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長い時を経てついに映画化! マーベル映画のトップが語る『シャン・チー/テン・リングスの伝説』

ぴあ

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』 (C)Marvel Studios 2021

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全世界で大ヒットを連発し続けているマーベル・スタジオがこの秋、新たなヒーローの登場を描く『シャン・チー/テン・リングスの伝説』を公開し、好評を集めている。スタジオを率いるケヴィン・ファイギはスタジオを統括する最重要人物で、若い映画作家を抜擢し、観客にとってあまりなじみのないキャラクターをスクリーンに送り込んで大成功させてきた。

実は“シャン・チー”はスタジオが映画づくりをはじめた初期の段階から映画化候補リストにいたが、彼らはこのタイミングでシャン・チーを描くことに決めた。ファイギは語る。「ありがたいことに、すべてのマーベル映画はいつも正しい時期に生まれる」

学生時代に映画プロデューサーの見習いを始めたファイギは、『X-メン』などの作品で研鑽を積み、2007年にマーベル・スタジオの社長に就任。人気コミックを映画会社に“貸す”のではなく、自ら映画製作に乗り出すことを決めた。「みなさんがご存知のように、コミックブックの映画ビジネスは、人気のあるヒーローたちで始まったのです」とファイギは振り返る。

「僕が子どもの頃、スーパーマンやバットマンが唯一のコミックブック映画だった。そして、僕はとても幸運にも『X-MEN』『スパイダーマン』『ファンタスティック・フォー』、ベン・アフレックの『デアデビル』といったマーベル・キャラクターたちの復活が始まる時にそこにいた。これらはすべて人気のあるコミックとみなされていて、おそらく映画でやる上で“安全な賭け”と思われていました。そして、僕らがマーベル・スタジオを作った時、そういったキャラクターたちを映画化する権利はひとつも持っていませんでした」

彼らが自前で映画づくりを始めた当初、人気キャラクターの映画化権はすでに別の会社が保有していた。でも、ファイギたちはこう考えた。「僕らには他のすべての作品へのアクセスがある」

「それで、アイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカのようなあまりに知られていないキャラクターたちを映画化することからはじめて、『アベンジャーズ』に導いていった。そうやって、僕らは自分たちを際立たせたのです。僕らには共有できるユニバースがある。僕たちは素晴らしいキャラクターたちのリストに戻り、とても多くのキャラクターたちを紹介した。それが“インフィニティ・サーガ”でした」

現在では超人気キャラクターとして知られているアイアンマンやソーも、ファイギたちが映画づくりを始めた時はスーパーマンのようなアイコン的な存在ではなかった。そこで彼らは発想を逆転して、ファイギ曰く「コミックを映画化するのではなく、コメディだったり、スリラーだったり、SFだったり自分たちのやりたいジャンルの映画がまずあって、それに合うコミックを見つけ出してくる方法」で映画をつくり、圧倒的な成功をおさめた。そしてファイギはこう宣言する「そして今、観客にさらに新しいキャラクターを紹介したい」

映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』は、犯罪集団を率いる父に最強の武術を仕込まれるも、優しすぎるゆえに戦うことを自ら禁じ、父のもとを離れた青年シャン・チーが主人公だ。親友や周囲の人を大事にし、穏やかな日々を過ごしていたシャン・チーは、父が恐ろしい力を秘めた伝説の腕輪テン・リングスのパワーによって悪に染まり、世界の脅威になっていることを知り、自身の運命に向き合う。スパイダーマンやドクター・ストレンジなど他のマーベル作品と同じ世界観を共有することから生まれる楽しさは健在で、そこに新たな世界観やドラマが描かれるのがポイントだ。なかでもアジア映画が長年に渡って培ってきた技や伝統を、彼らは敬意をもって新作に取り込んでいる。

「香港アクションの振り付けは20年に渡って、ハリウッド映画にインパクトを与えている。僕は最初の『X-MEN』映画の時に香港のチームがやってきて、仕事を始めたときを覚えているよ。この映画でなにが楽しかったかというと、そこには確かにスーパーパワーが関わっていて、たくさんの派手なマーベル・アクションがある。でも、同時に僕らは純粋なマーシャル・アーツ・ファイトを貫くことも出来たのです。

今回のバスのファイトは、人々の注目を集めている。高層ビルの側面での竹を使ったファイトもね。僕らは素晴らしいスタッフたちに『あなたたちがやりたいことがなんでもできるとしたら、なにをする? ここにマーベル・スタジオの予算がある。あなたたちが僕らのためにできる最も大きなファイトはどういったものになるだろう?」とたずねた。そこで彼らはそんなシーンの数々を僕たちに与えてくれた。それは素晴らしいことでした」

劇中にはトニー・レオン、ミシェル・ヨーら世界に名だたるアジア系キャストが集結し、日本にもルーツをもつデスティン・ダニエル・クレットンが監督に就任。シャン・チー役には中国系カナダ人シム・リウが抜擢された。これまでのマーベル・スタジオ映画にはなかったテイスト、登場しなかった俳優たち、そして描かれなかったアクションが満載だ。

そして、多くの人が予想する通り、シャン・チーの物語は、マーベルの巨大な世界=ユニバースにつながっていくことになる。「僕たちと(監督)のデスティンにとって、主演のシムがもっと大きなMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の世界に足を踏み入れるのを何かしらのかたちで見せることは重要でした」

ついに訪れたシャン・チーのスクリーン登場と、マーベルの巨大なユニバースへの参入。ファイギはこの瞬間を長年に渡って待ちわびていたはずだ。

「僕はマーベルに入って最初の数年間、コミックスを丹念に読んだり、素晴らしいキャラクターのリストを見ていました。素晴らしい映画になりえるであろうキャラクターのね。そのリストにはずっとシャン・チーがいました。僕はいつも言うんです。『ありがたいことに、すべてのマーベル映画はいつも正しい時期に生まれる』とね。

もし、僕らがこの映画を5年前か10年前につくろうとしていたら、主演のシムは若過ぎるだろうし、デスティンは監督する立場にいなかったでしょう。そして、トニー・レオンはハリウッド映画をやることに興味がなかったかもしれない。映画化のタイミングは時々、一番いい形でうまくいくんです。『シャン・チー』の場合は明らかにそうでしたね」

マーベル・スタジオが長年に渡ってリストにその名をキープし、ベストのタイミングで映画化した“シャン・チー”は今後、インタバールを置くことなく、再びスクリーンに姿を現すことになりそうだ。

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』
公開中
(C)Marvel Studios 2021

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