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初登場2位の『ダンボ』、高く飛ばず ディズニーの実写版リメイクはいつまで続くのか?

リアルサウンド

19/4/4(木) 12:30

 先週末の映画動員ランキングは、『映画ドラえもん のび太の月面探査記』が土日2日間で動員27万6000人、興収3億2400万円をあげて5週連続1位に。日本中の小学生が春休みに入ったことで、ここにきて動員も興収も前週超え。もっとも、昨年の同時期(公開5週目)の『映画ドラえもん のび太の宝島』はそれを上回る動員と興収を記録しながらも、『リメンバー・ミー』と『ボス・ベイビー』の後塵を拝する3位だった。今年の春休み興行における『ドラえもん』独走の要因は、はっきりと「ライバル不足」であることがわかる。

参考:コリン・ファレルが語る、実写版『ダンボ』に込められたメッセージ 「違いを受け入れることが大切」

 さて、事前には『ドラえもん』の強力なライバルと目されていた『ダンボ』実写版リメイクは、公開初週の土日2日間で動員14万4000人、興収1億8600万円という鈍い滑り出しの成績で初登場2位に。ディズニー作品の興行は持続力に定評があり、公開からしばらく経ってから前週超えを記録することも珍しくないとはいえ、それは主にアニメ作品のこと。実写作品で、しかもスタートがこの水準では、今後の伸びにもあまり期待できないかもしれない。

 日本と同じ週末にアメリカでも公開された『ダンボ』は、公開2週目のジョーダン・ピール監督(『ゲット・アウト』)の『Us』や、公開4週目の『キャプテン・マーベル』を抑えて、アメリカでは初登場1位に。しかし、その約460万ドルという初週の週末成績は大方の予想を裏切る結果に。ちなみにこの数字は、これまでのディズニーの実写版リメイクとしては大ヒットした『美女と野獣』(2017年)や『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)を大きく下回るのはもちろんのこと、『マレフィセント』(2014年)や『101』(1996年)よりも低い、歴代7位(1996年以降の10作品中)というもの。オリジナル作品の知名度はディズニーでもトップクラス、さらに『アリス・イン・ワンダーランド』で実績のあるティム・バートン監督の起用と、期待できる要素も揃っていただけに、今回の『ダンボ』の不振は「ディズニー・クラシックの実写版リメイク」という企画そのものの意義がここにきて問われているという見方もできる。

 それでも、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズの「実写版リメイク」は止まらない。今後もガイ・リッチー監督による『アラジン』(アメリカ公開5月24日、日本公開6月7日)、ジョン・ファヴロー監督による『ライオン・キング』(アメリカ公開7月19日、日本公開8月9日)、ヨアヒム・ローニング監督による『マレフィセント』続編(アメリカ公開10月18日)、ニキ・カーロ監督による『ムーラン』(2020年公開)と公開待機中、もしくは製作中の作品が目白押しだ。

 そうしたリメイク作品偏重の背景に、近年の自社リメイクものではない実写作品、『トゥモローランド』(2015年)、『ザ・ブリザード』(2016年)、『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(2016年)などの興行的な不振があったことは容易に想像できるが、間違いなく言えるのは、このままいけば5年後や10年後にはリメイクのネタが尽きるということ。今後はリメイク作品の中でヒットした作品の続編だけを製作し続けることになるのか(少なくとも今回の成績では『ダンボ』の続編は期待薄だろう)、さらなるリ・リメイクが始まるのか、あるいは今年後半にアメリカでサービスが開始されるディズニー自前のストリーミングサービス「Disney+」に応じた、映像界全体を巻き込むような抜本的な環境の変化が待っているのか。現時点では、まだなかなか予測がつかない。(宇野維正)

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