吉田凜音、初の作詞作曲で深まった音楽への解釈 「Fukaseさんとだったからこそ折れずにやれた」
19/2/5(火) 18:00
吉田凜音が、2月13日にニューシングル『#film』をリリースする。表題曲の「#film」は、自身とも重なる卒業を彷彿とさせる楽曲で、吉田凜音が初めて作詞作曲に挑戦。さらに、同曲はSEKAI NO OWARIのFukaseからアドバイスを得ながら制作した楽曲だという。今回のインタビューではそのFukaseとのやりとりの中で感じた楽曲への解釈や音楽への面白さを聞くことができた。(編集部)
歌がもっと好きになった
ーー新曲「#film」は、ほのかにノスタルジーが漂う、淡くてやさしい卒業ソングですが、今回は初めて作詞作曲に挑戦されたそうですね。
吉田:作詞作曲は昔からやりたいと思っていたんですけど、曲の作り方とか詞の書き方とかがわからないままでいたので、なかなか実現できずにいたんです。
ーー今回は、「作詞作曲を自分でやってみよう」というところから曲作りがスタートしたんですか?
吉田:2018年にSEKAI NO OWARIさん主催の『clubEARTH 12th Anniversary』に呼んでいただいたときにFukaseさんと初めてお会いして。そのときにFukaseさんが「一緒に曲を作らない?」って声を掛けてくださったんです。「僕が作詞作曲の仕方をアドバイスしてあげるよ」という感じだったので、「ぜひ!」とお願いしました。
ーーそこからFukaseさんに助言してもらいながら作詞作曲を始めてみた。
吉田:まずはフリーのトラックにリリックを乗せて自分でラップしてみたものをFukaseさんに送ってアドバイスをいただいて、そこを改善していくっていうのを何回か繰り返していきました。
ーーFukaseさんからはどんなアドバイスをもらったんですか?
吉田:私は楽器が弾けないのでアレンジャーさんに私の口から「こういう音で、こうしてほしい」っていうのを伝えて曲に落としてもらって、それを聞いてもらい、トラックのベースラインを変えた方がいいとか、シンセを入れた方がいいとか。あとは、サビをアタマに持ってきた方がいいんじゃないかとか、ここのサビを減らした方がいいとか増やした方がいいとか、曲の構成もアドバイスしてもらいました。
ーーリリックに対してアドバイスは?
吉田:リリックはノータッチでしたね。「いい感じじゃん!」とか「いい気がするー」とか、そういう感じで。
ーーダメ出しもナシ?
吉田:いい感じに厳しかったですけど、私のことを第一に考えてくださって、「俺はこれがいいと思うけど、でも凜音ちゃんが考えて」みたいなスタンスだったんです。「人に任せないで自分で考えてやりたいようにやりなさい」っていう。Fukaseさんだったからこそ、途中で「もう無理です」って折れないでやれたと思います。本当に素敵な人に教わることができたので、すごく楽しく作詞作曲ができました。
ーー作詞作曲をやってみて、いちばん勉強になったことは?
吉田:アドバイスをもらいながら音も1個1個作っていったから、小さな音でもノリに必要だったり、小さな音でもリリックをハメていくと気持ちよかったりすることに気付けたんです。なので、私が作詞作曲していない曲も、小さな音を聞くようになったし、音にハメて気持ちいい感じがよりわかるようになって。
ーー「あ、ここはこうなってたんだ」みたいな。
吉田:そうです。今回の「#film」の作業を通して、楽曲の解釈が深まったし、ライブでダンスをつくるときも小さな音を拾うようになって、ビートの解釈も広がって。なにより歌がもっと好きになりました。
ーーそもそも「#film」は、どんなテーマで書き始めたんですか?
吉田:今回は、女の子同士の曲を書きたかったんです。私ともうひとりの女の子の話にしたくて。女の子の儚さだったり、季節感、曲を聴きながら風景を思い出せるようなリリックにしたかったんです。
ーー「卒業」というテーマは念頭にあったんですか?
吉田:卒業というテーマは考えずに書き始めたんですけど、書いてたら、冬っぽくて、ちょっと切ない感じだけど未来も見ているような前向きな曲になってきて、「あ、卒業っぽさもあるな」っていう曲ができあがったっていう感じです。
ーーご自身もこの春に高校を卒業だから、自分の感情が知らず知らずのうちにペンに伝わっていたのかもしれないですね。
吉田:そうですね。「高校生」っていうことを大切にしたいなと思っていた2018年だったので、自然と出てきたのかなって思います。
ーーリリックで特に思い入れの強いフレーズや自慢のフレーズはありますか?
吉田:えー、自慢のフレーズですか? 自慢じゃないけど、ラップ部分は歌ってて気持ちいい感じはありますね。
ーーラップパートだと、ファーストバースの終わりの〈カーテンの隙間 覗き込むと/朝が来たんだなって感じた〉という歌詞に青春を感じました。学生の頃って、特に何をするわけでもないけど夜更かしをして朝を迎えることがよくあるじゃないですか。
吉田:そうですね。
ーー大人になると、「明日は早いから早く寝なきゃ」みたいになるけど(笑)。
吉田:うんうん(笑)。私も、自然と朝が来ちゃったなっていうイメージで書きました。夜、遊びに出掛けて、お店とかにいて光が差してくることもあるだろうし。部屋の中で女の子と他愛もないおしゃべりをしていて、外に出たら「朝じゃん!」みたいな。そういうイメージで書いたんです。
ーー地元の札幌を離れて、東京で高校生活を送っていましたが、振り返るとどのようなことをいちばんに思い出しますか?
吉田:私服と制服、両方OKな学校だったんですけど、制服着てきたら負け、みたいなところがあって。制服は何を着てもいいんですけど、着ていくとすごい目で見られるんですよ。だから、なかなか制服を着ていく機会がなくて。自分はJKなのか? と思うときがすごくあるんですけど、そのぶん頑張って外で制服着てました。制服を着てディズニーランドに行ったり、タピオカ飲んでプリクラ撮ったり。私なりのJKを3年間楽しめてたんじゃないかと思います。
ーー制服にはやっぱり憧れが強かったんですか?
吉田:制服を着ると「JKだ! 無敵だぜ!」みたいな感じが出てくるんですよね。憧れが強いかもしれないですけど。なので、特別な日というか、はっちゃけようぜ! みたいなときは友達同士、制服を着て集まって遊んでました。
ーー高校生活でコレをやれなくて悔しい、っていうのはありますか?
吉田:指定の制服がある学校だと、朝起きて、制服に着替えて、遅刻をしたら先生に怒られてっていう。そんな日常が羨ましかったですね。自由な学校だったんで、何していてもOKみたいなところがあって。もはや先生に怒られたいって思うくらい。スカートの丈が長いとか、校則に縛られたかったです(笑)。
吉田凜音 – #film / RINNE YOSHIDA – #film [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
いろんな角度で楽曲の良さが伝われば
ーー制服といえば、歌詞に〈脱ぎ去った制服〉という一節が出てくる2曲目の「MU」は、軽快なフューチャーハウスに仕上がっていますね。
吉田:これまで音楽をいろいろやってきた中で、2018年は、歌とダンスとラップをやっていきたいとすごく強く思った一年だったんです。なので、そういう曲をやりたいということで、ケンモチ(ヒデフミ)さんにダンスチューンを作ってもらったんです。で、(バクバクドキンの)YUIさんに歌詞を書いてもらって。
ーー歌詞にはどのような印象を受けましたか?
吉田:新しい世界に飛び込んでいく歌詞で、ダンサブルな曲調にハマっているなって思いました。間奏はポップな感じというか、パーティーみたいな感じというか、「未来に向かって行くぞ!」みたいな感じになっていて。新世界が開かれていくような曲調に歌詞がすごくハマっていて、かっこいい曲になったなって思います。
ーーブラックホール並みに何でも吸収しちゃいたいという、好奇心旺盛な女の子を描いていますが、ご自身と重なる部分も多いのでは?
吉田:そうですね。私も実際、コーヒー飲めないし(笑)。あと、私もブラックホール並みに好奇心旺盛だと思います。今回の作詞作曲もそうだけど、基本的にやりたいことがあればどんどんやっていくタイプだし、知らないことがあったらちゃんと聞くタイプだし。結構この歌詞のまんまですね。
ーータイトルは「MU」と書いて「ムー」と読むそうですが、その由来は?
吉田:YUIさんが、ムー大陸から取ってきたと言ってました。なぜムー大陸なのかはわからないんですけど(笑)。でも、ムー大陸のミステリアスな感じとかブラックホールの神秘的な感じが、未体験なものを求めていく好奇心と重なっているのかなって解釈してます。アドベンチャーな感じがあるというか。
ーー3曲目の「Tea for Two」は、90年代のニュージャックスウィングを想起させるサビの味付けが印象的なナンバーでした。
吉田:illicit tsuboiさんのミックスで、コレもすごくかっこいい音になってます。ケンモチさんのビートとは真逆な感じで、体の中からどんどん乗ってくるような曲になったんじゃないかなって思います。
ーー歌詞はかけがえのない友達との友情を描いていますね。
吉田:これは「#film」の延長にある曲だなって思っていて。「#film」は仲の良い友達との2人の関係性を表現した曲ですけど、「Tea for Two」は「#film」に出てくる女の子と共に過ごして無敵になっていくような感じ。「私たち、繋がってるよね!」「2人一緒にいれば無敵だろ!」という感じがとっても詰まっている曲だなと思っています。
ーー3月に『バイバイJKバイブスアゲてこ~↑↑↑ツアー』が控えていますが、どんなものにしたいと思っていますか?
吉田:前回の『Find your #film』ツアーのファイナルは、男の子2人と女の子2人、計4人のバックダンサーでライブをやったんですけど、その子たちとまた3月のツアーを回るんです。今年は歌や音源だけではなく、ダンスも追求していきたいんです。ダンスと歌とラップをライブパフォーマンスで表現することによって、いろんな角度で楽曲の良さが伝わればいいなって思っているので、そういう部分を強めて3月のツアーに挑みたいなと思ってます。
ーー昨年夏にアルバム『SEVENTEEN』を携えて初のワンマンツアーを行いましたが、それ以降、ライブに向かう姿勢に変化はありますか?
吉田:基本的に「やったるぞー!」みたいな気持ちでライブに臨んでますね。
ーーライブはあまり緊張しないタイプですか?
吉田:ステージに上がったら「楽しい」が勝っちゃうのであまり緊張はしないですね。始まる前の「5分押しでーす」っていう5分とかが毎回緊張(笑)。ステージの袖でスタンバイしてるときが緊張のピークです(笑)。
ーーその緊張を和らげる方法は?
吉田:背中を思いきりダンサーさんに叩いてもらうんです。「バン!」って。で、私も4人の背中を叩くっていう。それが恒例になってきました。要は気合い入れですね。叩かれると安心するし、「行ってこい!」感ももらえるし、ステージに思いきり飛び出せます。
ーー2019年が始まって1カ月あまり経ちましたが、最後に、吉田凜音の2019年の目標を教えてください。
吉田:2018年はいろんな場所でライブができたんですけど、2019年も引き続きいろんな場所でたくさんのライブをしていきたいです。インストアもやりたいし、フェスにも出たい。
ーー作詞作曲は?
吉田:それもやっていきたいです。今回はFukase さんにアドバイスをもらってやりましたけど、教わったことを活かしつつ、なるべく自力でやっていきたい。最初から最後まで自力で作詞作曲をする。それも目標のひとつですね。
ーープライベートで今年やりたいことはなんですか?
吉田:高校を卒業して大人に一歩近づくということで……海外旅行に行きたいです。海外は台湾しかないんです。中2のときにライブで1回行ったきりなので、今度はプライベートで海外に行きたいです。
ーー行きたい国は?
吉田:そうだなぁ……動物がいっぱいいるところ!(笑)。
ーー海外で動物となると……アフリカとか?(笑)。
吉田:アフリカ、いいですね(笑)。どこでもいいですけど、野生の動物とかがいるところに行ってみたい。そのための休みをもらえるよう、今年は頑張ろうと思います!
(取材・文=猪又孝/写真=林直幸)
■リリース情報
シングル『#film』
2月13日(水)発売
<収録曲>
M1. #film
M2. MU
M3. Tea for Two
生産限定#FR2コラボカメラ盤 ¥2,000(税抜き)
通常盤 ¥1,200(税抜き)
■ライブ情報
『高校生ラストワンマンライブツアー― バイバイJKバイブスアゲてこ~↑↑↑ツアー ―』
2019年3月20日(水) 大阪FanJ twice 18:30/19:00
2019年3月22日(金) 名古屋ell FIT ALL 18:30/19:00
2019年3月27日(水) 渋谷WWX 18:15/19:00
オールスタンディング ¥3,500
一般発売 2月16日(土)
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