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フジテレビ「音組」の制作力 FNS歌謡祭に結実した「コラボ」と「生重視」の歴史とは

リアルサウンド

13/12/6(金) 18:32

 瞬間最高視聴率23.4%、平均視聴率18.8%という驚異的な数字を叩き出した今年のFNS歌謡祭。華原朋美と小室哲哉の15年ぶりとなる共演をはじめとするミュージシャン同士の豪華コラボレーションが大きな話題を呼んだ。この番組を制作したのはフジテレビバラエティ制作センターの音楽番組制作チーム、通称「音組」。現在のFNS歌謡祭のスタイルには、これまで数多の音楽番組を手がけてきた「音組」の歴史をみることができる。

「音組」を率いるのはきくち伸ジェネラルプロデューサー。『夜のヒットスタジオ』でキャリアをスタートしたきくち氏は『オールナイトフジ』のディレクターや『MJ-MUSIC JOURNAL-』のアシスタントプロデューサーなどを経て、1994年に『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』を立ち上げ。ダウンタウンというお笑いの第一線で活躍する二人を司会に据えたトーク中心の番組構成は当時のテレビ界で画期的な発明品となり、『HEY!HEY!HEY!』を模倣したスタイルの音楽番組が続出することになった。今振り返ってみると「ミュージシャン」と「お笑い」という異色のコラボレーションを成功させたことが、後に「音組」の制作する番組-コラボレーションの妙を売りにした番組作りの礎となっていると考えられる。

 1996年にはKinKi Kidsを迎え『LOVE LOVEあいしてる』をスタート。吉田拓郎や篠原ともえ、坂崎幸之助、ブラザー・トムという出演者の顔ぶれも話題となったが、この番組の目玉は何といってもハウスバンドによる生演奏ライブ。当て振りの音楽番組が全盛のなか、一流ミュージシャンを揃えた『LOVE LOVE ALL STARS』によるライブは音楽ファンの注目を集めた。この番組でハウスバンドの中心担ったのが作曲家・音楽監督である武部聡志氏。武部氏はその後も「音組」が手がける音楽番組の舞台監督を手がけるようになり、「音組」のキーマンとして活躍するようになる。

『HEY!HEY!HEY!』におけるコラボレーションと『LOVE LOVEあいしてる』の生演奏、この2つを抽出し純粋な音楽番組へと昇華させたのが現在も続く人気番組『僕らの音楽』だ。MUSICMAN-NETでのインタビューによると、きくち氏はこの番組を制作するにあたってまず「お笑いじゃない音楽番組を作ろう」と考えたという。きくち氏はこう語る。「きっと『HEY!HEY!HEY! 』や『うたばん』みたいな形のほうがテレビとしては間違ってないんです。その中で私は『僕らの音楽』であえて間違ったことをやっている」。また 生演奏によるパフォーマンスにもこだわった。「夜のヒットスタジオという生演奏が当たり前の現場をやっていたので、生演奏に対する執拗なこだわりが自分の中にはあるのかもしれない」。世代やジャンルをまたいだ様々なミュージシャンによるコラボレーション、そして武部聡志氏を監督においた生演奏によるライブ。これらはFNS歌謡祭にも引き継がれることになる。「 今の『FNS歌謡祭』の母体は完全に『僕らの音楽』」ときくち氏本人が語るように、同番組にはこれまで「音組」が制作してきた音楽番組のエッセンスが凝縮されていたのだ。

「音楽番組は数字がとれない」という常識を打ち破るように毎年高視聴率をとるFNS歌謡祭、そして「音組」の取り組みは業界の大きな励みとなるだろう。きくち氏は今後の番組制作にも意欲をみせている。「視聴者に対していっぱい出会いを作る。いろいろなものが観れるように、これからもどんどん番組を作っていきたいなって思います」。
(文=北濱信哉)

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