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LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!

古き良き香港アクション映画の楽しさ満載! テンション爆上げな『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』

月2回連載

第60回

受け身のアクションが素晴らしい丞威さんのことを知ってほしい!

あけましておめでとうございます。2021年も埋もれちゃいけない作品をたくさん紹介していきますので、映画をたくさん観てみてくださいね。

まず1作目は、お正月早々に公開された『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』。長年、香港映画界でアクションコーディネーターを務めている谷垣健治さんが監督したアクションコメディです。

熱血漢の刑事ファーロンは、自分の結婚式の当日に銀行強盗犯に遭遇。カーチェイスを繰り広げ、その際に警察長官を轢き殺しそうに。そのせいで、彼はデスクワークに追いやられ、おまけに婚約者から婚約破棄されて自暴自棄。激太りしてしまいます。

『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』

そんなファーロンは、強盗事件の容疑者を日本に連行する仕事中、ヤクザの抗争に巻き込まれ、容疑者が失踪。日本の警察と協力して捜査を進めることに……。

『イップ・マン』シリーズや『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で超絶アクションを魅せたドニー・イェンが、太っちょメイクで挑んだことでも話題の作品です。

『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』

ドニーが最高なのは言うまでもありませんが、谷垣監督が描き出す世界観が古き良き香港アクション映画の楽しさそのものなんです。香港映画ファンをうならせるだけのクオリティがあるのはもちろんですが、このジャンルに興味が薄い人でも、これを観たらテンション爆上げ間違いなし。年の初めらしい、お祭り感がある作品ですよ。

『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』

観て欲しいポイントがもうひとつ。日本パートでヤクザの島倉を演じている丞威さん。『孤狼の血』などにも出演している丞威さんですが、いや、ホント私は大プッシュで。

実は彼は昔、私が審査員を務めたあるオーディションで知り合ったんですが、それからめちゃくちゃ頑張ったんですね。劇中でドニーから「ニコラス・ツェーに似てるな」って言われたりするんですが、たしかに!って思うんですよね。見た目がいいのはもちろんですが、アクションのキレが素晴らしくて、とにかくかっこいい。

ヤクザの島倉を演じている丞威(右)

特にアクションは、受け身をきちんと取れていることが、スタントマンか!ってくらいの技量で。受け身のアクションって本当に難しいんですよ。体幹がしっかりしている俳優じゃないとできないこと。

たとえばジェイソン・ステイサムみたいな、元アスリートレベルじゃないと。それができちゃっていて、存在感もあって、国際舞台に出るにふさわしい俳優に成長したってことが、私にはめちゃくちゃ響きました。みなさんにもぜひ、丞威さんのことを知ってもらいたい!

偏見や差別に負けず戦い続けてきた彼女たちの活躍に勇気づけられるはず!

もうひとつ紹介するのは、現在公開中の『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』。アクション映画には欠かせないスタントマンたちの中でも、女性で活躍するプロフェッショナルたちを追ったドキュメンタリーです。

ハリウッドの大作には欠かせないアクションシーンを支えるのは、俳優と背格好が近いスタントさんたち。もちろん女性の俳優のためのスタントさんも大勢います。実は1960年代から女性のスタントパフォーマーは活躍していますが、男性中心の業界だけにマイノリティ。そこで彼女たちは、地位や権利を守るべく戦い続けてきました。

『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』

その本音を、映画史に残る名作群に参加したスタントウーマンたちにインタビューするほか、日々の過酷なトレーニングや現場での彼女らの仕事ぶりを紹介しています。

危険なアクションシーンがスタントだってことは皆さんもご存知だとは思いますが、それが本当に命がけだということが分かるドキュメンタリー。『ワイルド・スピード』シリーズや『ワンダーウーマン1984』など、近年ヒットを飛ばしている女性キャラが超絶アクションを見せる作品の裏側を観られるというだけでも、話題性は十分ですが、その業界の問題点をも指摘している奥深い作品です。

『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』

かつては女性というだけで差別を受けたり、女性ということプラス肌の色が違うことで差別を受けたり。理不尽な偏見や差別にさらされてもなお、戦い続けてきた彼女たちの活躍には勇気づけられるはずです。

だって、昔は「女性がやる仕事じゃない」と男性社会の勝手な都合で、男性のスタントがカツラをつけて演じるなんてことがあったんですって。それってもう仕事の搾取ですからね。

『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』

また、スタントにもいろいろあって、たとえば背中から落ちるとか、ドライブテクニックとか、専門分野が細かくあって、それぞれにプロがいることって、あまり知られていないことでは? 

『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』

それぞれの専門分野で活躍する彼女たちの姿や、惜しまれつつ命を落とした同業者について涙ながらに語る彼女たちを見ていると、リアルな人間性に胸が熱くなります。こういう作品こそ、気分の沈むコロナ禍にピッタリじゃないかと思うんですよね。

※次回は1月29日(金)に更新予定です!

取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己
(C)2020 MEGA-vISION PROJECT WORKSHOP LIM
(C)STUNTWOMEN THE DOCUMENTARY LLC 2020

プロフィール

LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。

夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が、2019年9月に講談社より発売された。

『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』

講談社 1400円(税別)
発売中

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