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モチベーションは“宝探し感覚”――2022年要注目アーティスト&昨年の音楽シーン振り返り(ヒットの新潮流編)

ぴあ

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パンデミック下の緊急事態宣言によって“ライブやフェス活動”にストップが余儀なくされた2021年。禁酒法ならぬ、エンタテインメントがここまで追いやられた時代は珍しいことだろう。結果、音楽業界は急速な変化を求められた。そんな昨年に続いて困惑の時代である年始において、輝きを放つ“暗黒のかなたの光明”ともいえる2022年要注目アーティストについて解説しよう。

まず前段階として、現状のシーンの最前線を整頓してみたい。

2021年、パンデミック下の影響もあり、音楽シーンはネット発アーティストの躍進がさらに加速した。

しかしながら大きな事件といえば2021年12月4日。VTuberのパイオニアであり、人気を牽引してきた存在であるKizuna AIの無期限活動停止の発表だろう。なお、2022年2月26日には“ラストライブ”としてオンラインでかつてない規模での活動休止ライブを行うという。休止の理由をKizuna AI社は「キズナアイがより成長していくことを目標としたアップデートをするため」と説明していることが救いだ。

Kizuna AI & DÉ DÉ MOUSE「Here for you」SMC×Kizuna AI LIVE 2021

VTuberのP丸様が、2021年12月11日と12日に、両国国技館で有観客によるバーチャルライブを開催したことも事件だった。大ヒット曲「シル・ヴ・プレジデント」や「メンタルチェンソー」、そして最新作「ちきゅう大爆発」がインターネットミーム化したことは次世代音楽シーンの希望となった。YouTubeチャンネル登録者数が227万人を超え、さらなる活躍が楽しみな逸材である。

P丸様。「シル・ヴ・プレジデント」MV

ボカロ文化圏の“拡張”も注目すべきポイントだ。なかでもクリエイティブカンパニーOTOIROを立ち上げたDECO*27の躍進が凄まじかった。ボーカロイドを起用した新曲群「ヴァンパイア」「シンデレラ」「アニマル」という、超絶フレッシュなアッパーチューンが持つ勢い。レジェンダリーなボカロPである彼だが、次世代を牽引する存在であることを受け止めた瞬間となったことは間違いない。

DECO*27「ヴァンパイア feat. 初音ミク」

VTuber文化、そしてボーカロイド文化とは、“ロック”や“パンク”と並ぶ、日本発→世界に誇るユースカルチャーだ。2022年も日本発→世界へ想いを轟かせる、シーンの中心でありハブとなるであろう注目すべき次世代ポップカルチャーの躍進から目が離せそうにない。

2022年にさらなる活躍が期待できるアーティスト10選

2022年、注目すべきネット文化とともに躍進する10組のアーティストを紹介しよう。現時点では再生回数や一般的な知名度は、そこまで高くないかもしれない。しかし、知る人ぞ知る存在であり、何より生み出される作品のクオリティーの高さに注目をしてほしい。米津玄師やまふまふ、King Gnu、YOASOBIのように時代を変える逸材が誕生するかもしれない。必ずや“音楽好きなあなたに”聴いてほしい新しい才能だ。

Doul(ダウル)

2020年9月、世界90カ国、3,000以上のプレイリスト入りをした「16yrs」にてデビューしたDoul。福岡県出身、現在18歳のアーティストだ。セルフプロデュースに長け、作詞・作曲からスタイリング、ヘアメイク、映像、ヴィジュアルまで、すべての表現を自らのセンスで表現する、日本→世界へ向けて最も注目すべき逸材だろう。

Doul「Bada Bing Bada Boom feat. Zag」MV

菅原圭(すがわらけい)

一度耳にしたら必ずや忘れられない、せつなエモい歌声を聴かせてくれるネット発次世代アーティスト。作詞曲を自ら手がけながらも、人気ボカロPくじらとのコラボ「ブランケット」はSpotifyバイラルチャートにランクイン。跳ねるミディアムなロックビートがインパクト強い最新曲「ABAKU」は、TOOBOEとのコラボ曲として話題騒然だ。

菅原圭「ABAKU」Official Video

NOMELON NOLEMON(ノーメロン ノーレモン)

気鋭のボカロPであるツミキと、アコースティック・セッション・ユニット“ぷらそにか”のシンガーソングライター、みきまりあによって結成された音楽ユニット。YOASOBIのふたりとも親交が深く、ボカロ文化圏からさらなる活躍が期待できるクリエイティブユニット。ロック色強い「INAZMA」での、サビの擬音ラッシュが凄まじい。

NOMELON NOLEMON「INAZMA」MV

カメレオン・ライム・ウーピーパイ

オレンジの髪が特徴的なヴォーカリスト、Chi-(チー)によるソロプロジェクト。ポップ×デジタル、ロック×ヒップホップなどパンキッシュにミクスチャーしたサウンドの妙、歌声の痛快さなど、独自のセンスで耳と目と記憶に残るポップソングを続々と生み出してきた。形骸化したJ-POPシーンをひっくり返すチェンジメーカーだ。

カメレオン・ライム・ウーピーパイ「Love You!!!!!!」MV

Klang Ruler(クラングルーラー)

ソロとしても活躍するボーカルyonkey(ヨンキー)が作詞、作曲、トラックメイキングを手掛ける5人組バンド。2015年、東京大田区の幼馴染が集まって結成。YouTube動画での同世代クリエーターとのコラボ作品が話題を呼び、同世代カルチャーのハブとなるイベント“Magnet”も主催。早くも、Rin音とのコラボがスマッシュヒット中だ。

Klang Ruler feat. Rin音「ビビデバビビ」MV

WON(ウォン)

顔出ししない謎に包まれたシンガー、WON。トイズファクトリーの新設レーベルVIAと、マカロニえんぴつ、ヤユヨらを抱えるマネイジメントTALTOが送り出す、耳に刻み付ける歌声を持つ実力派。最新作「ありきたり」では、作曲と編曲にTAKU INOUEを迎えて、歌詞表現における物語が奥深い叙情的なアッパーチューンを繰り広げる。

WON「ありきたり」

未完成モノローグ

asistobeというクリエイターレーベルからリリースされた音楽プロジェクト。耳に残るヴォーカルは“ときのはな”13歳。毎回、楽曲を作るクリエイターは変わるのだが、最新曲「ハイド&シークレット」は、大学生ボカロPノラが提供している。サビのワンフレーズ“大嫌い”で豹変する、ヴォーカリゼーションの凄みに注目して欲しい。

未完成モノローグ「ハイド&シークレット」MV

SpendyMily(スペンディ・ミリー)

アートワークやMVもメンバー自身が手がける3人組SpendyMilyとの出会いは衝撃だった。イントロのきらびやかさ。空間をミストで埋め尽くしていくサウンド構築美に心を奪われた。呼応するかのように展開されていくソウルフルな歌声が持つ高揚感。大人と子供の狭間を行き交う葛藤を奏でるポップソングの完成度に心が揺れた。

SpendyMily「雨のリズム」MV

あぶらこぶ

口ずさみたくなるメロディーの強さ。ティーンエイジャーの心情を深く浮き彫りにする歌詞から伝わってくる青春の輝きと儚さ。寄り添いたくなる信頼感ある歌声が持つパワー。奈良県在住、現役高校生だという“あぶらこぶ”。YouTubeや音楽配信サイトEggsにて精力的に楽曲を発表している、今の時代を抉り出す美しさにやられた。

あぶらこぶ「花になる」MV

米澤森人(ヨネザワモリト)

シンガーソングライターであり、Spotifyが新しい才能をいち早くフックアップする公式プレイリスト「RADAR:Early Noise」へのセレクト、YUKIへ楽曲提供するなど注目の新しい才能だ。最新曲「冬のはじめ」が醸し出す令和時代のシティポップをクリエイトするポップセンス、伝わる力の強い芳醇なるメロディーに心惹かれる。

米澤森人「冬のはじめ」MV

文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

Yahoo!ニュース、Spotify、FMヨコハマ、J-WAVE、リアルサウンド、ビルボードなどで書いたり喋ったり選曲家(プレイリスター)してます。『キラキラポップ:ジャパン』など担当。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』〈ダイヤモンド社〉。

公式Twitter:
https://twitter.com/fukuryu_76

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