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浪曲師・玉川奈々福が「野田版 研辰の討たれ」の魅力を語る

ナタリー

21/5/10(月) 12:00

玉川奈々福(撮影:塚田史香)

「野田版 研辰の討たれ」を浪曲化した演目を6月に上演する、浪曲師・玉川奈々福の取材が、過日東京都内にて行われた。

奈々福は6月25日から29日に東京・ユーロライブで行われる「第3回浪曲映画祭─情念の美学2021」にて、27日に開催される「浪曲の未来──江戸の若き俊才たち」の中で浪曲「研辰の討たれ」を披露する。浪曲「研辰の討たれ」誕生のきっかけとなった「野田版 研辰の討たれ」のシネマ歌舞伎版が、5月14日から全国の映画館で上映されることを受け、奈々福は作品への思いを語った。

2005年に歌舞伎座にて「野田版 研辰の討たれ」を観た印象を、奈々福は「震えるほど面白かったです」と表現。「歌舞伎というと『仮名手本忠臣蔵』など、忠義に身を捧げる人を 描く作品が多いですが、この舞台の主人公・研辰はその精神を頭から否定します。建前ではなく本音で生きていると感じました。結局は当事者として仇討ちに巻き込まれ、翻弄されていくわけですが……こういう本音で生きる人を浪曲で描きたい!とすぐに思いました」と浪曲化への経緯を語る。

浪曲化に当たっては「とりかかるまでにとにかく時間がかかりました、あんまり好きすぎて(笑)」と笑顔を見せつつ、「シネマ歌舞伎の映像を何度も何度も拝見しました。舞台を観ていても感じたことですが、勘三郎丈の辰次はとにかく愛嬌があふれていて、演じるというよりもその役を生きているという風に見えました。シネマ歌舞伎で観ると、勘三郎丈が大汗をかいてるのがわかるので、さらにそう感じます。歌舞伎俳優は日本の宝ですし、勘三郎丈は演劇の神様のような方です。辰次を演じるのは恐れ多いですが、『やらなきゃきっと後悔する!』と思い切って浪曲にし、勘三郎丈七回忌の2018年に初めて上演しました」と創作を振り返った。

最後に6月の上演に向けて奈々福は、「野田秀樹さんの演出は素晴らしく、大仕掛けのからくりなど、お客さまをワクワクさせるような歌舞伎の舞台ならではの楽しさがあります。しかし浪曲は語り芸ですので、全部を再現するわけにはいかない。その代わり、浪曲ならではの挑戦をしました」と見どころを語った。

シネマ歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」は5月14日から20日まで全国の映画館で上映される。

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