峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら
芦沢のセックスはたぶん通りいっぺんでくだらない
毎週連載
第123回
本当にどうだっていい話ですが、うちの芦沢(マネージャー)は去年末に彼女ができたそうです。今はラブラブなんだそうですが、もし、芦沢とその彼女の会話を聞いたらたぶん僕は芦沢をブン殴ってしまうかもしれません。たぶんしょうもない話をしてイチャイチャしてるんだと思うし、その、あまりにも面白くない会話をきっかけに、芦沢をクビにしてしまう自信もあります。
これは想像だけど、芦沢はたぶんその彼女と通りいっぺんのセックスしかしていないと思う。キスから始まり、服を脱がせ、ブラジャーを剥がしてオッパイを吸う。クンニが先かフェラチオが先かは、鶏が先か卵が先かと同じでどうだったいいのですが、そういうAVで教わったような、まぁ通りいっぺんのしょうもないセックスしかしないんだと思います。
そういう慌ただしいだけの、くだらないセックスしかできない芦沢にはポリネシアン・セックスの真髄を学んで欲しいと僕は思っていて。ポリネシアン・セックスっていうのは知っている人は知っていると思うけど、説明すると、こんな感じです。
●1日目……カップルでイチャイチャする。でも入れない
●2日目……飯食ってるときだろうがなんだろうが、体を触れ合わせる。でも入れない
●3日目……寝るときも体を触れ合わせる。でも入れない
●4日目……もう我慢の限界だと思っても体を触れ合わせるだけ。入れない
●5日目……おかしくなりそうだけど、やっぱり入れない
●6日目……まだまだ入れない
●7日目……やっと挿入
とんでもないことですよ、これは。7日間もかけて前戯をしているようなもので、ようやく7日目に挿れた瞬間もういきなりオーガズムだそうです。
究極のセックスは入れもしない「添い寝」っていう説もあるけど、こういう奥ゆかしい感覚は、芦沢のような軽い人間には持ち合わせていないと思う。学んで欲しいと思うけど、できるかどうかは怪しいですね。
ただね、「添い寝」ってことで言うと、最近は添い寝風俗とかもあるみたいだし、「ソフレ(添い寝だけをする男女)」「キスフレ(キスだけをする男女)」みたいな関係もあるみたいだけど、これは歪んでると思う。本来、パートナーとそういうことをやるべきなのに、それができない。セックスでも添い寝でもいいけどさ、自分でアレコレ考え労力を使って、そこに至るべきなのに自分で開拓できない人が、安易にそういうお店に行ったり、関係を作ってやっているというのも情けないですね。
キャバクラとかもそうだよ。本当は普通の生活の中でさ、身近にいる女の人と話ができるんであれば、わざわざ行かなくて良いでしょ。でも、そうやって身近で話をできる女の人を見つけることができないからああいうお店に行くっていう。「決められたルールがあるから、安心して話ができる」とかさ、本当に嘆かわしいことですね、これは。
僕? まぁ、僕も風俗は嫌いではないんですけどね。ただ絶対に自信があるのは芦沢みたいな軽率な人間よりはずっと優れているし、性の奥ゆかしさを100万倍は知っているということ。本当にイヤな気分になるんだよね、芦沢と彼女の日常を想像すると(笑)。
構成・文:松田義人(deco)
プロフィール
峯田 和伸
1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。