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まだ続いていた!? 『コナン』vs『コード・ブルー』、年間興収1位をめぐる死闘は最終ラウンドに

リアルサウンド

18/10/24(水) 17:00

 9月下旬から引き続き、極端に低い水準で推移している映画興行。先週末の映画動員ランキングは、『宇宙の法 -黎明編-』が土日2日間で動員10万8000人、興収1億3400万円をあげて2週連続で首位となったが、この数字は今年に入ってから1位作品の興収としてはワーストとなる。前週、動員ランキングで2位に初登場した『日日是好日』は、ワンランクダウンして3位に。平日の動員も好調で、週間の動員集計では1位となっている。先日の樹木希林の訃報が大きく影響しているのは言うまでもないが、作品の規模からすると異例のヒットと言えるだろう。

 川村元気原作、佐藤健主演、大友啓史監督、主題歌はBUMP OF CHICKENという、過去の実績もともなった強力なカードが揃っていたにもかかわらず、期待外れな結果となったのは、土日2日間で動員8万9000人、興収1億2000万円という成績に終わった初登場2位の『億男』。土曜公開と金曜公開の違いも勘案する必要はあるが、同じ土日2日間の成績で比べると、同じ川村元気原作、佐藤健主演の『世界から猫が消えたなら』(2016年)との興収比で約65%、こちらは原作ではなく企画とプロデュースだが同じく川村元気と佐藤健が組んだ『何者』(2016年)との興収比で約66%。ちなみに、大友啓史監督と佐藤健が組んだ直近の作品『るろうに剣心 伝説の最期編』(2014年)との興収比では約13%。シリーズ作品なので比較対象として相応しくはないかもしれないが、少なくとも両者の組み合わせに今作では訴求力が生まれなかったことがわかる。

 『億男』の苦戦は今年の東宝配給実写作品の低調をさらに印象づける結果となったが、その中で例外的な特大ヒットを記録して年間興収ランキング1位をほぼ手中に収めたと思われていた『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』に、思わぬ伏兵が現れた。先週末、動員ランキングでは9位、しかし興収では3位の数字をあげた『名探偵コナン ゼロの執行人』の4Dアトラクション上映だ。10月21日(日)の時点で『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』の累計興収は約91億8000万円、『名探偵コナン ゼロの執行人』の累計興収は88億6000万円。その差は約3億円という僅差にして、客単価が高い『名探偵コナン ゼロの執行人』の4Dアトラクション上映は3週間限定の予定。公開から4か月が過ぎようとしている『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』の方も、今週の10月26日には第4回感動共有上映(体験したことがないし、これからもすることはないだろうからよくわからないのだが、上映中に隣の客と話し合って「感動」を「共有」してもいい上映形式なのだという。そうじゃなくても、たまにそういうお客さんはいるけれど……)を開催するなど、まだまだ上映中。ここにきて、年間興収1位をめぐるデッドヒートが俄然熱を帯びてきた。

 たまたま数字が極端に接近しているので、うがった見方をしてしまいがちだが、『名探偵コナン』シリーズで4Dアトラクション上映がおこなわれるのは、前々作『名探偵コナン 純黒の悪夢』に続いてこれが2回目のこと。今回は人気キャラ安室が運転するクルマの助手席に乗っているように感じられるカーアクションが売りとのことだが、この時期に4Dアトラクション上映されることは以前から予定されていた。そもそも『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』と『名探偵コナン ゼロの執行人』は同じ東宝配給作品でもあるので、そこに対立の構図を見いだすのは両作品のファンと自分のような野次馬だけかもしれない。もっとも、「作品を応援するために劇場に何度も足を運ぶ」といった行為は、現代のファンダムにおいてしばしば見られる現象(音楽では、SMAP解散時や安室奈美恵引退時には特典などとはまったく関係なく、熱心なファンが同じ過去のCDを何枚も買うようなこともあった)。配給の東宝が大っぴらにそれを煽ることはないだろうが、年間1位を巡る争いは両作品のファンの行動に火をつける可能性は十分にある。(宇野維正)

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