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Uru、自然と導かれた“オリオンブルー”の個性 ドラマ主題歌に対する思いも語る

リアルサウンド

20/3/18(水) 20:00

 Uruが、2018年12月にリリースした1stアルバム『モノクローム』から約2年3カ月ぶりとなるニューアルバム『オリオンブルー』を3月18日にリリースした。

 同作には、TBS系日曜劇場ドラマ『テセウスの船』の主題歌である「あなたがいることで」をはじめ、アルバム新録曲としてデビューから数回しか披露されていなかった幻の楽曲「今 逢いに行く」、Kan Sanoがアレンジを手掛けた「space in the space」、Shingo Suzukiがアレンジを手掛けたウェディングソング「marry」、渡辺シュンスケがアレンジを手掛けたアップナンバー「Don’t be afraid」など全13曲が収録。バラードを紡いできた印象の強いUruが、新たな一面を見せた今作の収録曲を通して新境地を開いていこうとする音楽へ向き合う姿勢や、デビューから4年を経て自分の色=『オリオンブルー』にたどり着くまでの挑戦や今の心境を語ってもらった。(編集部)

■「いろんな表情を持った曲が詰まった“お弁当箱”みたいなアルバム」

――1stアルバム『モノクローム』のリリースから約2年3カ月が経ちました。その時間はUruさんにどんなものをもたらしてくれましたか?

Uru:『モノクローム』は私の原点をコンセプトに作った曲たちをまとめたアルバムだったんですけど、それ以降は自分らしさ、自分の色みたいなものを少しずつ表に出せるようになってきたかなと思います。自分で作詞/作曲した曲を聴いていただく機会が増えたこともあって、自分自身がUruの色を見つけられた実感もありますし。それを象徴するのが今回のアルバムタイトルになっています。

――Uruさんにしかない個性を象徴する色が“オリオンブルー”だったわけですね。その色を見つけるためには模索もありましたか?

Uru:模索というよりは、自然に導かれたような気がします。いつも応援してくださっている方々に、“Uruと言えば何色?”っていうアンケートに答えていただいたことがあって。そのときに、青系の答えがすごく多かったんですよね。それを見た時に、あぁやっぱりそうなんだなって。

――様々なブルーがある中で、オリオンブルーはちょっと緑がかった明るい青ですよね。

Uru:そうなんです。アンケートの回答にもいろんなブルーが書かれてあったんですけど、けっこう水色に近いブルーという印象を持ってくださっている方が多くて。私自身は緑色が好きなので、水色にそれを足してみたところすごく素敵な色になったんです。それがオリオンブルーという名前だったので、直感的に決めました。

――これまでのUruさんは重厚なバラードを歌うイメージが強くあったので、色で言えば濃い青、濃紺が似合う感じだったと思うんです。でも今回のアルバムを聴かせていただくと、明るさを持った曲もあるし、これまでになかったタイプの曲もある。まさにオリオンブルーというタイトルがふさわしい内容だなと思いました。

Uru:バラードではない曲も前々から作ってはいたんですが、皆さんに聞いていただくタイミングがなかなかなかったというか。それが今回、自分の色をテーマにしたアルバムを作ることになったので、私の違った一面も聴いて欲しいなと素直に思えて収録することができたんですよね。

――今回収録されているような幅広いタイプの楽曲を昔から作っていたのだとすると、バラードのイメージばかりが強くなっていくことに対してもどかしさを感じたりすることもあったのではないかな、とちょっと思ったりもしたのですが。

Uru:バラードを歌うことはすごく好きなのですが、自分の中にあるバラード以外の部分も聴いて欲しいなという思いは確かにありました。ただ、活動していく中で自分のバラードを求めてくださる方がいることはすごくありがたいことなんだなって、あらためて思えるようになっていったんですよね。それによって自分が歌うバラードをより愛せるようになったし、より素直な気持ちでバラードを作れるようにもなりました。

――ご自身が作るバラードにも変化が表れたり?

Uru:そうですね。たとえばアルバムにも収録されている「あなたがいることで」は、ドラマ『テセウスの船』(TBS系)の世界観に寄り添いつつ、自分の作りたいバラードの形と応援してくださる方々が喜んでくださるであろうバラードの形をいいバランスで落とし込むことができました。自分の音楽性と求められていることの両方を曲にできたことは、デビュー当時から一番変化した部分なのかなと思います。

――ご自身の中でバラードに対して折り合いがつけられたことには何か理由があったんですかね?

Uru:なんなんでしょう……。でも、自分のバラードがたくさんの方に届いて、それを愛してくださっていることをダイレクトに感じられているからだと思います。「あの曲を聴いてこんな気持ちになりました」といった感想がSNSやブログなどを通じて直接届くようになったことで、少しずつ素直になれていったんですよね。昔の話で言えば、YouTubeにアップした動画に対して自分ではあまりうまく歌えていないな、もうちょっと何かできたんじゃないかなと思っていたとしても、肯定的な感想をいただけると「あ、そっか。自分の発信した曲で、こんな感想を抱いていただけることもあるんだな」って素直になれたりしていたので。それと同じ感覚だと思います。

――そんなUruさんの様々な心の変遷を経て生み出された今回のアルバム。あらためてどんな仕上がりになったと感じていますか?

Uru:いろんな表情を持った曲が詰まった“お弁当箱”みたいなアルバムになった気がしますね。いろんな栄養を持った曲たちを入れることができたんじゃないかなって。

――うん、栄養価のバランスはすごくいいと思います(笑)。

Uru:ありがとうございます(笑)。

――先ほどお話に出た「あなたがいることで」をはじめ、「願い」「remember」など、今回も様々な作品とタイアップした曲がたくさん収められています。Uruさんがタイアップ曲を作る際にはどんなことを大事にされているのかをあらためて伺いたいです。

Uru:作品の世界観を壊さないこと、それが私の中に絶対条件としてあります。とは言え、映画やドラマ、アニメの制作に最初からかかわっているわけではないので、制作者の方々とイメージを完璧に共有することはけっこう難しいんですよね。なので、いただいたリクエストを軸としつつ、原作や脚本をじっくり読んで、その作品世界を自分の中に染みこませる作業をすごく大事にしています。私が作った曲を聴いたときに、その作品のことも一緒に思い出せるような一体感を作れたらいいなって。

――先ほど、自分の作りたいものと求められるものとのバランスが整ってきたというお話がありましたけど、タイアップ曲に関しても自らのやりたいこと、アーティスト性を曲に盛り込むことを意識することもありますか?

Uru:どんな場合であれ、自分のアーティスト性をしっかり表現できるようになりたいという憧れはありますけど、タイアップ曲に関しては、やっぱりその作品のストーリーに寄り添うことを第一に考えることにしています。

――今回のアルバムはその布石になるような内容だと思います。「え、こんな表情もあるんだ⁉」って確実に驚かされるはずですから。

Uru:曲調も歌詞も、いろいろな表情を持った楽曲を収録することができました。「頑な」という曲なんかは、今までの私にはなかった、聴いてくださる方の背中をポジティブに押せるような曲になっていますし。「space in the space」も、今までとはちょっと雰囲気の違う曲になりました。

――アルバム曲はどれも新鮮な表情が打ち出されたおもしろい仕上がりですよね。「頑な」のような、ある種の応援ソングが書けるようになったのはどうしてだったんでしょう?

Uru:これは以前、プロボクサーの和氣慎吾さんのドキュメンタリーをTVで見たことをきっかけに作った曲なんですよ。自分にないものをすべて持っている和氣さんの姿に感動して、たくさん泣いて、その感想を書くみたいな感じで一気に作ったんですよね。その当時は今と比べるとネガティブに過ごしていた時期だったので、自分の中ですごく感銘を受けたんです。

――この歌詞にはUruさんご自身の決意が込められているようにも感じました。

Uru:確かに自分も和氣さんのようになりたいって思っていたのかもしれないですね。この曲は作ってから少し時間が経っているので、今あらためてこの曲を聴くと、当時の悶々とした日々を思い出しながらも、あの頃よりは前を向けているなと思える部分もあって。過去を振り返る余裕がちょっとずつ出てきているような気もします。

――なりたいと思っていた自分に近づけているのかも。

Uru:そうかもしれないです。まだまだだとは思いますけど(笑)。

■「そのステージで、その瞬間に出せる歌の表現こそが実力」

――「space in the space」ですが、これはもうめちゃくちゃかっこいい曲ですね。

Uru:うれしいです! 以前にもご一緒したことのあるKan Sanoさんが、ものすごくかっこいいアレンジにしてくださいました。私が作ったデモをお渡しするときに、後ろで鳴っているフレーズや妖艶な雰囲気を活かしてくださいとお伝えしたんですけど、仕上がったものはそこにさらにいろいろな要素が組み合わさり、予想を超える仕上がりにしていただけて。初めて聴いた時は鳥肌が立ちました。

――妖艶という言葉が出ましたけど、Uruさんの中には明確なテーマがあったんですかね?

Uru:そうですね。生きづらい現実を忘れるように、同じ体質、属性を持った男女がふっと肩の力を抜いた瞬間を味わっている、そんなコンセプトで書きました。曲調も含め、こういう曲をずっと作ってみたかったんです。

――2人だけの世界で浮遊してる感じですよね。ちょっとセクシーな雰囲気もありつつ。

Uru:こういうテイストの曲を女性が書いて、女性が歌うことに対して、どう受け止められるのかなっていう思いも少しあったのですが、表現のひとつとして受け止っていただければいいかなと思います。

――ちょっと気だるさのあるボーカルが斬新でした。

Uru:現実から逃げ出したい2人が求めあう雰囲気を作りたくて。この歌は1人きりのスタジオで上も下も肌を露出して録ったんですよ(笑)。もちろん何も着ていないわけではないんですけど、肌を出す感じにして。この曲に合った声を出すにはどうすればいいんだろうってすごく考えたんですよね。で、やっぱりそういう環境に自分を置かないと出ない声があるんじゃないかなって思って。

――そんな空間で歌を録ることで、より楽曲にマッチした表情がナチュラルに引き出される部分もあるのかもしれないですよね。

Uru:普段も、自分の好きなように思い切り歌わせてもらってはいるんですけど、確かに自分1人しかいない空間だからこそ生まれるものはあるような気はしますね。1人遊びに近い感覚で、曲の世界観に合わせていろんな役柄になって歌えるというか。

――なるほど。今回、自分自身で録音した曲は他にもあります?

Uru:「marry」もそうですね。この曲は、なかなか上手くいかなかった2人がやっとゴールインしたっていうウェディングソングとして書きました。“僕”や“私”といった一人称を歌詞にあえて入れなかったので、男性にも女性にも、どちらにも自分の曲として受け取ってもらえたらなって。実際、幸せな状況にある人たちには、2人の真ん中にある曲として聴いてもらえたら嬉しいですね。この曲もShingo Suzukiさんに素敵なアレンジをしていただきました。

――「space in the space」と「marry」は雰囲気はまったく違えど、どちらも洋楽ライクなサウンドアプローチになっていますよね。Uruさんの歌声にもすごくマッチしているなと思いました。

Uru:洋楽っぽい雰囲気が個人的にはすごく好きなんですよ。普段、好んで聴いているのは「space in the space」のようなR&B系の曲だったりもするので。「marry」も含め、アルバムに自分の好きなタイプの曲を入れられたのは嬉しいですね。

――あと僕は7曲目の「Don’t be afraid」がすごく好きで。ここまで明るさ成分の出た歌声は初めてじゃないですか?

Uru:そうですね。Hidenoriさんからいただいた音源がもうとにかく楽しい雰囲気だったからウキウキしちゃって。飛び跳ねながら歌ったんです(笑)。声も張っているし、この曲にはウィスパーな要素がまったくないですからね。「あなたがいることで」とは対照的な歌声だと思うので、どんな感想をいただけるのかが楽しみです。

――こういう曲が出てくると、まだ開かれていないUruさんの引き出しの中身がより気になってきますよね。

Uru:こういったタイプの曲はまだまだありますからね。

――デビューから今年で丸4年。じっくりと土台を固めてきたUruさんだからこそ、いよいよ多彩な音楽性を見せられるタイミングに突入したということなんでしょうね。

Uru:ほんとにそうだと思います。葛藤していたデビュー当時に、バラード以外のいろんな楽曲を出していたら、今の自分はきっといなかっただろうし、この『オリオンブルー』というアルバムは形として成り立っていなかったんだろうなと。周りの方々にいい形で導いていただけていたんだなって、感謝の気持ちでいっぱいですね。

――アルバムの初回盤Bには、カバー曲をまとめたCDも同梱されますね。ここではUruさんの原点をしっかり感じることができます。

Uru:デビューしてからも、YouTubeが主な活動の場であった時ようにピアノと歌というシンプルなスタイルでカバーを続けさせていただいていることは本当にありがたいなと思いますね。今回、新たに歌わせていただいた曲の中だと、フジファブリックさんの「若者のすべて」は難しかったです。原曲の歌にものすごく世界観があるので、ビブラートをなるべく使わないようにしたんですけど、寄せすぎてしまうと単なるモノマネになってしまうので、そのバランスはいろいろと考えながら制作しました。

――竹内まりやさんの「カムフラージュ」も新録曲ですよね。

Uru:はい。この曲は歌詞の内容から声色を決めました。ドキドキハラハラするメロディでもあるので、言葉は合ってるかわからないですけど、女性の魔性の部分を表現しようという感覚で歌いました。男性曲も女性曲もそれぞれ違った向き合い方があるので、カバーをさせていただくことはすごく楽しいです。

――そして、アルバムリリース後にはライブも決定しています。今回は初めて東名阪3会場を巡るツアー形式での開催になるんですよね。

Uru:今までは年に1、2回しかライブをしてこなかったので、これだけ短期間に密集したライブは初めてで(笑)。ちょっとドキドキしてます。

――Uruさんの場合、ライブに向けてどうテンションを高めていくんですか?

Uru:自分のライブ映像をあらためて観ることで、そのときのことを鮮明に思い出すというか。そこで生まれたテンションのままライブに臨むようにはしています。今回はツアー形式なので、自分に期待してる部分もあるんです。最後の公演が終わった後、どんな感想を持てているのかなって。ライブに対してよりポジティブになって、さらに一段ステップを上がれていたらいいなっていう期待がありますね。

――ライブに対しての課題って何かありますか?

Uru:ライブは「失敗したからもう一回お願いします」みたいなことはできないじゃないですか。だから、そのステージで、その瞬間に出せる歌の表現こそが実力だと思うんです。そこをちゃんと育てていくことが引き続き課題ではありますね。全然まだまだではあるんですけど、最初のライブに比べたら少しはできるようになっている気はするので、そこをまた更新していければ。

――パフォーマンス面での変化はどうですか? ライブ中にあまり動かないタイプではあると思うのですが。

Uru:手で表情をつけたりということは自然とできるようになってきているんですけど、基本は今回もあまり動かないと思います。ただ、映像になったときに静止画みたいにならないようにはしなきゃいけないなとは思ってるんですけど(笑)。

――(笑)。でも、「Don’t be afraid」のレコーディングでは飛び跳ねて歌ったわけですよね。そういう姿がライブで見られるのを期待しています。

Uru:そうですね。確かに曲に没頭していると知らない間に動いていたりすることはあります。ただ、お客さんに見られているときにそれが出るのかどうか……自然な姿をお見せできるように頑張りたいと思います。(もりひでゆき)

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