大島幸久 このお芝居がよかった! myマンスリー・ベスト
9月のベストは『死と乙女』、 『ハムレット』で初のストレートプレイに挑んだSexy Zone菊池風磨に “新人敢闘賞”!
毎月連載
第11回
19/9/30(月)
『死と乙女』チラシ
①シス・カンパニー『死と乙女』シアタートラム(9/15)
②地人会新社『リハーサルのあとで』新国立劇場 小劇場 (9/5)
③文学座9月アトリエの会『スリーウインターズ』文学座アトリエ(9/9)
④ 劇団昴 『君恋しーハナの咲かなかった男ー』東京芸術劇場 シアターウエスト(9/19)
⑤『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』世田谷パブリックシアター(9/5)
*日付は観劇日。9/1〜30 までに観た31公演から選出。
ベスト1は『死と乙女』。小川絵梨子が演出し弁護士ジェラルドが堤真一、その妻ポーリーが宮沢りえ、医師ロベルトが段田安則という3人芝居だ。物語が進むにつれ、気分が悪くなるような衝撃的な展開になる。
どの国でも独裁政権下では悲惨極まる弾圧、恐怖政治、人間の尊厳さえ無視した拷問が密かに行われたのは歴史が証明している。チリの劇作家アリエル・ドーフマンが書いたこの作品は拷問の加害者と被害者の関係がミステリーを解くように描かれ、緊迫感一杯の好舞台になった。その殊勲甲が宮沢りえ。自分を犯したのがロベルトであると確信していく表情の変化、椅子に縛り続けて告白を迫る嘆きとも言える台詞の強弱。最優秀主演女優賞を進呈する。松井るみの美術、俳優の立ち位置を明確にした演出も褒めていい。
『リハーサルのあとで』も3人芝居。作者のイングマール・ベルイマンは例えば、ヘンリックとアンナの長い2人芝居の後、「作者に大切なふたつは聞くこと、口を閉ざすこと」とか「芝居に必要なのものは台詞と役者と観客」、また「どんな芝居でも役者が一流なら心を打つ」といった私見を入れ込んだ。まるで演出、俳優への挑戦的な意図さえ思わせた...
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