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LiLiCoのこの映画、埋もらせちゃダメ!

つまづいた女性の背中を押してくれる『82年生まれ、キム・ジヨン』

月2回連載

第54回

20/10/9(金)

仕事とプライベート、どちらかがストレスになるのはおかしなこと

今回も埋もれちゃダメな作品を2作品紹介します。まずは『82年生まれ、キム・ジヨン』。日本でもベストセラーとなった同名原作を映画化した韓国映画です。

結婚をきっかけに、それまでのキャリアを捨てて家庭に入り、主婦となったキム・ジヨンは、やさしい夫デヒョンと子供とともに幸せな生活を送っていた……はずだったのですが、ちょっとずつ歯車が狂い始めます。育児と家事に追われ、母として、妻として生きている毎日に、どこか囚われているような感覚を覚えるようになるんです。

『82年生まれ、キム・ジヨン』

それも疲れているだけ、と割り切っていた彼女ですが、ある日を境におかしなことが彼女に起き始めます。それは、普段は和やかでやさしいジヨンが、突然他人が乗り移ったかのようにキャラ変してしまうこと。しかも、彼女はその間の記憶がスッポリと抜け落ちているため、自分がどういうことを言ったのかも覚えていません。その変化に驚いた夫のデヒョンは、彼女になにがあったかを伝えて傷つくのを恐れて、ひとり精神科医に相談に行きます。でも、医者は本人がいないことには話にならない、と告げられてしまい……。

『82年生まれ、キム・ジヨン』

平凡に結婚生活を送っているはずが“女性だから家庭に入る”という古い概念によって心のバランスを崩してしまった女性の物語です。いや、これは韓国だけじゃなく、日本の女性は絶対に共感することが多いはず。

私の故郷スウェーデンでは、結婚している女性でも外で働くのは当たり前のことですし、仕事のキャリアと家庭の両方をエンジョイするものです。でも、日本ってそうじゃないことがありますよね。なぜか結婚したら“寿退社”みたいなイメージがあったり。もちろん、それを望んでいる方はどうぞどうぞ、なんですけど、ジヨンのように周囲からの圧に屈して、自分のやりたいことをあきらめるというのはいかがなものか。

『82年生まれ、キム・ジヨン』

特にジヨンは、会社を辞める前、とても重要なポストに就いていたことから、専業主婦になったことで「社会から取り残された」という疎外感を味わうのも理解できます。仕事とプライベートはどちらもエンジョイするものですし、どちらかがストレスになるというのはおかしなこと。令和の今、そこに気づくべきですし、親戚や親がなんと言おうと自分の人生は自分の人生ですからね。

『82年生まれ、キム・ジヨン』

なにかにつまづいている感覚をもっている女性がこの作品を観たら、きっと背中を押してくれたような気分になれると思います。

自分の頭で考えて行動することの大切さ。コロナ禍の今、ぜひ観たい作品

さてもうひと作品は、スウェーデンの作家ルーネル・ヨンソンの児童文学“小さなバイキング”シリーズをアニメーション化した『小さなバイキング ビッケ』です。ビッケというと、ある一定年齢より上の方はTVアニメでおなじみのキャラクターではないでしょうか。

バイキングの族長の息子ビッケは、力持ちで大柄体育会系のパパとは正反対に、小柄な頭脳派。知恵くらべでは誰にも負けません。ある日、魔法の剣の力で、ママが黄金に変身させられてしまいます。そこで、パパは魔法の剣の秘密を探しに。一方、ビッケもその船に侵入し、ついていくことに成功、やがて謎の島にたどりつくのですが……。

『小さなバイキング ビッケ』

故郷の原作ですが、私はビッケを知らなくて(笑)。日本に来てからよく「スウェーデン出身だからビッケ」と言われていたんですが、ピンとこなかったんですよね。実はマイナーなんです、スウェーデンでビッケって。来日して30数年、ようやくスクリーンで出会えましたよ、ビッケ(笑)。

『小さなバイキング ビッケ』

観て分かったんですが、日本でビッケが人気だったのは納得。キャラクターがとてもカワイイし、教訓の多い作品なんですね。しかもこの作品は、コロナ禍の今、観るべき作品でした。

というのも、こういう時期にこそ大事なことが描かれているから。ビッケはとても賢く、なんでも自分の考えで行動します。もちろん失敗もしますが、失敗してこそ学ぶこともあるんじゃないでしょうか。

『小さなバイキング ビッケ』

先生に教えられたことをそのまま正しいと思い込んでコピーするのではなく、自分の頭でちゃんと考える。これ、コロナ禍でできなかった人多いんじゃないでしょうか。困難に立ち向かう力というのは、経験からしか学び取ることができません。そういうことを、分かりやすく描いているのがこの作品です。

『小さなバイキング ビッケ』

同じくスウェーデンの“ロッタちゃん”シリーズもそうなんですが、観ているうちに自然と学ぶことができる作品は、子供だけでなく大人にも観てもらいたいですね。

※次回は10月23日(金)に更新予定です!

取材・文:よしひろまさみち/撮影:源賀津己
(C) 2019 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
(C)2019 Studio 100 Animation - Studio 100 Media GmbH - Belvision

プロフィール

LiLiCo
1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。

夫である純烈の小田井涼平との夫婦生活から、スウェーデンで挙げた結婚式の模様、式のために2カ月で9kgに成功したダイエット術、スウェーデン育ちならではのライフスタイルまで、LiLiCoのすべてを詰め込んだ最新著書『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』が、2019年9月に講談社より発売された。

『遅咲きも晩婚もHappyに変えて 北欧マインドの暮らし』

講談社 1400円(税別)
発売中

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