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宮城県出身の17歳・宮世琉弥「10年が過ぎた今こそ、震災についてもっと伝えていきたい」

ぴあ

21/3/17(水) 7:00

宮世琉弥 撮影:友野雄

藤原竜也さんのオーラに完全に飲まれました

新しい時代を飾る俳優たちが次々と現れるエンタメシーン。その中で、アップカミングスターの呼び声が高いのが、俳優の宮世琉弥だ。昨年秋、『恋する母たち』(TBS系)に出演。仲里依紗演じる蒲原まりの息子・繁秋役で注目を集めた。

「仲さんとご一緒していちばん勉強になったのは、周りの方々への接し方です。すごく優しい方で、いつも仲さんの方から話しかけてくれて、場を和ませてくれるんです。僕もいつか先輩になったときに、仲さんみたいになりたいなと思いました」

父役を演じた玉置玲央とは、年の離れた友達のような関係だそう。

「玉置さんは、役ではめっちゃ性格が悪いんですけど(笑)、本当はすごくいい方で。一緒に買い物に行ったり、2人ともカメラが趣味なんで、お互いを撮り合ったり。あとは殺陣をちょこっと教えてもらったり。もう少し世の中が落ち着いたら、家にも遊びに行かせてもらう約束をしているんです!」

そして、この冬は『青のSP(スクールポリス)ー学校内警察・嶋田隆平ー』(カンテレ・フジテレビ系)に出演。ドラッグ疑惑で揺れる校内で、事件の鍵を握る元サッカー部員の佐々木悠馬役を演じた。主人公・嶋田役を演じる藤原竜也とは初共演だ。

「藤原さんとのシーンはすっごい緊張しました! 演技って、対面したときにお互いの覇気のようなものがぶつかり合うところがあると思っていて。藤原さんがガンガン来るので、僕も必死に抵抗していたんですけど。気づいたらオーラが後ろまでじわじわと迫ってきていて(笑)。なす術なし。完全に飲まれたという感じでした」

ミステリアスな面差しが、演技の話になると、途端に頬まで紅潮する。演じることが楽しくて楽しくて仕方ないという表情だ。

「現場に行って演技をすると吸収できる部分が多くて、楽しいし、すごく勉強になります。現場は、僕にとって夢の空間ですね」

芝居をやっていていちばん楽しいのは、自分じゃできないことをやっているときだと目を輝かせる。礼儀正しくて人なつっこい17歳の少年は、「よーい!」の掛け声と共に別人となる。

「事前にその役のことをいっぱい考えて。これまでの間に何があったのかとか全部言葉にして自分の脳内に吹き込むんです。そしたら、シーンが始まると、その役柄になっているという感じ。台詞も、覚えたものを喋るというより、お芝居が始まったら自然と出てくるという感覚の方が近いです」

学校の勉強は苦手。だけど、演技について学ぶことは楽しいと目を輝かせる。

「お芝居は難しいけど、楽しい。できないこともいっぱいあるけど、できないことができるようになっていくのが楽しいんです。だから、時間があったらいろんな作品を観て吸収できることはどんどん吸収したいし、現場でも共演者のみなさんの演技を見て、ちょっと真似したりもします。この1年は、仲さんに玉置さん、藤原さんに真木よう子さん、すごい先輩からたくさん近くで吸収できて、僕にとっても大きな1年になりました」

地元でたくさんの勇気をもらっています

それだけ俳優業に情熱を傾けるのは、なしとげたい想いがあるから。宮世は、宮城県出身。小学1年生のとき、東日本大震災が発生した。特に津波被害が甚大だった地域。母親と車の中にいた宮世も、津波によって乗っている車が押し流された。

多くの命が失われた大災害。生き残った自分にできること。それが、俳優として震災があったことを後の世に伝え続けることだった。2021年3月11日。震災から10年が過ぎた。被災地を故郷に持つ17歳は今何を思うのだろうか。

「10年の時間ってやっぱり大きくて。あのとき、0歳だった子ももう小学5年生になってる。その子たちは震災のことは直接は知らないわけじゃないですか。そうやって時間が経っていけば、どんどん震災を知らない人たちが増えていく。そこで風化させないように、ちゃんとあの日起きたことを発信し続けたいです」

宮城の少しずつ復興の路を辿る街並みが、宮世にエネルギーをくれるのだという。

「あんなことがあっても、みんなあきらめてない。今この瞬間も頑張っている。その姿に、勇気づけられるというか、僕もあきらめないぞというスイッチが入るんです。でもまだ決して復興は終わっていない。もっともっと時間と支援が必要です。震災を知らない人たちに、どうやってそれを伝えていくか。まだまだ僕にその力はないですけど、去年よりもさらに力を入れて発信していきたいです」

朝起きたら『青空』や『リンダリンダ』を聴いて踊っています

さらなる発信力や影響力をつけるためにも、まずはもっと宮世琉弥を知ってもらい、応援してもらえるようになりたい。その一歩として、3月14日にスタイルブック『RB17 りゅうびセブンティーン』が発売される。そこには、等身大の宮世琉弥がたっぷりと収録されている。

▼スタイルブックの中身をチラ見せ!

「自分だけの本をつくってみたいなと憧れていたので、こうやってカタチにすることができてうれしいです。本の中にあるデート企画も、やってみたかったことのひとつ。DIYデートというのをやったんですけど、そこではトートバッグをつくりました。着なくなった自分の服をくっつけてリメイクして。もともとものをつくるのが好きなので、すごく楽しかったです!」

宮世自身、根っからのファッション好き。同書では、春夏秋冬さまざまなコーディネートに挑戦。また、シルバーやゴールドなど多彩なヘアカラーに合わせたファッションもおさめられている。

「服はヴィンテージ系が好きです。今日着ているこのセーターも古着で。普段からよく古着屋さんをめぐってます。服を買うときは、わりと慎重派かも。自分の持っている服とどうやって合わせるかをいろいろ考えた上で使えるなと思ったら買うようにしています」

同書の中でモーニングルーティンも公開。また、2004年生まれとは思えない意外な音楽の趣味も綴られている。

「朝は曲をかけながら洗面所とかで踊っています。曲はいろんなのを聴くんですけど、最近だとTHE BLUE HEARTSさんの『青空』とか『リンダリンダ』。あとはLINDBERGさんの『今すぐKiss Me』も! 昭和の頃の曲が好きで。THE BLUE HEARTSさんはお父さん、LINDBERGさんはお母さんの影響です」

クールそうに見えて、音楽のセンスは骨太。一時期は、長渕剛にどハマりしていたそう。

「長渕さんの曲をひたすら聴いてて。アルバムの曲なんですけど、『逆流』という曲が大好きです。いろいろ聴きすぎて、いつの間にかお父さんが知らない領域にまで行ってました(笑)。あとは尾崎豊さんも好きです。どの曲も、今の時代にはない味があるというか、あの時代にしか出せないメロディに惹かれるんですよね」

ライバルに嫉妬心はありません

『恋する母たち』も『青のSP(スクールポリス)ー学校内警察・嶋田隆平ー』も冷めた表情がイマドキの10代らしくて印象的だったが、本人はむしろ明るくてコミュニケーション能力が高い。『恋する母たち』で共演した奥平大兼、藤原大祐とも、撮影が終わった後も交流が続いている。3人は同学年の17歳。同じ芸能界にいる以上、ライバルになる存在だが、嫉妬心はまったくないそう。

「これだけ仲良くなれたのは3人とも演技が好きだし、お互いの仕事に対してジェラシーがまったくないから。誰かが大きな仕事が決まって解禁されたら、おめでとうって3人で喜び合える。僕にとって2人は親友です。いつも3人で悩みを打ち明けたり、もっとこういうことがしたいという話をしています」

もともと他人に対する嫉妬心がまるでない。それよりも同世代で一緒にエンタメ業界を盛り上げていきたいというタイプだ。

「オーディションでかぶることがあっても、お互い頑張ろうっていう感じです。むしろもっともっと同世代のみんなと一緒に仕事がしたい。みんながどんな想いで仕事をしているんだろうとか、趣味は何だろうとか、そういうことをもっと聞いてみたいんです」

いい意味でマイペースでフラット。まっすぐな心を持った17歳に、あえてちょっとブラックな一面を聞いてみると…。

「面倒くさがりです(笑)。片づけも好きじゃなくて、夜家に帰ったときとか、今から片づけるのとか無理!って、そのまま寝ちゃうことも(笑)」

そんな宮世の苦手なものは虫。特にゴキブリは天敵だ。

「部屋に虫がいたら、速攻で窓を開けて追い払います。ゴキブリがもし出たとしたら、天敵です(笑)」

そうやって他愛のない話をしているときの表情は、無邪気な少年そのもの。その吸い込まれるような大きな瞳には、無限の未来を掴む力が宿っている。

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『RB17 りゅうびセブンティーン』大好評発売中!
http://www.stardustpictures.co.jp/book/2021/rb17.html

撮影/友野雄、取材・文/横川良明



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