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大島幸久 このお芝居がよかった! myマンスリー・ベスト

1月のベストは『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』、そしてふたりの「剛」さんに主演男優特別賞!

毎月連載

第15回

20/1/31(金)

ミュージカル『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』チラシ

1月に観たお芝居myベスト5

① ミュージカル『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』 シアタークリエ(1/22)
② ミュージカル『フランケンシュタイン』 日生劇場 (1/9・10)
③ 『デスノート THE MUSICAL』 東京建物ブリリアホール(1/23)
④ 『黄昏』 紀伊國屋ホール(1/18)
⑤ 『かげぜん』 紀伊國屋ホール(1/22)

*日付は観劇日。1/2〜29 までに観た30公演から選出。

ミュージカル『シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ』より、左から咲妃みゆ 井上芳雄 写真提供/東宝演劇部

いよいよ東京オリンピック、パラリンピックが開催される令和2年(2020)の1月正月公演。ミュージカル、それも再演ミュージカルが光った。五輪はスポーツと文化が両輪。本年は演劇分野で世界に誇れる上演を期待したいものだ。

ミュージカル『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』は1988年に音楽座によって初演されて以来、磨き抜かれて上演してきた創作ミュージカルの傑作のひとつに間違いない。一新された座組み、小林香の新演出。翻訳ミュージカルの洪水の中、埋もれることなく今回も色褪せない。

作曲家への夢を追う悠介を演じた井上芳雄が若々しい青年を違和感なく映えていた。大阪からきたスリの少女・佳代の咲妃みゆとの遊園地での出会い、養父・源兵衛を殺した佳代を守る必死さ。ふたりが歌う「ドリーム」が心に染みる。異星人の土居裕子、畠中洋ら、また濱田めぐみ、吉野圭吾といった実力派が脇を固め、音楽座とは違った色合い、高いレベルの創作ミュージカルの力を見せつけた。

ミュージカル『フランケンシュタイン』より、加藤和樹(写真左・中央) 中川晃教(写真右) 写真提供/東宝演劇部
ミュージカル『フランケンシュタイン』より、左から小西遼生 柿澤勇人 写真提供/東宝演劇部

『フランケンシュタイン』は科学者フランケンシュタインを演じたダブルキャストの中川晃教、柿澤勇人ともに観た。不老不死、生命(人命)の再生は古今、人類の悲願だろう。しかし、人は必ず死ぬ。それは全てに平等に訪れる。避けて通れはしない。フランケンシュタインの無謀な挑戦、実験はある意味では応援したくもなる。一方でそれは神への反抗ともいえる。主演ふたり、また怪物のダブル、加藤和樹、小西遼生を観て、このミュージカルは魅力的であるが、虚しい心境にもさせる。柿澤が知的で、中川は闘争的だった。再演によって、ダブルキャストの演技の比較、対照化が出来た。フランケンシュタインの多面性を感じたのも収穫だった。

『デスノート THE MUSICAL』より、左から村井良 髙橋颯 横田栄司 撮影:田中亜紀 (C)大場つぐみ・小畑健/集英社

『デスノート THE MUSICAL』は東京では三演目。“正義”という哲学、信念とは何かは置くとして、殺人者らをどう裁くかは死刑制度の是非を考えても興味深い主題だ。

『黄昏』より、左から高橋惠子 石田圭祐 撮影:田中亜紀

『黄昏』は夫ノーマンに予定された村井國夫が休演し、石井圭祐に代わって妻エセル・高橋惠子とのコンビになった。忍び寄る老いへの不安、ユーモアとウィット。ウェルメイドの戯曲が心を温める。

『かげぜん』より、左から相楽伊織 桜岡あつこ 上遠野太洸 斉藤とも子  撮影:二石トモキ

『かげぜん』。盲目の未亡人みつを演じた斉藤とも子は一人住まいに寂しさ、疑いを持つにせの孫へのほのかな愛情も浮きだした。ほのぼのとした家庭劇になった。

★この人に注目!★

『アルトゥロ・ウイの興隆』より、草彅剛 撮影:細野晋司

15日に観たKAAT神奈川芸術劇場『アルトゥロ・ウイの興隆』の草彅剛、16日に観た東京芸術劇場プレイハウス『FORTUNE(フォーチュン)』の森田剛というアイドル系スタートの俳優ふたり。草彅の役はギャングのボス・アルトゥロ。ヒトラーに置き換え、のし上がっていく男を時に股間に手を置き、腰を揺らせて歌う。また客席を走り回り、舞台で転がり回転し、怒鳴る。耳が痛くなる轟音の声や音楽が目に余るが、凄味の出た演技だ。森田は主人公の映画監督フォーチュン。悪魔と契約したファウストに置き換えた役。通りの良い声、台詞回しに魅力がある。タイトルロールを演じた「剛」さんふたりは悪の華が似合う。すっかり舞台俳優だ。主演男優特別賞としたい。

プロフィール

大島幸久(おおしま・ゆきひさ)

東京都生まれ。団塊の世代。演劇ジャーナリスト。スポーツ報知で演劇を長く取材。現代演劇、新劇、宝塚歌劇、ミュージカル、歌舞伎、日本舞踊。何でも見ます。著書には「名優の食卓」(演劇出版社)など。鶴屋南北戯曲賞、芸術祭などの選考委員を歴任。「毎日が劇場通い」という。

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