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映画『滑走路』に今泉力哉、大森靖子、黒沢清、清水崇、はっとりら賛辞

CINRA.NET

20/11/16(月) 17:00

©2020「滑走路」製作委員会

映画『滑走路』に寄せられた著名人コメントが公開された。

11月20日から公開される同作は、2017年に32歳で逝去した歌人・萩原慎一郎の『歌集 滑走路』から着想を得たオリジナルストーリー。激務の中で仕事への理想を失う厚生労働省の若手官僚・鷹野が、非正規雇用が原因で自死したとされる人物のリストの中から25歳で命を絶った青年に関心を抱き、死の理由を調べ始めるというあらすじだ。将来への不安を抱える30代後半の切り絵作家・翠役を水川あさみ、雇用者の自殺問題に向き合う25歳の官僚・鷹野役を浅香航大、いじめの標的にされる中学2年生の学級委員長役を寄川歌太が演じる。主題歌はSano ibukiの“紙飛行機”。

コメントを寄せたのは、アフロ(MOROHA)、磯村健太郎、今泉力哉、宇野維正、大森靖子、御徒町凧、黒沢清、今野寿美、三枝昻之、佐佐木定綱、清水崇、たかまつなな、俵万智、辻井竜一、西谷弘、はっとり(マカロニえんぴつ)、樋口真嗣、藤原龍一郎、文月悠光、星野概念、真中朋久、茂木健一郎、村上健志(フルーツポンチ)、森永卓郎、山崎聡一郎、山戸結希、山根貞男。
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アフロ(MOROHA)のコメント

思いがけない言葉で傷付けて、思いがけない言葉で救われる。
こんな事になるなんて思ってなかった、を胸に抱いて生きていく。

磯村健太郎のコメント

ラストシーンが良い。慎一郎さんが新たな翼を得て、自由な空を飛んでいるようだった。

今泉力哉のコメント

それぞれが信じている優しさや正しさが、相手をより深く傷つけてしまうことがある。本心と口にする言葉に乖離があったり、相手を想ってあえて嘘をついたり。それが誰かの命を奪ったり。生きるということはとても残酷なことだ。
それでも私は生きていきたいと思った。

宇野維正のコメント

静かで、厳しく、息苦しい、現代の日本社会を浮き上がらせる克明なスケッチ。
劇中で複数の登場人物たちが口にする「こんな世の中だから」。
しかし、本作は「こんな世の中だから」のその先に続く道にも、ほのかな光を照らしている。

大森靖子のコメント

抑圧だらけ、ありのままの世界を真っ当に悲しんだだけ、“それでも!”というひとひらの願いで言葉が煌めくから、私たちはずっと瀬戸際なのに「何があったの?」いっちゃったら「救えなかった」うるせえよ。幸せはこの文字を産み落とす瞬間に生まれて消えるから奪われるはずはない。弱者って言うな。

御徒町凧のコメント

みんな傷ついている
みんな泣いている
みんな生きている

黒沢清のコメント

まるで日没のような青春時代を、人はどうやって夜明けへと変貌させられるのか。大いに考えさせられた。そして最後に一条の光が見えたような気がした。

今野寿美のコメント

いとほしい。少年少女の恋も、記憶に悩んで生きる姿も。そして、短歌に残ったけなげな心も。

三枝昻之のコメント

自転車を漕ぎ続け、転倒し、チェーンが切れ、それでも立ち上がって走り続けるラストシーンの彼が『滑走路』の萩原慎一郎に重なって胸が熱くなる。ピュアで切ない青春歌集が感動的な映像になった。

佐佐木定綱のコメント

ひとつの行動や、ひとつの言葉が、電撃となって人を打ち、人生を決定的に変えてしまうことがある。そして祈りのように人生を支える。もしくは呪縛のように浸食する。この映画で描かれているのはその痛切な力に他ならない。

清水崇のコメント

登場人物全員が泣いているように見えた。
何のために生きねばならないのか?
羨み、泣き、嘲り、すれ違う魂は、何に抗っているのか?
大庭監督は、亡き萩原氏と読者の感受性の狭間で、原作の歌集を映画で繋ぎとめていく…。

たかまつななのコメント

私だけじゃなかったんだ。
孤独や将来の不安で眠れない日がある。
若者に広がる、「生きづらさ」。
このテーマの映画を待っている人がたくさんいる。

俵万智のコメント

短歌の持つ喚起力をあらためて思う。と同時に、ある意味すべての登場人物に、一首の短歌が寄り添っていることに心が震えた。萩原慎一郎が残した言葉が、これからも多くの人の翼になることを確信させてくれる映画だった。

辻井竜一のコメント

エンドロール終了後のスクリーンを見つめながら自分も走らなければと震えつつ、歌の力をあらためて思い知った。時には誰かに背中を押されながらも自らの想いで走り出したのならば、結果傷つくことになろうともその傷はやがて美しく昇華されるだろう。主人公翠の作る切り絵のように。

西谷弘のコメント

甘くないから優しい。
ヒリヒリするから愛おしい。
狂おしくも寄り添ってくれる2時間。
生かされてゆく。

はっとり(マカロニえんぴつ)のコメント

機体も期待も重いほど滑走路の長さは必要になる。だから、全てを背負い込む生き方では飛べない。自分を愛してくれる人がいるなら、身勝手にその愛を手放さないように生きなくては。隠し続けている心の傷みも、癒えかけている順に少しずつ誰かに見せながら生きなくては。そうおもった。

樋口真嗣のコメント

無駄を削ぎ落とし研ぎ澄まされ、見えないほど鋭く尖った、針のような傷み。
大人になるために必要なことかもしれないが、大人になってないあの頃の自分にとっては必要のないもの。
そして、大人になったら日々を生きるために、忘れるもの。
やっと見つけた大切なものを刺し、抉り、切り裂いていく。
忘れていたあの日々の疵が記憶の澱の中から浮かび上がる。

藤原龍一郎のコメント

生きて行くことは、何故、こんなにつらいのか?
当然、答えはない。
答えを知るためにはつらい日々をさらに生きて行くほかはない。
この根本的な問いかけが、若い歌人の一冊の遺歌集から始まり映画にまでなったことに、時代の傷痕と救済を感じる。

文月悠光のコメント

私たちは誰かに自分の生き方を否定されることを恐れている。
本作は、過去とまっすぐに向き合い、自分の選択を肯定できるようになるまでの物語だ。

星野概念のコメント

作品の中には孤独な人が多くいて、観る人はきっと、その誰かと自分が重なります。辛い。でも同時に、大切な誰かの顔が浮かぶ時間もあるはずです。とても生きづらい社会だけど、個人の物語の中には、かけがえのない出会いという、小さな光があることを信じたいです。

真中朋久のコメント

人生どうにもならない。そう思ってもがいたり、不器用にやりすごそうとしたりしながら、なんとかやっている。
萩原慎一郎の歌集『滑走路』をぜひ読んで欲しい。そこに、あなたもいるだろう。

茂木健一郎のコメント

生きる苦しみやよろこびを支えてくれるのは言葉。長く記憶される歌集からインスパイアされたこの映画が、観る人の心の中で「生きる」を支える泉となればいい。言葉が物語を生み、映画が再びいのちの言葉となる。素晴らしい。

村上健志(フルーツポンチ)のコメント

世の中は分からない事ばかりだ。だけど分かっている事がある。あの人が優しかった事。全力で走ってくれた事。分からない事ばかりだけど、分かろうとする事はできる。生きる事は命懸けだ。映画を見終わって空を見上げたいと思った。

森永卓郎のコメント

短歌が描くのは「思い通りにならない」もの。なかでも、一番思い通りにならないのが、人の心だ。
たった31音の短い詩が、これだけ悲しくて、苦しくて、そして愛おしい心の物語を産んだ。不覚にもラストで泣いてしまった。
時代を超える名作だ。

山崎聡一郎のコメント

理不尽な過去を避けるように鬱々と生きる僕を、強烈に、だが優しく、原作歌集に着陸させた、そんな映画だ。そして歌集は、また飛び立つ勇気をくれた。やがてまた戻ってくる場所でもあるだろうと思う。

山戸結希のコメント

あさはかなきらめきを遠ざけてなお
しぶとく光る映画があるのだ

山根貞男のコメント

心の痛む三つの物語が、行先不明のまま交差して、熱いサスペンスを生む。そのとき、わたしたちは、描写の滑走力が映画の命を輝かせている光景を見る。

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