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“よりよく生きる”ために、「豊岡演劇祭2020」開催に向けフリンジプログラム発表

ナタリー

20/7/31(金) 8:00

平田オリザ

「豊岡演劇祭2020 Toyooka Theater Festival」の第2回記者会見が、昨日7月30日に兵庫・江原河畔劇場で行われ、豊岡演劇祭実行委員会会長の中貝宗治豊岡市長と、豊岡演劇祭フェスティバルディレクターで青年団主宰の平田オリザが出席した。

昨年、第0回が開催された「豊岡演劇祭」は、兵庫・豊岡市を中心に実施される演劇祭。今年は、海外招聘演目の中止、ならびに国際共同制作作品の内容を変更したうえで、9月に開催される。去る7月1日の第1回記者会見に続いて行われた昨日の会見では、公式プログラムのタイムテーブル、チケット情報、フリンジプログラムの参加団体、新型コロナウイルス感染防止対策などが発表された。

平田は会見冒頭で「前回の記者会見後に感染が拡大したため、対応に苦慮しています」と発言。続けて、公式プログラムの上演会場の一部変更や、チケットを一斉発売するのではなく、会場となる但馬地域向けに8月8日から先行販売し、その後状況に応じてほかの地域の観客にも販売することを明らかに。販売方法の変更について平田は、地元・但馬の人々を演劇祭を呼び込むことに加え、新型コロナウイルスに関して状況が変化した際に対応しやすくする狙いがあると述べた。

フリンジプログラムでは10団体程度の枠に65団体の応募があり、そこから24団体が選出された。演劇ジャンルにはうさぎストライプ、劇団普通、小菅紘史、theater apartment complex libido:、スペースノットブランク、日坂春奈、広田ゆうみ+二口大学、ブルーエゴナク、ダンスジャンルにはAokid×たくみちゃん、京極朋彦ダンス企画、敷地理が名を連ねた。このほか烏丸ストロークロックのトーク企画、康本雅子+池上恵一や、「老いと演劇」OiBokkeShiのワークショップ、劇作家女子会。や和田華子の勉強会なども展開される。

フリンジプログラムはいずれも観客が10人から30人程度と小規模なもの、かつ屋外での公演を多数予定。プログラムに作品の上演だけでなく、著作権、ハラスメントなどを扱う勉強会も含まれることに、平田は「演劇祭の目標の1つに“対話する演劇祭”があります。こういう勉強会が組み込まれた演劇祭は、日本初と言ってもいいのでは」と述べ、「若手小劇場の注目を集めるラインナップがそろった」と自信を見せる。また平田は「配信に切り替え可能であることを前提に、フリンジ団体を採択した」と、演劇祭の配信を行う考えがあることも明かした。

中貝市長は人口が減少している但馬地域で演劇祭を行う意義について「コロナ禍で“密”の価値が下がり、“疎”の価値が高まっている。その状況がいつまで続くかわからないが、 “疎”の中で暮らす価値を作り上げる必要がある」と言葉に力を込め、「実行委員会としては、たとえ規模を縮小してもぜひ開催したい」と意欲を見せた。

開催に向けた準備として、平田は「ここまでやらなくてもいいのでは、というくらい対策したい」と、全会場で客席数を定員の半分以下に減らしたり、出待ちや面会の禁止したりと万全の感染防止対策を講じて実施を目指していると話す。また平田は参加する演出家たちと連日オンラインで打ち合わせをしていると言い、「制約の中で最高のパフォーマンスをしてもらうため、歌や、客席に入る演出がある作品をどうするかなど、演出家と話し合っています」と語る。

演劇祭では、約2週間で3500人程度の来場を見込んでいると平田。記者から「現在の状況下では、来場者数を判断基準にするのは難しいが、何をもって演劇祭が成功したと言えるか」と尋ねられると、平田は「このような状況でなくとも、関係者の安全を守ることが最重要」と回答。続けて「多様な団体が参加するフリンジプログラムを無事実行し、次回も多くの応募があるかどうかが評価基準になるのでは。フリンジには都市で活動の場をなくした団体が参加しています。こういった(“豊岡演劇祭でなら上演できる”という)イメージを持続・加速させていけたら」と期待を寄せた。

さらに記者からは「感染リスクをゼロにするのが難しい状況で、人が集まる催しを行う意義をどう捉えているか」という質問も。平田はこれに対し「私たちにとって大切なのは“よりよく生きる”こと。そのためにはアートやスポーツ観戦など、人によってさまざまなものが必要です。私たちは今、感染リスクと大切なものを天秤にかけながら、社会的活動を再開する段階に来ている。安全が最優先ですが、危険をゼロにできなくても『この程度のリスクならこのくらいやれる』というラインを探りながら、演劇祭を実施したい」と答えた。

「豊岡演劇祭2020」は9月9日から22日まで、兵庫・豊岡市内の各所で行われる。

「豊岡演劇祭2020 Toyooka Theater Festival」

2020年9月9日(水)~22日(火・祝)
兵庫県 城崎国際アートセンター、玄武洞公園、豊岡市民プラザ、豊岡稽古堂、豊岡市民会館、江原河畔劇場、日高文化体育館 ほか豊岡市内各所

プログラム

豊岡演劇祭 特別公演 鈴木忠志、高田みどり、SAMGHA / 真言聲明の会「羯諦羯諦」

2020年9月11日(金)・12日(土)
兵庫県 玄武洞公園

演出・構成:鈴木忠志
出演:高田みどり、SAMGHA / 真言聲明の会

豊岡演劇祭 特別公演 岩井秀人(WARE)「いきなり本読み!in 豊岡演劇祭」

2020年9月12日(土)・13日(日)
兵庫県 日高文化体育館

企画・司会進行:岩井秀人

Q「バッコスの信女 ─ ホルスタインの雌」

2020年9月11日(金)~13日(日)
兵庫県 城崎国際アートセンター

作・演出:市原佐都子

cigars「庭にはニワトリ二羽にワニ」「キニサクハナノナ」

2020年9月12日(土)・13日(日)
兵庫県 豊岡市民プラザ

作:小川未玲
演出:志賀廣太郎

東京デスロック「Anti Human Education III~PANDEMIC Edit.~」

2020年9月10日(木)~12日(土)
兵庫県 豊岡稽古堂

構成・演出:多田淳之介

中堀海都+平田オリザ 室内オペラ「零(ゼロ)」

2020年9月13日(日)
兵庫県 豊岡市民会館

作・演出:平田オリザ
作曲・指揮:中堀海都

青年団「眠れない夜なんてない」「ヤルタ会談」「思い出せない夢のいくつか」

2020年9月9日(水)・10日(木)、12日(土)~14日(月)、19日(土)~21日(月)
兵庫県 江原河畔劇場

作・演出:平田オリザ

マームとジプシー「てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。」

2020年9月19日(土)~21日(月)
兵庫県 城崎国際アートセンター

作・演出:藤田貴大

五反田団 新作「ぬかりのない船(仮)」

2020年9月19日(土)~21日(月)
兵庫県 豊岡市民プラザ

作・演出:前田司郎

変わりゆく線「四つのバラード」「diss__olv_e」

2020年9月20日(日)
兵庫県 豊岡市民会館

「四つのバラード」
振付:Roy Asaaf
出演:木田真理子、児玉北斗
ピアニスト:圓井晶子

「diss__olv_e」
振付:平原慎太郎
出演:OrganWorks

フリンジプログラム 参加団体ラインナップ

演劇

うさぎストライプ「ゴールデンバット」
劇団普通「電話」
小菅紘史「山月記」
theater apartment complex libido:「libido:AESOP 0.9」
スペースノットブランク「ラブ・ダイアローグ・ナウ」
日坂春奈「かみしばいや」
広田ゆうみ+二口大学「いかけしごむ」
ブルーエゴナク「タイトル未定」

ダンス

Aokid×たくみちゃん「MOVE-MOV(I)E MEN-MENT!!!!」
京極朋彦ダンス企画「未定」
敷地理「blooming dots」

リーディング

天明留理子(旭堂南明)「城崎で聴く怪談話」

大道芸

知念大地「続・ひしと」
塚越ピカル「Living Statue」

フィジカルコメディ

to R mansion「DIVE / JOURNY(ダイブジャーニー)」

フィールドワーク

山川陸(山川陸設計)「三度、参る」

インスタレーション

越後正志「観測地点」

トーク

烏丸ストロークロック「タイトル未定」

ワークショップ

一般社団法人ダンストーク「マジな性教育マジか」by康本雅子+池上恵一
「老いと演劇」OiBokkeShi「老いと演劇のワークショップ」
観客発信メディアWL「劇評ミーティング」in 豊岡
竹中香子「『民主的演技』を考えるワークショップミーティング」(オンライン開催)

勉強会

劇作家女子会。「劇作家による著作権との付き合い方勉強会:死後のライセンスについて」(オンライン開催)
和田華子「俳優・演出家・劇作家・制作者に向けたLGBTQ勉強会」

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