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“絶対、絶対、絶対、絶対、あきらめない!”井上芳雄「十二番目の天使」開幕

ナタリー

19/3/17(日) 16:39

「十二番目の天使」ゲネプロより。(写真提供:東宝演劇部)

井上芳雄が主演を務める「十二番目の天使」が、昨日3月16日に東京・シアタークリエで開幕した。ステージナタリーでは、3月15日夜に実施されたゲネプロの様子をレポートする。

本作はオグ・マンディーノによるベストセラー小説「十二番目の天使」を、笹部博司の台本、鵜山仁の演出で舞台化する作品。ビジネスで大成功を収めて故郷に戻ったジョン(井上)だったが、彼は幸せの絶頂で妻子を交通事故により失う。絶望したジョンが自ら人生の幕を下ろそうとしたとき、彼は家を訪ねてきた幼馴染のビルから、少年野球チーム・エンジェルスの監督を頼まれる。監督を引き受けたジョンは、運動が得意ではない小柄な少年ティモシーと出会い……。

開演すると、オルゴールアレンジされた「Take Me Out to the Ball Game(私を野球に連れてって)」のBGMが観客を物語の世界へと誘う。本作では、街並みのシルエットがかたどられた青空模様のパネルを背景に、ストーリーが展開。舞台中央の回転装置には小さな野球場が設けられており、登場人物はその中で野球の練習や試合を行う。出演者が実況を行う試合の場面では、選手がバットを振る映像を交えつつ、展開に応じてスコアボードに得点が表示され、臨場感たっぷりに舞台が進行した。

膨大な量のセリフを操る井上は、亡くなった父母や妻の面影と語らうジョンが、亡き息子リックによく似たティモシーと関わる中で、少しずつ生きる希望を取り戻していく様を熱く演じる。ティモシーを女手ひとつで育てる母ペギーと、ジョンの亡き妻サリーの2役を演じ分ける栗山千明は、柔らかな笑顔を浮かべてティモシーやジョンを見守った。なお3月15日夜のゲネプロでは、ティモシー / リック役を溝口元太が担当。溝口は天真爛漫な笑顔で観客を魅了し、とある秘密を抱えながらも「絶対、絶対、絶対、絶対、あきらめない!」を合言葉に、試合や練習に懸命に励むティモシーを好演した。

上演に際し井上は、「悲しみの中にいる人をとても具体的に励ます、希望の物語だと思います。全国もまわりますし、素晴らしいキャストとスタッフのみんなで心を込めて作りましたので、大事な人や、家族に会いにくるようなつもりで観に来ていただけたら嬉しいです」とコメント。栗山も「大切なメッセージが入っている作品だからこその重み・見ごたえを、それぞれの出演者のお芝居の中できちんと伝えられる舞台になっていると思います」とメッセージを送っている。

本作の出演者には井上、栗山のほか、ビル役の六角精児、ローズ / ジョンの母役の木野花、メッセンジャー医師 / ジョンの父役の辻萬長、溝口とWキャストでティモシー / リックを演じる大西統眞、Wキャストでトッドを演じる城野立樹と吉田陽登が名を連ねた。上演時間は休憩20分を含む約2時間20分。シアタークリエ公演は4月4日まで行われ、そのあと本作は新潟、石川、茨城、香川、福岡、福井、愛知、兵庫を巡演する。

井上芳雄コメント

世界初演なのですが、鵜山さんの演出のもと、静かに着々と立ち上がってきて、とても自然に今の段階にたどり着いた感じがしています。
他に類を見ない演劇のスタイルと言っていいと思うので、きっとお客様の反応がプラスになる作品です。早くお客さんと一緒にこの物語を共有したいという気持ちです。

とにかく台詞の量が多いのが大変でした! 絶望の中にいる時間が長い役ですが、でも不思議と、一度はじまってみると自然に台詞が流れるようになってきたし、今は台詞も入っているので苦しい時間は過ぎ去ったと思います(笑)。いつも誰かが笑っている現場です。年齢の幅が広いカンパニーだけど少人数なので、つかず離れずいい距離感でやれている。
心地よく、ストレスなくやらせてもらってます(笑)。

悲しみの中にいる人をとても具体的に励ます、希望の物語だと思います。全国もまわりますし、素晴らしいキャストとスタッフのみんなで心を込めて作りましたので、大事な人や、家族に会いにくるようなつもりで観に来ていただけたら嬉しいです。

栗山千明コメント

いよいよ初日ですが、もう少し稽古したいくらいです(笑)。
稽古場では毎日毎日課題が見えてきていたので、ひとつひとつクリアしてから、明日の初日を迎えたいと思います。
劇中では一人だけで舞台に立って語るシーンがあるのですが、野球の試合を一人で実況中継をするので、ひとつひとつの言葉の意味を勉強しながらやっています。完全に一人のシーンで誰にも助けてもらえないのでプレッシャーです。

少し悲しい話ではあるのですが、ティモシーの「あきらめない」「毎日良くなっている」という言葉を持って、お客様にも前向きなあたたかい気持ちで帰っていただけるはずです。
大切なメッセージが入っている作品だからこその重み・見ごたえを、それぞれの出演者のお芝居の中できちんと伝えられる舞台になっていると思います。ぜひ劇場へお越しください!

「十二番目の天使」

2019年3月16日(土)~4月4日(木)
東京都 シアタークリエ

2019年4月6日(土)・7日(日)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場

2019年4月9日(火)・10日(水)
石川県 北國新聞赤羽ホール

2019年4月13日(土)・14日(日)
茨城県 水戸芸術館 ACM劇場

2019年4月17日(水)
香川県 レクザムホール(香川県県民ホール)大ホール

2019年4月19日(金)
福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール

2019年4月21日(日)
福井県 越前市文化センター 大ホール

2019年4月24日(水)
愛知県 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

2019年4月26日(水)~29日(月・祝)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

原作:オグ・マンディーノ
翻訳:坂本貢一(求龍堂「十二番目の天使」)
台本:笹部博司
演出:鵜山仁
出演:井上芳雄、栗山千明 / 六角精児、木野花、辻萬長 / 大西統眞(Wキャスト)、溝口元太(Wキャスト) / 城野立樹(Wキャスト)、吉田陽登(Wキャスト)

※辻萬長の「辻」は一点しんにょうが正式表記。

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