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fhánaが挑んだ“新たな価値”を生み出す場所作り Gothic×Luck、androp迎えた初主催イベント

リアルサウンド

19/8/14(水) 18:00

 fhánaにとって、初の主催・企画を務めたイベント『“Sound of Scene #01” curated by fhána』の第1回目が、7月16日に渋谷・TSUTAYA O-EASTにて開催された。

 このイベントは、以前にリーダーの佐藤純一がブログに「自分たちのタイミングで、リリースなどは関係なくシンプルに自分たちがやりたいからライブをする。そして、curated by fhánaと付く通り、ジャンルやシーン関係なく、好きなアーティストを呼んで、新しい価値を生み出したい」と記していたように、これまでのレーベル主導のものではなく、自分たちがゼロから作り上げていく試みでもあった(参考:fhánaオフィシャルブログ)。

 そんな新たなチャレンジの幕開けを“オープニングアクト”という形で飾ったのは、八木ましろと菅まどかによる声優ユニット・Gothic×Luck。新ユニットオーディションを勝ち抜いてデビューし、佐藤が作編曲(fhána楽曲でおなじみ林英樹が作詞)を手がけたTVアニメ『けものフレンズ2』後期エンディングテーマ「きみは帰る場所」を歌唱した縁で、今回出演することとなったようだ。

 2人のライブは、同アニメの前期エンディングテーマであり、じんが楽曲を手がけた「星をつなげて」からスタート。同期のサウンドに加え、佐藤とandropの前田恭介が生演奏でサポートする編成で届けられた。佐藤が「前田くんはGothic×Luckでもandropでもfhánaでもベースを弾く。前田フェスなんじゃないかっていう」と語ったように、この日の前田は3アーティストすべてのライブに参加した。

 2曲目は佐藤が編曲(RIRIKOが作詞作曲)を手がけたスパニッシュ歌謡「月と太陽」。2人は最初こそ緊張する場面も見られたが、土臭さとお洒落なコード感が同居するこの曲は、振付・歌ともに楽曲の世界観を体現しているようだった。その後、佐藤は「アニメのエンディング(「きみは帰る場所」)と同時にこの曲を作っていて、初めてのレコーディングにも立ち会った2人なので、僕も感無量です」と話す。fhánaでステージに上がったときとは違い、心なしか表情を緩めて”お兄さん”的な振る舞いをする佐藤の姿は新鮮だった。

 さらに佐藤は「(「きみは帰る場所」の)作詞は林くんに依頼して、『この先何が起きるか不確かだけど頑張ろう』という泣けるものにできた。レコーディングのとき、Dメロの部分で八木さんが急に黙り込んで、どうしたんだろうと思ったら『ここの歌詞が……』って感情移入してもらっていたみたいで。聴くとその時のエピソードを思い出んですよ。こうやって気持ちを込めて歌ってくれるアーティストの2人に歌ってもらえて幸せです」と楽曲制作時の裏側を明かし、「きみは帰る場所」を披露。fhána(佐藤)らしさのある構成・転調でありつつ、ハウスを取り入れたリズムアプローチが新鮮なこの曲で、2人はステージを後にした。

 続いてはandrop。先ほどもステージに上がったBassの前田はfhánaのレコーディングや佐藤の作家仕事に参加するなど、デビュー前から付き合いのある盟友といえる存在だ。彼らはイーブンキックとサビのシンガロングで会場を一体にした「Voice」、おなじみのストロボとハンドクラップから始まるキラーチューン「Mirror Dance」でスタートし、そこからアーバンなコードワークとメロディが艶やかな「Blue Nude」「Saturday Night Apollo」と4曲でバンドの持つ二面性を見せ、前半を終えた。

 MCで前田が「やっぱandropって安心感あるね」と話して観客を笑わせると、内澤崇仁は「前田さんが架け橋になってくれたおかげ。音楽が好きでバンドをやって、ここまでこれたからfhánaに出会えて。音楽やっててよかったと思うし、今後も聴く人にとっての心の拠り所、あったかいものになれれば」と語り「Hikari」を披露した。

 また、内澤は「今日は『Sound of Scene』、つまり『SOS』ってことで。ぴったりな曲を用意しました」とソロプレイを交えてグルーヴィーな「SOS!」、「Prism」を演奏。さらに内澤が「新曲を持ってきました」と話し、聞き覚えのあるイントロが演奏された。なんと、fhánaの代表曲でもある「青空のラプソディ」をandropバージョンでカバーするという、観客大熱狂のサプライズだ。その勢いのまま、andropを代表曲する夏ソング「Yeah! Yeah! Yeah!」へ一気に駆け抜けた。

 内澤はこの日のフロアの盛り上がりに「すごいね、ありがとうございます。次はもっと楽しいんだろうなあ」と語り、ラストはストレートなバラード「Koi」を歌い上げて、ラストのfhánaへとバトンを繋いだ。

 そしてラスト、ホスト役であるfhánaがステージに登場し、3rdアルバム表題曲「World Atlas」からライブがスタート。観客たちはtowanaとkevinとともにフラッグを振って一体となり、「虹を編めたら」「reaching for the cities」へと繋げた。いつもはtowanaのキュートなラップが炸裂する「reaching for the cities」だが、この日はkevinとtowanaのデュエットともいえる構成に。「今夜はブギー・バック」のカバーなど、これまでのライブで好評だったkevinのラップが進化していたことにも驚いた。

 この日は、いつものようにベース・ドラムをバックに4人が前に出る編成ではなく、towanaをほかのメンバー3人+ベース・ドラムが囲む半円形のセットであることも印象的だった。中盤で披露された「ユーレカ」、「現在地」、「Do you realize?」はまさに、towanaを含めた6人編成のロックバンドによる楽しいセッションを見せてもらっているような気分になったからだ。

 その後、佐藤はMCで今回のイベント開催の理由について「fhánaはアニメの主題歌も多くて、アニメも大好きなんだけど、風通しよくいろんなジャンル・シーンの人たちと音楽を奏でられたらとも思っているんです。音楽はなにかとなにかを繋げるもので、目に見えない、水や空気みたいにたゆたっていて、人の気持ちをつなぐもの。だから、繋げること・繋がることを強制するものではなく、少しでも風通しが良くなればと思ってはじめたものです」と、これまでも度々話してきた“より広いフィールド”での活動や、fhánaだからこそできるつながりを活かすためのイベントであることを説明した。

 続けてandropの内澤を呼び込んで披露されたのは、andropの楽曲「Blanco」のカバー。towanaと内澤のツインボーカルは新鮮で、楽曲の中性的な視点がより活きているようにも感じられた。内澤がステージを去った後は、「Relief」と“本家”の「青空のラプソディ」を演奏。最後はTVアニメ『ナカノヒトゲノム【実況中】』のエンディング・テーマ「僕を見つけて」を披露。コード感は「World Atlas」にも近いバラードナンバーだが、ラスト2分間のギアチェンジに度肝を抜かれた。

 アンコールで「STORIES」を披露したfhánaは、オフィシャルファンクラブの開設と、11月と12月にかけてのツアー開催を発表。さらに、先ほど披露した「僕を見つけて」について「誰もが、他の誰かに自分のことを見つけて欲しいという普遍的な欲求を持っているんじゃないかと思ってこういう曲名にしました。だけどこの曲はレクイエムでもあって。サビの中に〈君から離れて旅立とう〉というフレーズが出てくるんですけど。そうやって見つけてもらえたから大切なものを受け取ることができたんだよっていう気持ちを込めて作った曲でした」と解説。最後はおなじみ「Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~」でこの日の幕を閉じた。

 今回のイベントは、これまでもインタビューやコラムなどで何度か掘り下げてきた「fhánaが様々なシーンの垣根を超える可能性を持ったバンドであること」が、バンド側の明確な意思と具体的なアクションでもって形になったことで、こうも伝わり方が違うのかと驚かされるものだった。今後も同イベントを続けながら、fhánaにしか作れない化学反応を起こし、優しくシーンの風通しを良くし続けることに期待したい。

(取材・文=中村拓海)

Gothic×Luck

1. 星をつなげて
2. 月と太陽
3. きみは帰る場所

androp

1.Voice
2.MirrorDance
3.Blue Nude
4.Saturday Night Apollo
5.Hikari
6.SOS!
7.Prism
8.青空のラプソディ(fhánaカバー)
9.Yeah! Yeah! Yeah!
10.Koi

fhána

1.World Atlas
2.虹を編めたら
3.reaching for the cities
4.ユーレカ
5.現在地
6.Do you realize?
7.Blanco(andropカバー)
8.Relief
9.青空のラプソディ
10.僕を見つけて
En1.STORIES
En2.Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~

 

■リリース情報
fhána『僕を見つけて』
リリース日:2019年8月7日
アーティスト盤:1,200 円(税込)LACM-14886
<CD収録内容>
1. 僕を見つけて
(作詞:林英樹 作曲・編曲:佐藤純一)
2. 真っ白
(作詞:林 英樹 作曲・編曲:yuxuki waga)
3. 僕を見つけて -Instrumental-
4. 真っ白 -Instrumental-

アニメ盤:1,200 円(税抜)LACM-14887
<CD収録内容>
1. 僕を見つけて
(作詞:林英樹 作曲・編曲:佐藤純一)
2.Unplugged
(作詞:towana , kevin mitsunaga 作曲:佐藤純一 , kevin mitsunaga 編曲:kevin mitsunaga , 佐藤純一)
3.僕を見つけて -Instrumental-
4.Unplugged -Instrumental-

■関連リンク
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