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矢追純一、スタンリー・キューブリックとの思い出を語る 「愛想のよいいい人」

リアルサウンド

19/10/24(木) 21:43

 スタンリー・キューブリック没後20年特別企画として公開されるドキュメンタリー映画『キューブリックに魅せられた男』の試写会が10月24日に都内で開催され、上映前のトークイベントに、キューブリックにインタビューした経験を持つ矢追純一とキューブリック研究の第一人者として知られる内山一樹が登壇した。

参考:スタンリー・キューブリック生前の姿が 没後20年企画ドキュメンタリー2作品の予告編公開

 キューブリックの『バリー・リンドン』に俳優として出演し、キューブリックに魅了され、彼の専属アシスタントとなったレオン・ヴィターリにスポットを当てた本作。日本テレビのディレクターとして人気深夜番組『11PM』『木曜スペシャル』などを担当し、UFO及び超能力番組のディレクターとして活躍した矢追は、「なかなかの力作で、よくここまでキューブリックに執着して作ったなと感心しました」と本作の感想を語る。

 1980年にロンドンでキューブリックへの電話インタビューした経験を持つ矢追。その経緯について、「『木曜スペシャル』で、“火星移住計画”についての番組をやるためにロンドンに行ったんですけど、そこで『キューブリックが珍しくスタジオにいるらしいよ』と聞いて、電話したら『忙しくて会えないけど、電話でなら』ということで。キューブリックは“ついで”でした(笑)」と驚きの事実を明かす。さらに、キューブリックの娘の案内でスタジオの見学をしたそうで、「途中でスタジオの中でキューブリックにすれ違って、『今日はダメでごめんね』と言われました。わりと小っちゃい人で、ヒゲだらけで、(監督ではなく)照明の技師さんかな?という感じの愛想のよいいい人でした」と振り返る。

 内山は、矢追の訪英の時期が1980年の10月だった点に着目。「『シャイニング』の公開がアメリカでは5月で、日本は12月だったので、(日本公開の直前に訪れた)日本のスタッフが歓迎されたのではないか?」と推測する。中学生だった51年前(1968年)に『2001年宇宙の旅』を観て以来、キューブリックのファンだという内山だが、日本公開時について「当時は(同年公開の)『猿の惑星』の方が評判でしたが、その年の洋画の興収で4位なので、コケたわけではない。1978年に世界的なリバイバルで大ヒットした」と述懐。矢追は「当時の人は(映画の内容を)よくわかっていなかったんだと思う」と語り、内山も「よくわかんないからこそ、何度も観たんでしょうね」と頷いた。

 矢追は『2001年宇宙の旅』について、「宇宙映画の金字塔。傑作であり、いまでもあれ以上の宇宙映画は出てきていない」と称賛。一方で「最近のSF映画は安っぽくて大嫌い! SFということは、現実的でないものを出そうとしているはずなのに、現実が丸見えでセットもペラペラですぐにバレる」とバッサリ。内山が「UFOが出てくる映画は?」と尋ねると、これにも「大嫌いです」と即答し、会場は爆笑に包まれた。

 さらに矢追は、「僕が命がけでUFOや宇宙人を追いかけていたと思っている人が多いけど、本当は全然関心がない! 宇宙人がいようがいまいが関係ないし、興味もない」とまさかの告白。日本テレビに入社し、紆余曲折を経て深夜番組のはしりと言われる『11PM』を担当することになり、プロデューサーから「何でも好きなことをやれ」と言われたそうで、「当時、街を見ていると日本人はみんな、余裕がなくて一点を見据えて急ぎ足で歩いてた。これじゃあ煮詰まっちゃうので『たまには立ち止まって空を見ろよ!』という番組を作ろうと思いました。本屋で空飛ぶ円盤の本が目に留まって、立ち読みしたら『宇宙人がUFOに乗ってやってきている』と書いてあって『これだ』と思ったんです」と明かし、「そんな僕に、キューブリックさんへの愛情が博士のようにあるのか…(笑)?」とユーモアたっぷりに語り、会場は笑いと驚きに包まれていた。

 内山は、キューブリックの逝去から20年が経とうとしていることに「もう、あれから20年かという感じですね」としみじみ。今回、特別企画としてカップリング上映されるドキュメンタリー『キューブリックに愛された男』についても触れつつ、「これらの作品はドキュメンタリーですが、キューブリックの長編は13本しかないですし、短編もYouTubeでも見れますので、このドキュメンタリーを機にキューブリックの“本編”にまでぜひ進んでいただければ」と呼びかけ、トークは幕を閉じた。(リアルサウンド編集部)

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