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梶裕貴、野島健児、古川慎……男性声優たちの松田聖子カバーが伝える“楽曲本来の秀逸さ”

リアルサウンド

20/12/18(金) 6:00

 松田聖子デビュー40周年を記念し、声優たちによるカバーアルバム『VOICE~声優たちが歌う松田聖子ソング~』が12月9日に発売された。Female Edition(女性声優編)、Male Edition(男性声優編)の2種が同時発売されており、Male Editionには梶裕貴、野島健児、松岡禎丞、古川慎、石川界人の5名が参加している。本稿では、その中から4曲取り上げて魅力を紹介したい。

 まずは、古川慎による「チェリーブラッサム」。2018年にアーティストデビューした古川だが、その歌唱力には定評があり、今年7月に発表されたシングル表題曲「本日モ誠ニ晴天也」ではジャズナンバーも見事に歌いこなしている。「チェリーブラッサム」のオリジナルはブラスバンドの演奏が華やかなはつらつとした曲だが、今回のカバーでは一転してギターとドラムが効いたロック調にアレンジ。古川のパワフルな歌声が存分に発揮され、力強さを感じさせる一曲へと生まれ変わっている。

古川慎 – チェリーブラッサム

 続いて、「ガラスの林檎」をカバーするのは野島健児。作詞を松本隆、作曲を細野晴臣が手がけた一曲で、〈蒼ざめた月が 東からのぼるわ〉〈せつなさも 紅を注してゆくわ〉などメルヘンでポエティックな詞とメロディが印象的なナンバーだ。今回のカバーでは、ハープのような丸みのある音をメインに据えた、ポップなアレンジが成されており、野島の柔らかなボーカルによって、ドリーミーな世界観がより際立っている。

野島健児 – ガラスの林檎

 松田聖子といえば、外せないのが「あなたに逢いたくて〜Missing You〜」だろう。ミリオンセラーを記録し、自身最大のヒットとなったこの曲は、松田本人が作詞作曲を手がけており、彼女のクリエイターとしての才能が発揮された作品でもある。メロディの美しさもさることながら、別れた相手を思い、消えない愛情を表現するボーカル力が問われるこの曲を、梶裕貴は端正な歌声を活かし、まっすぐ丁寧に歌い上げることによってストレートに胸を打つものに仕上げた。また、男性ボーカルでこの曲を聴くことにより、オリジナルに対するアンサーソングのような、まるで「あなた」の側の思いのたけを聴いているような趣も感じられるかもしれない。

梶裕貴 – あなたに逢いたくて〜Missing You〜

 最後に5人全員で歌うのは「瑠璃色の地球」。1986年に発表された同楽曲は、〈夜明けの来ない夜は無いさ〉というフレーズから始まるメッセージソングだ。コロナ禍に見舞われ、世界全体が苦境に追い込まれた今年聴いてこそ、より一層染み入る曲となっているのではないだろうか。松田聖子自身も今年7月、この曲をリアレンジ/リレコーディングし、「瑠璃色の地球 2020」として公開している。合唱曲の定番でもある「瑠璃色の地球」。サビで5人の声が重なり、広がっていくのが非常にドラマチックだ。

璃色の地球 Lyric Video(梶裕貴、野島健児、松岡禎丞、古川慎、石川界人) 〜「VOICE~声優たちが歌う松田聖子ソング~ Male Edition」より〜

 今もなおテレビやラジオなどで耳にする機会が多い松田聖子の往年のヒット曲。今回のアルバムに収録されているのも、世代を越えて耳なじみのある曲が揃っているが、それゆえに改めて腰を据えて聴きなおすことが少ないと言えるかもしれない。そんな中このアルバムは、「松田聖子の歌」としてだけではなく、楽曲そのものの秀逸さを思い起こさせせてくれたように思う。新しいものを追いかけ続けるだけでなく、時には普遍的な音色に身を委ねたいと思わせる一枚だ。

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■満島エリオ
ライター。 音楽を中心に漫画、アニメ、小説等のエンタメ系記事を執筆。rockinon.comなどに寄稿。満島エリオ Twitter(@erio0129

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