Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

スパイダーマンって結局どうなったの? 杉山すぴ豊が解説する、スパイダーマン今後の可能性

リアルサウンド

19/11/3(日) 10:00

 今年、アメコミ映画ファンをやきもきさせたニュースの一つが、スパイダーマンのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)離脱問題でした。結論から言うと、ソニー・ピクチャーズ(以下、ソニー)が映画化権を有するスパイダーマンはもう少しMCUに残留することになります。これについて多くのメディアがとりあげているので、この経緯についてはもう触れませんが、スパイダーマンがMCUに残留することでこの先どういう展開になるか予想してみたいと思います。

まず頭に入れておくべきことは、ソニーとディズニー側(MCUのオーナー)との合意では、

<1>『スパイダーマン:ホームカミング』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に続くシリーズ第3弾を共同で製作。MCUの仕掛人でプロデューサー、マーベル・スタジオの社長ケビン・ファイギと、ソニーでずっと『スパイダーマン』映画を手がけているエイミー・パスカルが再びタッグを組んでプロデュース。トム・ホランドがピーター・パーカー/スパイダーマン役、ジョン・ワッツ監督も続投。2021年7月16日公開予定。本作は世界観はMCUですが、ビジネス的にはソニー映画。

<2>これとは別にあと一回、MCU映画にスパイダーマンは登場。要は『アベンジャーズ:エンドゲーム』等のようにヒーローの一人としてスパイダーマンが登場。これはビジネス的にはディズニー映画。

<3>そして注目すべきは両者(社)間でスパイダーマンは“be the only hero with the
superpower to cross cinematic universes”(ユニバースを横断する超能力を持つ、唯一のヒーロー)という合意がなされたということです。

 個人的には、この3つめがすごく気になるのですが、まず<1>と<2>から考えてみましょう。そもそもディズニーがMCUにスパイダーマンを入れたかった理由は、もちろん人気キャラだからなのですが、若者視点を持ち込みたかったという事情があるようです。アイアンマンやキャプテン・アメリカは大人の男です。ここに新米ヒーローをいれることによって若い世代の共感や若いヒーローをMCUに入れやすくなる。実際、スパイダーマンのアニメでは、スパイダーマンが中心となってヤング・ヒーローたちを率いるというシリーズがあります。

 従って<2>の路線では、スパイダーマンを中心とした若いヒーローたちが活躍する映画になるのではないかと思います。先に例を出したアニメではノヴァ(NOVA)という若僧宇宙ヒーローとスパイダーマンのコンビが楽しく描かれています。ノヴァはマーベル・コミックの中でも人気ヒーローでファンがMCUに登場してほしいと思っているキャラの一人。ノヴァをMCUに導入するきっかけとしてスパイダーマンは有効なのかもしれません。なお『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』には一瞬NOVAという単語が出てくるシーンがあり、ノヴァ登場を予告しているのかもしれません。

 またMCUは原作コミックで有名な、SECRET WARSというヒーロー軍団VSヴィラン軍団が激突するエピソードの映画化を企画中との噂もあり、そうなればここにスパイダーマンは欠かせません。

 話が前後しますが、<1>については『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のラストでとんでもないことになったスパイダーマンことピーターがどうなるのか、が興味深いところ。ここでファンが注目しているのは、ああいう状況においこまれたら、当然ピーターは逮捕なり起訴される可能性がある。そうなると弁護士が必要ですよね。マーベルのコミックの世界には、2人の有名な弁護士がいます。

 一人はネットフリックスのドラマにもなっている『デアデビル』。デアデビルの正体はマット・マードックという盲目の弁護士です。彼がピーターの弁護士として登場し、ついにMCUにデアデビル登場?

 もう一人の弁護士はジェニファー・ウォルターズという女性ですが、彼女はハルクことブルース・バナーの従妹であり、彼の血を輸血したことからシーハルクという女ハルクに変身してしまうのです! このシーハルクがピーターを助けるのかもしれません。実は後者の可能性は高く、というのもMCUは新たに立ち上げる配信サービス、Disney+でシーハルクのドラマを発表したのです。従って、ドラマ『シーハルク』とスパイダーマン映画3作目がクロスする可能性もあります。

『ヴェノム』(c)&TM 2018 MARVEL

 これだけでもワクワクするのですが、最後に<3>です。実はソニーはスパイダーマンだけではなく、スパイダーマンのコミックに紐づくキャラの映画権を持っています。それを使って作ったのが2018年のトム・ハーディ出演の『ヴェノム』です。そしてソニーはこの後、やはりスパイダーマンのヴィランで吸血鬼のモービウスを主人公にした映画をジャレッド・レト出演で映画化、さらに『ヴェノム』の続編や、スパイダーマンのコミック世界をベースにした複数のドラマ・シリーズを企画中と言われており、MCUとは別の“スパイダーマン映画世界(仮にシネマティック・スパイダーバースとでも言いましょうか)”を作ろうとしていたわけです。トム・ハーディの『ヴェノム』はMCUではなかったということを思い出してください。

 “be the only hero with the superpower to cross cinematic universes”とは、トム・ホランドのスパイダーマンは複数の映画世界=cinematic universesを行き来できる唯一のヒーローと認められたわけで、MCUとソニーが作るシネマティック・スパイダーバースの両方の映画に出れるということなのです。

 なのでトム・ホランドのスパイダーマンは、

・この先MCUで他のマーベル・ヒーローたちと共演
・この先シネマティック・スパイダーバースでトム・ハーディのヴェノムと共演

できるようになると考えられるわけです。

 まさにアカデミー賞をとったアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』のように、様々なスパイダーマンがパラレル・ワールド的にいる、みたいなことでしょうか?

 ここでファンがさらに期待しているのは実写版「スパイダーマン:スパイダーバース」。これが実現すればトビー・マグワイヤとアンドリュー・ガーフィールドとトム・ホランドのスパイダーマンが共演という映画も可能になります。これからのスパイダーマン映画がどう広がっていくのかかなりややこしいですが、かなり楽しみです(笑)。

■杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)
アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画に関するコラム等を『スクリーン』誌、『DVD&動画配信でーた』誌、劇場パンフレット等で担当。サンディエゴ・コミコンにも毎夏参加。現地から日本のニュース・サイトへのレポートも手掛ける。東京コミコンにてスタン・リーが登壇したスパイダーマンのステージのMCもつとめた。エマ・ストーンに「あなた日本のスパイダーマンね」と言われたことが自慢。現在発売中の「アメコミ・フロント・ライン」の執筆にも参加。Twitter

■リリース情報
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』
12月4日(水)ブルーレイ&DVD発売、同時レンタル開始
11月6日(水)よりデジタル先行配信
日本限定プレミアム・スチールブック・エディション【完全数量限定】:9,800円+税
ブルーレイ&DVDセット【初回生産限定】:4,743円+税
4K ULTRA HD & ブルーレイセット【初回生産限定】:6,800円+税
発売元・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式ホームページ:http://www.spiderman-movie.jp/
(c)2019 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. | MARVEL and all related character names: (c) & TM 2019 MARVEL

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む