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(C)Very Sad Pictures (C)2018 BNK48 Office & Salmon House Co., Ltd. All Right Reserved. (C)2019 GDH 559 Co., Ltd.

第2回:編集部おススメ①「ナワポン・タムロンラタナリット監督特集~タイからの新しい風~」

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今年の「ぴあフィルムフェスティバル」で特に注目したいのが、「ナワポン・タムロンラタナリット監督特集~タイからの新しい風~」。若干37歳にして、デビュー10年で7本もの長編を発表するなど、その勢いが止まらないナワポン・タムロンラタナリット監督。ぴあ水先案内人でもあるよしひろまさみちさんにその凄さを解説頂きます!

映画ファンからも一目置かれる存在のナワポン監督とは?

ナワポン・タムロンラタナリット監督

ナワポン・タムロンラタナリットの名が日本で轟いたのは、一昨年制作され、昨年末全国公開された『ハッピー・オールド・イヤー』からだろう。

日本で初めて全国公開されたナワポン作品『ハッピー・オールド・イヤー』(C)2019 GDH 559 Co., Ltd.

日本での公開当時は“#おうち時間”と“断捨離”に注目が集まっていたこと、ミニマルな生活を求める女性を主人公にしたこと、そして主演のチュティモン・ジョンジャルーンスックジンが出演した前作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』が日本でもスマッシュヒットを記録していたこと。それらの要因が重なり、ナワポン監督の作品で日本で初めての全国興行となった『ハッピー…』は、監督の名を知らしめるブレイクスルーとなった。

だが、ナワポン監督は、以前から映画ファンから注目される存在だ。彼の長編が日本で最初に紹介されたのは長編第2作『マリー・イズ・ハッピー』。2013年に開催された第26回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門にて上映されたことを皮切りに、それ以降の彼の長編新作は、同映画祭や大阪アジアン映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭などで上映されている。

タイの女子高生たちの日常をツイート画面を通して描いた『マリー・イズ・ハッピー』

タイの映画といえば、最近ならば『2gether The Movie』をはじめとするブロマンス、10年代なら『ブンミおじさんの森』などがカンヌ映画祭で国際的評価を得たアピチャートポン・ウィーラセータクン監督の作品、もうちょっと前の00年代だと『マッハ!!!!!!!!』をはじめとする肉体派アクションや『the EYES』のようなホラーに世界的な注目が集まった。

ナワポン監督作品に共通する“人とメディアの関係性”

では、ナワポン監督は、というと、それらのムーブメントに乗っかることなく、独自の視点から映画製作に取り組んでいる稀有な存在だ。『36のシーン』から『ハッピー・オールド・イヤー』に至るまでの共通点は、人とメディアの関係性に着目し、そのときどきの若者が若者として生きる難しさを切り取り、それを複数のキャラクターで深堀りしていることだ。

初長編の『36のシーン』は写真による記録、第2作の『マリー・イズ・ハッピー』はTwitter、初の長編ドキュメンタリー『あの店長』は00年代までタイで大流行した海賊版DVD……、そのどれもが当時を代表するメディアであることに気づくだろう。

ナワポン初の長編『36のシーン』 (C)Very Sad Pictures

もっともわかりやすく描いているのは、AKB48の姉妹グループとしてバンコクをベースに活躍するアイドルBNK48のドキュメンタリー『BNK48: Girls Don't Cry』。競争社会の厳しさ、メディア活用の難しさなど。実在するアイドルグループに所属する個々の本音で、多くの若者たちが思っていることを代弁している作品だ。

アイドルBNK48のドキュメンタリー『BNK48: Girls Don't Cry』
 (C)2018 BNK48 Office & Salmon House Co., Ltd. All Right Reserved.

ナワポン監督はこのように、流行のメディアをうまく取り入れることで、このときの人々が何を求めているのか、そしてそのなかにある普遍的要素とはなにかを見出し、それを詩的に紡いでいく。

ただ、これをライフワークとするならば、娯楽映画として訴求することが難しいため、商業映画として製作できないことも多々。それゆえに心が折れてしまう映画監督は数多くいるだろう。

流行を取り入れ、娯楽性と芸術性のバランスがとれた作品作り

PFFでは長編だけでなく、ナワポン自選短編集(写真は『ハッピー・オールド・フィルムズ2』)も上映!

ところが、ナワポン監督の場合、自主制作と大会社をバックにつけた商業ベース制作を自在に行き来し、自身のクリエイションを実現させているところも、非常に稀有なケースであるといえる。むしろ、自主と商業のどちらも渡り歩いているだけに、実験やアートになりすぎず、娯楽性と芸術性のバランスがとれた作品作りに長けているともいえるだろう。

コロナ禍で一層弾みをつけたストリーミングメディアにも興味津津のナワポン監督(実際のところ、『ハッピー・オールド・イヤー』の世界配給権はNetflixが取得している)。流行に乗りながらも、それに振り回さずクリエイションを貫く彼が、これからのタイ映画界を担うのは明白。『ハッピー…』で知った、という人にも、まだ彼のことを知らないという人も、この世界初の特集上映に注目いただきたい。

ナワポン・タムロンラタナリット監督特集~タイからの新しい風~

https://pff.jp/43rd/lineup/nawapolthamrongrattanarit.html

上映作品

『36のシーン』 9/12(日)14:30~/9/17(金)12:00~
『マリー・イズ・ハッピー』 9/14(火)12:00~/9/18(土)11:30~
『あの店長』 9/14(火)15:15~/9/21(火)12:15~
『フリーランス』 9/15(水)11:30~/9/19(日)17:30~
『ダイ・トゥモロー』 9/15(水)14:45~/9/21(火)14:45~
『BNK48: Girls Don't Cry』 9/16(木)12:30~/9/22(水)14:00~
『ハッピー・オールド・イヤー』 9/17(金)14:30~/9/23(木)12:30~
※9/17(金)は、音楽のジャイテープ・ラーロンジャイ氏によるトークを予定。
『ハッピー・オールド・フィルムズ1』 9/14(火)18:00~/9/16(木)15:30~
『ハッピー・オールド・フィルムズ2』 9/16(木)18:00~/9/22(水)11:30~

【ぴあからお知らせ】

「PFFアワード2021」 最終審査員が以下の5名に決定しました!

池松壮亮(俳優)/今泉力哉(映画監督)/柴崎友香(作家)/岨手由貴子(映画監督)/高田亮(脚本家)

また、アプリぴあでは現在、PFFアワード2021「映画ファン賞(ぴあニスト賞)」一般審査員を2名募集中! 8月31日(火)まで受付中なので、われこそはという方ぜひご応募下さい。詳細はこちら

ちなみに、映画祭チケットは8月28日(土)午前10時より、チケットぴあにて発売! 新型コロナウイルス感染拡大予防のため、定員の50%の座席数を販売いたします。

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