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THE YELLOW MONKEY再集結後の軌跡が凝縮 『9999』全貌を現場スタッフの証言と共に解説

リアルサウンド

19/3/7(木) 21:00

 4月17日のリリース日を前にその全貌を現しつつある、THE YELLOW MONKEYにとって19年ぶりのオリジナルアルバム『9999』。2016年の再集結から3年間にわたる活動の集大成とも言えるこのアルバムは、本編もさることながら、初回生産限定盤の付属DVD内容やダウンロード版の特典の豪華さにも注目が寄せられている。単純にアルバム特典として片付けるには正直勿体ないくらい貴重なアイテムの数々は、この久しぶりのオリジナルアルバム『9999』にどのような意味をもたらすのだろう。

参考:THE YELLOW MONKEY、東京ドームで示した“再生”と“進化”

 まず、初回生産限定盤の付属DVDには「SELECTION of THE YELLOW MONKEY」と題した、再集結以降に行われたライブからの選りすぐりライブ映像10曲を収録。再集結後最初のライブとなった2016年5月11日の国立代々木競技場 第一体育館から、昨年12月28日に日本武道館で行われた『メカラ ウロコ・29 -FINAL-』までの貴重なライブ映像が時系列順に収められ、最後に2015年8月某日、都内スタジオでのセッション映像が置かれるというファン垂涎モノのアイテムだ。

 これ単体でも発売できるぐらいの内容となったこのDVDを制作した経緯について、再集結後のTHE YELLOW MONKEYを支えるスタッフは「アルバム特典をどうするか考えたとき、一昨年のドーム公演や昨年末の武道館公演などまるまる1公演の映像を入れることも可能でしたが、新しいアルバムと紐づいていないような気がして。それなら、再集結からアルバムが完成するまでの流れが見えるものがいいのではないかということで、こういう構成になりました」と語る。

 選出された楽曲や会場についてもこだわりがあり、例えば代々木での「楽園」はライブ2曲目に演奏されたもので、オープニングナンバー「プライマル。」は終盤までステージが紗幕で覆われた状態だったことから、2曲目の「楽園」でメンバーが初めて表舞台にさらされて演奏した思い出深い1曲なのだ。これについても「メンバーも実質これが1曲目みたいな感覚で臨んだところもありましたから。なので、よく観るとメンバーの表情も緊張した『プライマル。』とは全然違っていて、少し和んでいますよね」と説明。その他の選曲についても「例えば『熱帯夜』は福島と熊本でしか演奏していませんし、しかもライブの1曲目でしたから。東京ドームの『ALRIGHT』はあの日一番の見せ場となった瞬間が収められている曲ですし、ヤフオクドームの『追憶のマーメイド』も22年ぶりにとうとう演奏された人気曲とあって、代々木の『プライマル。』並みの歓声でしたしね」と、それぞれのライブの中でキモになる特別な1曲ばかりだという。

 最新のライブ映像となった昨年末の「天道虫」までは時系列に沿っているものの、なぜ最後に再集結発表前の、久しぶりに4人で演奏した「Subjective Late Show」のセッション映像を収めたのだろう。これは「最初こそ時間軸に沿って頭に置いていたんですけど、CDでニューアルバムを聴いたあとにこのDVDを続けて観たときに、『やっぱりライブもいいよね』と思ってもらい、最後の最後に『実は最初はこうだったんだよ』というのを見てもらいたい、とメンバーも言ってました(笑)」と教えてくれた。

 筆者としては、逆にこのDVDから先に観たとしても、アルバムへと向かう過程でバンドとしての筋肉がどんどん付いていき、グルーヴ感が強まっていくことも伺い知れ、なぜこの新作が生まれたのかを深く理解することができるのではと感じている。その3年の流れは、ひとつのバンドが新たに生まれ最初のアルバムへと到達する記録そのものである。そして、DVDには「STORY of THE YELLOW MONKEY (another STORY)」と題したドキュメンタリー映像も収録。こちらはYouTube番組「STORY of THE YELLOW MONKEY」の未公開映像を含む、アルバム制作期間に特化した編集となっており、「SELECTION of THE YELLOW MONKEY」と併せて観ることで『9999』という作品の魅力をさらに知ることができるし、再集結後のTHE YELLOW MONKEYをより深く理解する上での貴重な副読本的な役割を果たしてくれるのだ。

 また、『9999』ダウンロード・アルバムにはインディーズ時代の未レコーディング曲「毛皮のコートのブルース」をボーナストラックとして収録(この音源はCDには収録されず、アルバムをダウンロードした人にのみ、特典として収録される)。昨年末の『メカラ ウロコ・29 -FINAL-』で19年ぶりに演奏されたこの曲は、これまで一度もレコーディングされたことはなかった。同スタッフは「このアルバム用の新曲レコーディングにおいて、早い段階で録ろうと決まったのがこの曲だったんです。インディーズの頃のようにメンバーだけでやろうという精神論と、結成初期に作ったこの曲が今このタイミングにリンクしたのかもしれませんね」と、レコーディングに到った理由を分析する。アルバム本編とはベクトルの異なる1曲ではあるものの、この貴重な音源化は再集結後のバンドの空気感の良さが成せる技だったのかもしれない。

 さらに、iTunesでは期間限定盤として、CD収録と同じ13曲分のbacking track、ダウンロード・アルバムのボーナストラックである「毛皮のコートのブルース」を加えた全27曲収録の期間限定盤を4月16日まで購入することが出来る。J-POPのシングルやダンス系アーティストの作品にはよく“off vocal version”やバックトラック集などが存在するが、ロックバンドのアルバムでこういったアイテムは実に珍しいものがある。同スタッフ自身も実際に聴いてみると「特にロサンゼルスで録音したトラックはシンプルなサウンドなので、生々しくてリアルに感じられるし、ボーカルが入った“曲”とはまた違ったものがある。バッキング・トラックだからこそ見えてくるものもあり、不思議な感覚でした」という。筆者を含む“90年代通過組”にとってはこのbacking trackはカラオケの役割も果たしてくれることだろう。今後カラオケのレパートリーに加えるための練習にもうってつけのこのbacking trackは、ぜひとも手に入れておきたいアイテムだ。

 このほか、対象店舗にてアルバム『9999』初回生産限定盤および通常盤を購入すると先着で、16年ぶりのアリーナツアー幕開けとなった2016年5月11日、国立代々木競技場 第一体育館にて1曲目に演奏された「プライマル。」のライブ映像をオリジナル編集にて収録したDVD「SELECTION of THE YELLOW MONKEY 【primal】」もプレゼント。先述した、終盤まで紗幕で覆われた状態でのパフォーマンスとなった「プライマル。」の映像が、なんと先着購入特典として入手することができるのだ。15年ぶりのライブの幕開けとなったその一発目の曲であり、生中継や各生配信で100万人が参加した、歓喜の瞬間を収めた作品となっている。初回生産限定盤の映像をコンプリートさせる上でも貴重な映像となるだろう。

 THE YELLOW MONKEYにとって19年ぶりの新作ということもあり、リリース自体がある種のお祭り的モードなのも確かにあるが、だからといってこれらの特典は決して無意味なものではない。すべてニューアルバムと紐づいたものであると同時に、19年待っていてくれたファンへの感謝の気持ちの表れなのだ。だからこそ、これらのアイテムを通して『9999』という力作と、バンドとしてさらなる強靭さを手に入れたTHE YELLOW MONKEYの凄みを感じてもらいたい。(西廣智一)

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