか?

KOJIMA:そうですね。CHRONICLEの場合は僕ら自身から生まれた物語に音楽をつけていくので、物語から影響を受ける度合いや、どこまで音楽にその内容を組み込んでいくかという部分が曲作りとしては大きく違う経験になっていますね。

――制作の手順については、「最初にloundrawさんの物語があって、そこから曲と映像を同時に制作し、loundrawさんが歌詞をつけて、T.B.Aさんが歌う」という方法で進められていると聞いたのですが、この制作方法になった理由も教えてもらえますか?

loundraw:実際は、僕らの中では特に制作方法の順序が決まっているわけではありません。現時点でもいくつか楽曲や映像の制作を進めていますが、たとえば、CHRONICLEのオープニングテーマとして制作した楽曲「宇宙」の制作でも、最初は僕が物語を作り、そこからKOJIMAくんが「宇宙」の楽曲を作って、僕が歌詞をつけて、T.B.Aが歌って――。そのあとに僕が映像を作るという順番になっていたりするので。大まかな物語の流れだけは準備しているものの、あとはきっちりと決めているわけではありません。当然、物語を伝えていく中で、そこにない要素が音楽や映像表現を通じて生まれていくこともあるでしょうし、曲も物語も色んな形で広げていきたいと思っているので、制作方法についても、その楽曲/映像ごとに違ってくる可能性があります。

フィクションだけれどフィクションではないリアリティを描いた物語

――物語を着想する段階でも、色々な方向性になる可能性があったと思うのですが、loundrawさんが最初に考えていたのはどんなことだったのでしょうか?

loundraw:最初に考えたのは「スケールの大きな物語にしたい」ということでした。音楽は色んな人に響くし言語を越えて響き伝わるものなので、スケールが大きくて、観てくれた人がワクワクしてくれるようなストーリーにしたいと思っていました。そのうえで、最初に出てきたのが、「歌と声をモチーフにした世界観にしよう」というアイデアだったんです。音楽は、たとえば4分の曲を聴いただけでも、聴く前と後では気持ちや景色が変わって見えたりしますよね。そういう神秘性を持っているものだと思うので、「声と歌」を主軸にした物語を音楽/ビジュアルでも表現できれば、面白いものになるのではと思いました。それで、KOJIMAくんやT.B.Aにも「声や歌をテーマにした物語にしたい」と伝えました。

音楽から生まれる物語。”CHRONICLE”の始まりを告げる「宇宙」予告編アニメ映像

――なるほど。「宇宙」予告編アニメ映像からも「声や歌をテーマにした作品」であることは伝わってきますね。この映像では渋谷を舞台に「柏木 一樹(かしわぎ いつき)」と「一ノ瀬 空(いちのせ そら)」という2人の男女の物語が描かれていて、映像の後半にCHRONICLEのデビュー曲となる「宇宙」が使用されています。

loundraw:「宇宙」予告編アニメ映像は、パートとしては大きく分けてインストの部分と「宇宙」のサビが流れる部分がありますが、インストが流れる前半部分に関しては、僕がKOJIMAくんに「ここで映像を切りたい」などと細かく音のディレクションをしていきました。逆に「宇宙」が流れはじめる後半については、僕が「宇宙」に合わせて映像を考えています。「宇宙」を最大限に映えさせたい1分半の映像ですので、モノローグにも気を使っていて、歌詞とクロスオーバーするような台詞を色々と入れています。台詞だけでは説明しきれていないけれど、曲が流れることで台詞が繋がっていく、というところまでこだわって仕上げていきました。この映像に登場するキャラクターに関しても、『CHRONICLE』でどういうものを伝えたいかということを考えていく中で生まれています。

――中でも、映像の中に出てくる渋谷のスクランブル交差点のシーンが印象的だったのですが、このシーンを登場させたのはどんなアイデアからだったのでしょうか?

loundraw:制作開始時点ですでに曲ができていたので、その歌詞と物語から映像を連想していくときに、まず女の子の境遇が浮かびました。この子が「ネットで音楽を配信しているけれど、全然人気がない。そこで何かを変えたいと思って、初めて路上に弾き語りをしに行く」というのが物語の最初の筋として出てきたんです。今の時代はインターネットを使えば何でもできるようにも思えますけど、実際はそうではないですし、リアルも大事にしていかなきゃいけない。そのとき、「この子が向かう場所はどこだろう?」と考えて出てきたのが、渋谷のスクランブル交差点でした。日本でも屈指の交通量がある場所に、本当は不安もあるはずの女の子が、自分のギターだけを信じてひとり立ち向かうというのは、とてもエモーショナルだと思ったんです。

――実際、渋谷のスクランブル交差点は、夢を追っている多くの人たちが日常的にすれちがっている場所でもあるかもしれません。

KOJIMA:そうですよね。実際、僕もそうです。

loundraw:渋谷はそういうイメージがある場所なのかな、と思いますね。

――予告編映像を見る限り、途中で別の登場人物/別の物語がフラッシュバックして見えるような瞬間もありますよね。これも非常に気になるところなのですが……。

loundraw:それがどういうシーンで、どういう人物の話なのかは今は言えませんが、そのシーンは分かりやすい伏線としてあえて入れた部分です。実は、「宇宙」の予告編アニメ映像には、他にも伏線が数えきれないぐらい入っているんですよ。あの予告編アニメ映像は、柏木 一樹と一ノ瀬 空2人の話でもあると同時に、CHRONICLEという大きな物語自体を示したものになっているので、その部分も色々と想像していてもらえると、とても嬉しく思っています。

――また、『CHRONICLE』の登場人物は、どこか喪失感を抱えているようなキャラクターになっていると思います。ここにも何か込められた気持ちがあるんでしょうか。

loundraw:ありていに言って、少年少女は悩むものだと思うんですよ。しかも、そういう人たちにとって、「音楽」はすごく大きな意味を持つものだとも思っていて。実際に、僕自身も曲を聴いたら思い出す過去があったりしますし。なので、喪失感を感じている少年少女が曲に導かれるような構図は、すごく自然だし、綺麗だと思いました。曲に依存しきっているわけではなくて、最終的には自分で立ち向かわなければいけないけれど、そのきっかけを形のない芸術がくれるというのは、とても美しいことじゃないかな、と。

――もしかしたら、この物語には、loundrawさん自身の音楽とのかかわり方が反映されている部分もある、という感じですか?

loundraw:そうですね。もっと言うと、音楽を含めた「芸術」との関わり、というのが正確かもしれません。僕ももともとは就職しようと考えていた時期もありましたし。KOJIMAくんもそうだと思いますけど、芸術が自分の存在意義や人生を決めてくれた大きなもののひとつでもあるので、そんな要素も『CHRONICLE』の物語の中に落とし込めればいいな、と思っていました。その「フィクションだけれどフィクションではないリアリティ」って、僕はすごく面白いなと思うんですよ。

「CHRONICLEって何?」という感想が一番嬉しい


――では、お2人がアートの力を実感した思い出を教えてもらうことはできますか?

loundraw:僕は本当に、これまで触れてきたものすべてがそうです。たとえば、僕の場合は今も絵を描いているときに音楽が頭に浮かぶことがありますし、描きながら実際に音楽を聴いていることもありますし。それに、そもそも自分の描いている絵というのは、それまでに触れてきた色んな芸術が自然に反映されているものでもあると思います。

KOJIMA:僕は高校生の頃、音楽に人生を救われた経験があるんですよ。当時の自分は考えようとすればするほどどん底になっていって、音楽を聴いて救われて「自分は音楽を作る仕事に就こう」と決意してからガラッと人生が変わったので「音楽に救われた」という感覚が強くあるんです。そう考えると、CHRONICLEで物語、音楽、映像をあわせた新しい表現方法を通して「音楽で誰かの人生を変えられる活動が出来るかもしれない」と感じられることは、とても嬉しいことだと思います。

――CHRONICLEの活動は、一言では何と表現していいのか分からないものになっていますが、みなさんが信じる「アートの力」を表現したものでもある、ということなんですね。

loundraw:そうですね。CHRONICLEがスタートして、今一番多いのが「これは何なんだろう?」という反応です。出来上がった映像は短編アニメではないですし、楽曲についてもサビだけしか流れないし、「何だろう、これは?」と。でも、それが一番嬉しい感想だったりもするんです。物語でも音楽でも、アニメ映像でも、入口はどこでもいいので、最終的に『CHRONICLE』の物語に入って来てくれたら嬉しいと思っていて。そういう「違和感」を感じてもらえている部分は、僕らとしてもすごく可能性を感じます。

KOJIMA:「3人で作ってみたら自然に違和感が生まれた」ということなので、そういう種類の違和感をこれからも作っていけたら嬉しいです。

loundraw:今の段階で、ここからどんなところにも行ける可能性がありますし、そもそもみんながCHRONICLEの活動をどう思ってくれているのか、この活動がどんなふうに広がっていくのかも、まだ全然予想ができていなくて。でも、それがすごく楽しい部分でもあります。物語の伝え方にしても、アニメ映像や音楽だけではなくて、小説のようなものでも表現できる可能性があるかもしれません。そんなふうに、CHRONICLEの物語を色んな形で広げていきたいと思っているところです。

――現時点で、これからの物語について教えてもらえることはあるんでしょうか?

loundraw:ひとつは、「宇宙」の予告編アニメ映像や楽曲にもヒントが色々と隠されているので、それをじっくり探ってほしいということと、もうひとつは、『CHRONICLE(=年代史/編年史)』という名前の物語なので、これは何も現代だけの物語ではない、ということです。登場人物も今出ている2人だけとは限りません。『CHRONICLE』という大きな物語があって、その中で楽曲やアニメ映像を徐々に制作しているので、今後の展開を楽しみにしていてもらえたら嬉しいです。

――「特にここを見ておくと面白いかもしれない」というポイントはありますか?

loundraw:フラッシュバックのシーンはもちろんですけど、あとは、(一ノ瀬)空がピックを落として、男の子とすれ違うシーンがありますよね? そのシーンですれ違う男の子が誰なのかということも考えておいてもらえると面白いと思います。また、そこで振り返った後に映る看板とか。あとは、ピンボケしていますが、ヒロインの部屋にあるものや校舎の中にも、後のヒントになるものが色々あります。そんなふうに、色々な伏線がすでに詰まっているので、ここから色々と想像してもらえたら、きっと楽しいんじゃないかと思います。CHRONICLEのオフィシャルサイト内の「CONTENTS」でも世界観をより楽しむ仕掛けがありますので見て頂きたいです。

KOJIMA:ローくんの伏線の張り方がとても巧みなので、僕自身も今後の展開がすごく楽しみですし、みなさんにも楽しんでいただけるものになっているんじゃないかと思います。

loundraw:とはいえ、今僕らの中で共有しているのは、今この時点での物語であって、『CHRONICLE』の内容は、みなさんとのかかわり方の中でも変化していくものだと思っています。だからこそ、色んな方に続きを描いてもらいたいです。まずはみなさんの中で想像して楽しんでもらって、いつかその答え合わせができたらいいな、と思っています。

(取材・文=杉山仁/写真=林直幸)

■リリース情報
CHRONICLEデビューシングル『宇宙』
発売:9月4日(水)
<初回生産限定盤A(CD+DVD&トールデジパック)>
価格:¥2,000(税抜)
M1 宇宙
カップリング未定
<初回生産限定盤B(CD+ハンカチ)>
価格:¥2,000(税抜)
M1 宇宙
カップリング未定
 <通常盤(CD)>
価格:¥1,000(税抜)
M1 宇宙
カップリング未定

<対象店舗/特典内容>
・TOWER RECORDS全店(オンライン含む/一部店舗除く)…CHRONICLE CARD(Type.A)
・全国アニメイト(オンラインショップ含む)…CHRONICLE CARD(Type.B)
・Amazon.co.jp…CHRONICLE CARD(Type.C)
・CHRONICLE 応援店…CHRONICLE CARD(Type.D)

※“CHRONICLE 応援店”対象店舗は追って案内
※CHRONICLE CARDの絵柄は追って案内

※数に限りあり。無くなり次第終了。
※下記店舗以外での配布はなし
※特典絵柄・応援店対象店舗は追って案内

<封入情報>
・「宇宙」購入者応募特典 スペシャルトークイベント応募ハガキ 封入
CHRONICLE「宇宙」発売記念
スペシャルトークイベント招待
日時:2019年10月5日(土)13:30時集合
会場:東京都内某所 ※会場はご当選者のみにご連絡いたします。
当選数:抽選で15組30名様

<対象商品>
2019年9月4日(水)発売 CHRONICLE『宇宙』
・初回生産限定盤A<CD+DVD>(BVCL 990~991)
・初回生産限定盤B<CD+ハンカチ>(BVCL 992~993)
・通常盤[初回仕様]<CDのみ>(BVCL 994)
応募締切日:2019年9月13日(金)当日消印有効

<応募方法>
専用応募ハガキに必要事項を記入。62円分の切手を貼って送付。

<当選の知らせ>
当選者のみ郵送でのお知らせ。※9月20日(金)頃発送予定

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