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KinKi Kids 堂本光一と堂本剛が発揮する“エンタメ力”と“寄り添い力” 異なるかたちで届けるファンへの愛

リアルサウンド

20/4/24(金) 10:00

 ニューシングル『KANZAI BOYA』のリリースが延期となったKinKi Kids。「こんなときだからこそ」リリースを、という思いもあったというが、叶わなかった。

(関連:堂本光一「家のかたまり」動画

 現在、ジャニーズアイドルたちは「ファンのそばに」という想いのもと、「Johnny’s Smile Up!Project」や日々のweb更新など、それぞれが行動を起こしている。もちろん、KinKi Kidsのふたりも同じだ。それぞれのアプローチは違えど、ファンを想うアイドルとしての芯は、揺らぐことはない。

 4月22日、ジャニーズ公式YouTubeチャンネルに、堂本光一にとって2本目となる「Johnny’s Smile Up!Project」動画がアップされた。光一は先日『Endless SHOCK』のインスタライブを配信。その際に「(硝子のお掃除以外に)もう1本撮った」「そのために久しぶりに(作曲用の)パソコンを使った」と、明かしていた。「使われるかは分からない」とも言っていただけに、早急な公開にファンも驚いたことだろう。

 動画を開くと、流れ始めたのは、作詩・堂本剛、作曲・堂本光一の共作「愛のかたまり」。KinKi Kidsファンは言うまでもなく、ジャニーズファンはもちろん一般層にも人気・知名度の高い名曲だ。KinKi Kids自身、大切に歌ってきた曲でもある。

 画面に映るのは、先日の『Endless SHOCK』インスタライブが行われた光一の作業部屋。ヘッドホンをした彼は、同曲の魅力のひとつである美しいイントロをバックに、マイク片手に軽く目を伏せ、神妙な表情を浮かべている。そのままレコーディングさながら真剣に歌い始める光一。〈心配性すぎなあなたは 電車に乗せるのを嫌がる〉。そうそう、この歌い出しいいよね……と思ったのもつかの間。〈まるでかよわい女の子 とか関係ないよ 危ない〉。なんだかちょっと、いやだいぶ、知ってるのと違う。

 驚くべきはセルフコーラス。最大で5人の光一が画面に登場する。レコーディングにおいても、何重ものコーラス入れを自ら行うことで知られる光一だが、たとえYouTubeでももちろん手は抜かない。むしろ悪ふざけにガチすぎる。面白いものをつくる、絶対に笑わせると決めたら、全力でやりきる男だ。

〈手洗いうがいは わたしだけの為じゃないから〉
〈思いきり抱き寄せられると近い〉
〈明日の朝も自粛するよね〉

 最後までニコリとも笑うことなく、まるでライブのエンディングかと錯覚するほどに感情を込めながら、コロナ禍において大切なことを伝えきった光一。シュールとはきっと、こういうことを言うのだろう。

 「大切な人への想い」という点では、原曲から大きく趣旨を外れていない。またほとんどの詩を原曲のまま残しており、面白いだけでなく実によく考えられた作品だ。

 替え歌にすることは、作詩者である剛に許可をとったという。まもなくアップされた自身のwebページでは「なんとなくキンキの曲を頭で歌っていた時」に思い浮かんだと綴った。サラッと書いてはいるが、自粛の日々において光一が「キンキの曲を頭で歌っていた」という事実に、なんだか胸が熱くなる。また、相方の剛が書いた原曲の詩の良さにも触れた上で「ちゃんとした元の形で二人で歌いたい」と続け、KinKi Kidsのファンを喜ばせた。

 堂本剛は、現時点ではまだ「Johnny’s Smile Up!Project」には登場していない。しかし、毎日欠かさず自身のwebページ「Love Fighter」をアップしている。最近では、1日2回更新することもめずらしくない。

 「今日は〇〇を食べました」。日々の他愛無い出来事の報告が、ゆるりとしたあたたかい文章で綴られる。剛の優しい声で再生されるような、彼特有の言葉選びが心に染み渡る。何気ない日常ほど、尊いものはない。剛が心穏やかに日々を過ごしてくれること、それがなによりもファンを安心させると、剛はきっと分かっている。彼は、誰よりも「想像」できる人だ。体調を崩していないか、食事をきちんと摂っているか……いつだって好きな人のことが心配で、気になる。それがファンというもの。このような時勢ならなおのことだ。

 そんなファンの心を察し、剛はさりげなく気を配ってくれる。毎日、毎日、友達や家族にメールを送るように、飾らない言葉で話しかけてくれる。ときには、クスッと笑わせてくれる。剛の優しさは、そういう優しさだ。

 「離れていても繋がっている」。剛はいつも、ファンにそう語りかける。こんなときでなくとも、いつだってファンのことを想っている。そう言葉にして伝えてくれる。「もっと繋がれる場所があればいいのに」。先日、剛はそんな願いを綴っていた。

 ときには、感情の機微を、彼なりの言葉で紡ぐこともある。思い巡らすのはいつだって、自分ではなく「誰か」のこと。「あなた」「みんな」「世界」「未来」、そして「愛する人」。それらに想いを馳せ、悩んだり、苦しんだりしている。ひとりよがりになることなく、大きな視点で物事を見つめている。彼は繊細だが、だからこそ、強い人だ。

 家で、誰にともなく歌いながら、歌えることの幸せを感じたとも綴っていた。形になるならないは別として、「なにか」を作る時間を大切にしている、「作っていたい」という剛。剛は今、どんな音を奏でるだろう。どんな言葉を歌うだろう。孤独も、悲しみも、嬉しいことも、好きな食べ物のことも……彼はいつだって、音楽に昇華してきた。剛ならいつか、今日の悩みも明日の憂いも、素敵なメロディにしてくれると思う。

 ちなみに4月25日オンエア予定の彼のソロラジオ『堂本剛とFashion & Music Book』(bayfm)では、新曲「CREPE」を聴かせてくれるそうだ。詳細は不明だが、ファンにとってはこの上なく嬉しいニュース。剛は自らの想像力、そして創造力をもって、言葉と音楽でファンに寄り添い続けている。

 堂本光一と堂本剛、ともに41歳。出会いから29年の月日が流れた。似ているようで似ていない。似ていないようで似ている。いつまで経っても奥深い。

 それぞれに表現は違っても、ふたりはファンの存在をいつも心のそばに置いている。いつだって大事なときには、ファンのことを想ってくれる。そんなふたりだからこそ、今日まで多くのファンが、何度となく彼らに恋して、ついてきたのだ。

 世界に明るく日が差すころには、発売延期になったファンクナンバー「KANZAI BOYA」で思いきり笑顔にさせてほしい。そんな日が来るのを、ふたりの優しさに包まれながら待っている。(新 亜希子)

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