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BOYSぴあ FUTURE 第1回 笠松将

笠松将「自分のことをナンバーワンだと思えなきゃ、役に失礼だと思う」

全1回

第1回

21/3/19(金)

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そこに立っているだけで、何かが起きる気がする。そんな予感を観る者に抱かせる力を、俳優・笠松将さんは持っています。

この冬は、日本テレビ×Hulu 共同製作ドラマ『君と世界が終わる日に』に出演。孤高の空気をまとった実力派の、意外なくらい人なつっこい素顔に迫りました。

ちゃんと台詞を覚える。それが一番難しくて、必要なこと

── 『君と世界が終わる日に』、毎週ドキドキしながら観ています。中でも笠松さんの演じる等々力は存在感があるなと思っているのですが、笠松さんは等々力をどういう男だと捉えて演じていますか。

みんな、等々力のことを強いキャラクターだって言うんですけど、僕は弱いと思っていて。仲間に対して怒鳴ったりするのも強いからじゃなく、弱いから。怒るのって、怖いから怒るわけじゃないですか。だから、決してみんなが思うほど強いヤツではない気がしています。

── 物語の舞台は、ゴーレム(ゾンビ)たちがはびこる“終末世界”。言ってしまうと、自分たちの体験し得ない世界です。そんな極限状態の心理を嘘なく演じるために取り組んでいることはありますか。

そこについては特に考えていないですね。自分が経験したものでないと演じられないとしたら、最終的に何もできなくなるんですよ。たとえば借金まみれの役だから借金まみれになれるかと言ったらなれないし、人を殺す役だったら人殺せるのって? 話になってしまう。

あくまで僕のやることは、役と僕の価値観を共有していく作業。もちろん弓道の練習とかもしましたけど、それは僕にとって役づくりではないです。基本的には、台本を読んで覚えるだけ。それ以外は特別なことは何もいらないのかなと。

── その演技スタイルは、誰かから影響を受けて確立したものなんですか。

影響を受けたわけじゃないですけど、自分が現場で見てすごいと思う役者さんたちが、そういう人たちだからというのが大きいかもしれないです。

すごい役者さんってみなさん台詞が自由自在なんですよ。現場で「これもうちょっと倍速で言ってください」と言われても対応できますし、「これ噛みながら言ってもらえますか」って言われても言えちゃう。そういうのを見ていたら、台詞を完璧に覚えたらほとんどのことはできるんだなと思ったし。逆に言うと台詞を覚えることが一番難しいし、一番必要なことなんだなと考えるようになりましたね。

── 現場で出会った先輩たちで、特にすごいと思ったのはどなたですか。

いっぱいいらっしゃいますけど、忘れられないのが藤原竜也さんですね。以前ご一緒させてもらったとき、本当にすごくて。そりゃ竜也さんの芝居ならお金を払ってでも観に行くよなと納得したというか。何ならちょっと引きました(笑)。撮影が終わった後、その場にいた若手のみんなでコーヒーを飲みながら「さっきの竜也さん、ヤバくなかった?」って話をするぐらいすごかったです。

── とはいえ、そんな笠松さんご自身も若手の中で実力派と目され、ここ数年、関わる作品の規模や任される役の大きさも着実に変わってきていると思います。かつてはエキストラの経験もあると聞いていますが、エキストラ時代と今の自分でどんなところに変化を感じますか。

エキストラをやってた方が厳しかったですよ。朝7時から撮影が始まるとして、入りは朝5時。その間、椅子もないからずーっと立ちっぱなし。もちろん衣装も用意されてないし、誰からもケアしてもらえない。

それと比べたら、今の方がみんな優しいし、気にかけてくださるし、ずっと楽です。でも今はそれがちょっと怖い。そういう環境に慣れちゃうと危険だなと思う自分と、せっかくだし今はちょっと甘んじようかなという自分が戦っています(笑)。

等々力比呂は笠松将がナンバーワンだって思いたい

── いろんなインタビューを読んでいて、骨太で気難しい人なのかなと思っていたら、めっちゃ明るいですね。TwitterやInstagramでのファンのやりとりもめちゃくちゃフレンドリーですし。

自分のこと肯定してくれたり認めてくれる人には出来る限りオープンに接したいんですよね。やっぱり褒められるのはうれしいじゃないですか。だから、ファンのみなさんが褒めてくれるのは普通にうれしいです。

── 2年前のあるインタビューで、俳優の仕事はファンのためにやっているわけでも自分のためにやっているわけでもない。一番になるまでは絶対にやめられないという想いでやっていると話していました。その気持ちに変わりはないですか。

ファンのためにやっているわけではないというのは今も変わらないけど、めぐりめぐって自分のためにやっているのかなと思うようにはなりました。一番については……すごい難しいなって。それは一番になることが難しいんじゃなくて、一番という概念がそもそも難しくて。もうすでに自分は一番なのかもしれないって思うんですよね。

── それはナンバーワンではなくオンリーワンという意味で?

いや、ナンバーワンの意味での一番です。というか、そう考えないと、僕が今やっているお仕事に対して失礼かなって。たとえば、今回の等々力比呂という役も世界の俳優ランキング2億位の笠松がやってますっておかしな話じゃないですか。

そりゃもしかしたら本当は他の誰かが良くて、僕は穴埋めという場合もあるもしれないけど、そういうことも含めて台本に自分の名前が載った以上、この役は笠松将がナンバーワンだって。自分でそう思うようにしているのかもしれないですけどね。

── 客観的に見たら、笠松さんは同世代の中でも独特です。すごく尖っていて、唯一無二の個性があって。

僕が好きなキャラクターもそうなんですよね。たとえば『ONE PIECE』ならルフィやゾロより黒ひげとかドフラミンゴが好き。悪のカリスマみたいなキャラクターに惹かれるんですよ。子どもの頃も仮面ライダーごっことかやるときは、敵だけどライダーになるみたいな役を取り合っていたし。今もそんな感じで、ただやりたいと思った役をひたすらやっているだけっていう感じですかね。

── これからもそんな笠松さんを見たい一方、たぶんラブコメもめっちゃ似合うのでは?と踏んでいます(笑)。

ラブコメとかやりたいんですよ! 自分がキラキラできるかはわからないですけど(笑)。僕みたいなタイプが恋愛ものをできるタイミングってそんなに多くないと思うので、チャンスがあるならぜひ。

── 『君と世界が終わる日に』に関しても、響(竹内涼真)、来美(中条あやみ)、等々力の三角関係が絡んできそうですよね。最終回の見どころを聞かせてください。

簡単に言うと、『アベンジャーズ』みたいな感じです。みなさん、Huluが控えていることもあって、「続きはHuluで!」みたいな終わり方になるんじゃないかと心配されているかもしれないですけど、大丈夫です、ちゃんと連ドラは連ドラできちんと完結します。

── そうなんですね。

その上で、人間関係がさらに広がるのがHuluで配信されるSeason2。三角関係で終わりません!

── えー! それはやっぱり佳奈恵(飯豊まりえ)が?

それはわからないですけどね(笑)。ぜひSeason2で確かめてください!

三角関係になるのは嫌です(笑)

── ちなみに笠松さんは三角関係になったらどうするタイプですか。

嫌です(笑)。片想いしている人がいて、自分以外の誰かが同じ人を好きっていうパターンはまだ楽しいと思いますよ。「俺、今日告白してくるな」って言って、その日の夜、2人で飲みながら「ダメだったわ」って報告したり。「そこであきらめるのか」ってけしかけられたり。そういうのはやってみたい(笑)。

でも、付き合っている2人の間に別の男が現れるパターンは最悪です。あと、僕をはさんで女子2人の三角関係もマジで気まずい。

── 男性の立場としてはありがたい話ですが。

いやいや、そんなの絶対選べないですよ。特に女の子2人が知り合いの場合、どっちも選ばない方が絶対いい。いろいろ面倒なことになると思うので、僕は遠慮します(笑)。

── そもそも好きになったら自分から告白するタイプですか。

告白はしないですけど、好き好きアピールはします。

── 何で告白しないんですか。

告白したらフラれるじゃないですか…。

── 付き合えるパターンもありますよ。

でも、フラれるパターンもあるじゃないですか(笑)。それが怖いんです。「○○ちゃんといると楽しい」って本気なのかギャグなのかわからないような態度で接していれば、たぶんフラれることはなく、友達のままでいられるんじゃないかっていう(笑)。

── ズルい!

そうなんですよね…(苦笑)。

── じゃあ相手から告白されるのを待つタイプですか。

告白されたら嬉しいですけど、別に付き合わなくてもいいんですよ、一緒にいられたら。

── それはフラれて傷つくのが嫌だから?

フラれて傷つくのも嫌ですけど、うまくいかなくなった時を考えちゃうんです。あんなに好きだったのに何でこんなことになっちゃったんだろうなって。

── 付き合った段階で恋愛の終わりを考えるタイプなんですね。

考えちゃいますね。もうそんなイケイケの年齢でもないですし。途中で何やってるんだろうって面倒くさくなる恋愛ならしなくていいかなと思います。

気持ちが沈んだときは、ちょっと高めのヨーグルトをいっぱい買います(笑)

── 恋愛に限らず、どういう人に惹かれやすいですか。

自信がない人ですね。

── それはどうして?

たとえばめっちゃ綺麗な女優さんが「私だって自信ないんだよ」とか言うと、「え? こんなに綺麗なのに?」って一気に興味が湧くんです。男が相手でもそうで。たとえば竹内涼真くんがちょっと弱音を吐くと「え? この世のすべてを手に入れたみたいな男が何で?」ってなる(笑)。

弱音ってどうでもいい人には見せないじゃないですか。それを話してくれることがうれしいのかも。しかもそれが普段から頑張ってる人だとなおグッとくる。そういう不安や弱みを抱えながら、それでも戦っている姿を見ると、めっちゃいいなと思います。

── ちなみに笠松さんはそういう不安や弱音に潰されそうになったときはどう対処しますか。

めちゃくちゃ寝て、いっぱい食べて、運動してっていう感じですね。あとは、ちょっと買い物したり。コンビニで200円くらいするちょっと高めのヨーグルトを1000円分ぐらい買って、うわーって食べて寝たら、何とかなります(笑)。

── 散財の仕方が庶民的で親しみを持ちました(笑)。

僕、あんまりお金を使うことが贅沢だと思わないんですよね。シャンパン入りました~とか何にも贅沢だと思わない(笑)。それより友達といい話をしたときとか、地方の撮影の帰りに朝市で採れたてイチゴを買ったときとか、ちょっといい入浴剤を入れて半身浴をしているときの方が贅沢だなって感じがします。

マネージャーが、僕の目線を上げてくれた

── では楽しいお話も聞けたところで、最後に真面目なお話を。俳優・笠松将の目線を上げてくれた人というと、誰が思い浮かびますか。

うーん。(じっくり考えて)今のマネージャーかな。僕らの仕事にとってマネージャーって本当に大事な存在で、これからの僕がどんな道を進んでいくのかを、一緒に考えてくれるのがマネージャー。

もちろんちょっとした価値観のズレはありますよ。思い描く理想の俳優像がそれぞれ違って、僕は僕の人生だから適当にはできないし、マネージャーはマネージャーで俳優・笠松将をこんなふうにしたいんだっていうイメージがある。だから、時にはバチバチ戦うことだってあります。

でも、そうやって戦えることも含めて、目線を上げてくれた人と言ったらマネージャーしか浮かばない。今が自分でも頑張りどきだと思うし、楽しいし刺激的だし、めちゃくちゃ不安でプレッシャーも大きいけど、やりがいがある。そういう場所に自分を引っ張ってくれたのは、間違いなく今のマネージャーです。

── これからどんな俳優になっていきたいですか。

規模感を問わずにできる人。低予算の映画でもいいパフォーマンスするし、何十億の作品でもいいパフォーマンスするし、バラエティに呼ばれて出ても面白いし、深夜にひっそり始めたインスタライブでも面白いみたいな。規模とか場所とか時間とか問わずに、ちゃんと面白いことをして、そんな僕にいろんな人が集まってくれるようになったらうれしいです。

── 難しいのが、俳優って作品の面白さをなかなかコントロールしきれないじゃないですか。その中で、俳優部の一員としてどう作品と向き合っていますか。

それは最近めっちゃ難しいなと考えているところです。前まではスタッフさんにも言ってたんですよ、もっとこうしてみたいと思うんですとか。でも今は自分がそういうことに口を出すのも違うのかなと思うし。だけど、言われたことだけやっていていいのかなとも思うし。そのせめぎ合いというか、最近のテーマかもしれないですね。言わないのも簡単だし、言うのも簡単だけどっていう。

── そういう現場の居方って、それこそ先輩の姿を見て学ぶこともありますか。

そうですね。評価されている方たちが現場でどういうふうにいるのか見ていると参考になることがたくさんあります。すごく勉強になったのが『君と世界が終わる日に』でご一緒した宇野祥平さん。何度かご一緒させてもらっていて、今回初めてじっくりお話ししたんですけど、現場の居方がカッコいいんですよ。

── それはどんなところが?

僕はずっと謙虚である必要なんてないと思っていたんですよ。謙虚なんて自分に自信がないことの裏返しなんじゃないかって思ったりして。でも宇野さんは僕より15歳ぐらい年上なのに、僕のことをちゃんとさん付けで呼んでくださるし。「この作品観ました。めちゃくちゃ良かったです」と言ってくださるんです。

で、僕から「助演男優賞おめでとうございます」って話をしたら「こんな僕なんかがすみません」ってすごく腰が低くて。その感じがめちゃくちゃオシャレだったんですよ。ずっと謙虚ってうわべだけだと思っていたけど、本当に謙虚な人もいるんだな、素敵だなって、宇野さんを見て思いました。今、そんなふうに自分の中で考え方がどんどん変わってきているのを実感しています。

Q.笠松さんが彼氏になったらどうなる?

めっちゃ嫉妬します。だから、僕の前で俳優の話はできなくなる。絶対ドラマとか観せません(笑)。

Q.付き合ったら何て呼ばれたい?

僕、呼び方がコロコロ変わるんですよ。最初は「笠松くん」だったのが「将くん」「将ちゃん」「かさまっちゃん」みたいな。だから、何でもオッケーだし、僕も付き合うなら相手の呼び方はどんどんバージョンチェンジすると思います。

Q.朝、起きたらやることは?

できるだけ新鮮で体に優しいものをとる。多いのは、アミノ酸かフルーツ。だいぶ健康志向です。

Q.自炊はしますか?

します! 得意料理は、トマト缶2缶ぐらいたっぷり使った贅沢トマトパスタです。

Q.テンションを上げたいときに聴きたい曲は?

NORIKIYOの『2 FACE (feat. BES)』。彼らが20代の頃の過ちを歌った曲なんですけど、それが今の僕にとっては現在であり未来だから、すごく刺さるんです。

Q.大人になったと思う瞬間は?

領収書をもらうようになったとき(笑)。

Q.子どもだなと思う瞬間は?

朝が起きられない(笑)。アラームも15分単位で1時間くらいセットするんですけど無理。毎朝苦労してます(笑)。

プロフィール

笠松将

1992年11月4日生まれ。愛知県出身。
これまで数多くの作品に出演し、2020年には配信ドラマ「FOLLOWERS」(Netflix)やフジテレビ系ドラマ「いとしのニーナ」などが放送、主演映画『花と雨』『ドンテンタウン』『ファンファーレが鳴り響く』などが公開。現在放送中の日本テレビ×Hulu共同製作ドラマ「君と世界が終わる日に」は21日で最終話を迎え、放送直後、Season2第1話がHuluオリジナルで配信開始。またスカパーオンデマンドにて4月3日から配信する「韓国映画ゼミナール~1987 、ある闘いの真実編~」では初MCにも挑戦。今秋、映画『君は永遠にそいつらより若い』の公開も控えている。

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撮影/須田卓馬、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹

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