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『七人の秘書』クセ者をまとめ上げる木村文乃の手腕 『ショムニ』から更新された仮想敵

リアルサウンド

20/10/30(金) 6:00

 予告編で流れる「権力塗れの上級国民に影のヒロインが鉄槌を下す」に、ふと先般の事故報道で度々聞かれた「上流国民」というパワーワードが不協和音のように響く。『七人の秘書』(テレビ朝日系)は、“弱気を助け強気をくじく”、そんな影の仕事人“秘書”が題材のドラマ。元も現役も含め、7名の経済界や政界トップの秘書が登場する。

 本作は、『ドクターX~外科医・大門未知子~』シリーズ(テレビ朝日系)、『ハケンの品格』(日本テレビ系)などを手がけた中園ミホ脚本作品。彼女の作品には鉄板の決め台詞が用意されているが、本作でのそれは「名乗るほどの者ではございません」。ちなみに、本作からどうしても連想してしまうのが『ショムニ』(フジテレビ系)だ。OLの掃き溜めと呼ばれている部署の個性派揃いの女子社員6人をモチーフに、社会常識や会社内の上下関係に囚われている情けない男たちをばっさりと切り捨てていくという、放送当時には全く新しいタイプのOLドラマとして人気を博した。

 『ショムニ』でも本作でも、女性同士がチームを組んでいるものの、彼女らそれぞれに別々の居場所や輝ける場所があり、だからこそ女性ならではの「馴れ合い」もなく、互いに「プロジェクトベースで」力を合わせる。ここぞという時に発揮される彼女らの結束力、連携ぶりが見事だ。『ショムニ』では、そんな彼女らのまとめ役は江角マキコ演じる坪井千夏だったが、本作での主人公は東都銀行の常務秘書・望月千代を演じる木村文乃だ。


 木村文乃と言えば、連ドラ初主演作品『マザー・ゲーム〜彼女たちの階級〜』(TBS系)での蒲原希子役が印象的だ。名門幼稚園に一人場違いに紛れ込んでしまったバツイチシングルマザーで、四面楚歌の中、明朗快活な性格、人一倍強い正義感、ストレートな物言いで次第に周囲のセレブママたちを変えていくという圧倒的な“陽”なキャラクターを演じた。『黒の女教師』(TBS系)では、榮倉奈々演じる主人公のダークヒーロー・高倉夕子のやり方に苦言を呈する側の青臭い新人教師・青柳遥役だった。それが本作ではダークヒーローとして暗躍する側への配役、これまでとは違った彼女の新境地が見られる。顔色一つ変えず淡々と抑揚のない声で話すポーカーフェイスな役どころだ。ただ、今回の千代も兄の一男(マキタスポーツ)のラーメン屋を巡って理不尽な目に遭い、兄は失踪中の身。これまでの役どころとは違うが、静かに、だけれども強力で確実な怒りを腹の底に抱えていて、今までよりも良い意味で“ドス”が効いていて存在感も増している。

 第2話では、東都銀行の新頭取の秘書・照井七菜(広瀬アリス)に対する、秘書室長の鈴木二葉(杉田かおる)によるパワハラに仕返しをする。かつて『ショムニ』が女性社員からの男性社会へのアンチテーゼだったのに対して、そこから20年経った本作の第2話では、同性から「誤った権力の行使をする女上司」への成敗なのも興味深い。

 本作で描かれたパワハラ女上司はそもそもの性格にかなりの難ありだと思うが、「女が権力持ったときの最悪なパターン。心が狭くて傲慢」「権力に取り入るのだけは上手い」というのは、どこまでが彼女の元々の性質で、どこからが男性社会の中で今のポジションにまで上り詰めるにあたり後天的に身につけてしまったものなのだろうか。「そういう底意地が悪い女上司がいるから“これだから女は……”と言われちゃう」とはドラマ内での秘書たちの言葉だが、これは今やたくさんの選択肢を手にしている女性たちが実際の職場でこぼしている率直な感想かもしれない。

 7人目の秘書・照井七菜があのラーメン屋に集う秘書仲間に加わった訳だが、今後も徐々に明かされていくであろうキャラ立ちした秘書それぞれが抱える事情や過去に注目していきたい。

※記事初出時、一部に記述の誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
『七人の秘書』
テレビ朝日系にて、毎週木曜21:00~21:54放送
出演:木村文乃、広瀬アリス、菜々緒、シム・ウンギョン、大島優子、室井滋、江口洋介
ゲスト:萬田久子、大和田伸也、木下ほうか、小林隆、杉田かおる、藤本隆宏、とよた真帆、橋爪功、マキタスポーツ、リリー・フランキー、松本若菜、永瀬莉子
脚本:中園ミホ、香坂隆史、林誠人
演出:田村直己(テレビ朝日)ほか
音楽:沢田完
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:大江達樹(テレビ朝日)、 浜田壮瑛(テレビ朝日)、大垣一穂(ザ・ワークス)、角田正子(ザ・ワークス)
制作協力:ザ・ワークス
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日

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